「絶体絶命のアハマッド」友だちのうちはどこ? きりんさんの映画レビュー(感想・評価)
絶体絶命のアハマッド
〽 目覚まし時計は母親みたいで心が通わず
(東へ西へ 井上陽水)
どうしてこんなに母親って非情なのだろうね。溜め息。
あなたは宿題をさせたいのか、育児や洗濯の手伝いをさせたいのか。
大人って、こんなにも子供の声を聞かない。
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先日、友人と、
ふとむかしの事を思い出して語り合ったのだ。
僕がクリスマスの「アドベント・チョコ・カレンダー」をプレゼントしたら、それに対する礼だけでなく、その友人がふと呟いたのだ
「わたし○○の子供に生まれたかったなぁ・・」と。
僕からの返信には こう書いた
「わたし○○の子供に生まれたかったなぁ」。
さらっと流して呟いた、
気(ケ)取られないように触れた何気ない言葉だけれど、
これは子供の時の「痛いコトバ」だ。
幾度、僕たちは枕を涙で濡らしたことだろう。
・なんでこんな家に生まれたんだろう、
・どうして自分はこの父親や母親のもとに自分は生まれてしまったんだろう、
・よその家に生まれたかった・・
○○ちゃんの家みたいな幸せな家の子になりたかった。
お布団をかぶって泣いた。
あのね、
むかし貧しい市営住宅に住んでいたとき、
保育園に通ううちの子の友達の「よしお君」が、中庭を通ってうちに来たんだよ。
よしお君の部屋は、玄関の土は湿っていて苔が生えている。お向かいの日陰の、すごい寒い部屋。
日の当たる掃き出し窓のところに座って、僕は よしお君を膝に抱き上げ、ギュッと抱きしめて
「かわいい かわいい」と言いながら頭をグリグリ撫でていたら
彼は言ったんだ
「オレ、おじちゃんちの子に生まれたかったな」って。
「あっ」と思って、たまらなくなって、もう一度ギュッと抱きしめた。
小さな子どもの頭は お日さまの匂いがした。
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アッバス・キアロスタミ。
プロフィール写真を見ると強面なんだが、アップの写真だとサングラスの向こうにすけて見えるその目の、なんと純粋なこと。
イランの映画は、いい。
あの頃の、子供心の焦りや嘆きの世界を、こんなにも優しくすくい上げてくれる。
子供の涙にそっと寄り添ってくれる。
子供のがんばりを認めてくれる。
その声に耳を澄ませてくれる。
この映画は、その友人が勧めてくれたので、今回僕は初めての鑑賞となったのでした。
良かった。
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友だちのうちはどこ?
ここだよ、
レザ・マツァハデ。
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共感とコメント、ありがとうございます。
イラン映画はキアロスタミ監督作品を中心に数作しか観ておりませんでした。
しかし、別の監督作品ではありますが、この“映画.com”参加以前の鑑賞でレビュー出来ておりませんが「別離」はイラン映画を見直すような素晴らしい出来映えでしたので、これもまた別の監督のイラン作品「運動靴と赤い金魚」も是非、観てみたいですね。
そして、才能ある監督が埋もれているようなイランには早く民主的国家を実現して欲しい想いです。
きりんさん
コメントありがとうございました!
&お久しぶりです。
キアロスタミのトラベラーも、機会が有れば是非。この作品の男の子とは対局の、悪ガキが主人公です。ぶん殴りたくなりますw
そちらも良いお年を!