「似てると思ったら兄弟だったのか!赤と緑で区別したよ・・・」友だちのうちはどこ? kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
似てると思ったら兄弟だったのか!赤と緑で区別したよ・・・
小学校の小さな教室。三人掛けの机に2年生のアハマッドとネマツァデが並んで座っていた。ネマツァデは宿題をよく忘れる上に、今回はノートではなく紙切れに宿題を書いてきたので先生にこっぴどく叱られる。「3回目だな!次に忘れてきたり、ノートに書いて来なかったら退学だ!」と脅され、隣にいたアハマッドまでビビッてしまった。そんな恐怖の宿題だったのに、彼はネマツァデのノートまで間違えて持って帰ってしまった。何とかしてノートを彼に届けなければ退学になってしまう!
しかし、のんびりスローライフのイランの片田舎。家の手伝い、畑の仕事、おつかいまでしなければならないけど、宿題が先。焦るアハマッドはとにかく友だちにノートを届けなければと先を急ごうとする。何とか手伝いを避けて家を探そうとするが、遠い地域なだけに全くわからない。地域だけはわかっているので大人たちに尋ねまわるのだが、要領を得ない。おじいさんたちにつかまり、与太話を聞かされたり、間違った情報を聞かされたり、町内はネマツァデ姓だらけだったりと散々な結果に・・・親切なおじいさんは歩くのが遅く、結局は先ほど行った間違いの家だったりするのだ。ここでおじいさんに気を遣ってノートを隠すのが絶妙!
夜遅く、まだ夕飯の時間には間に合いそうだったけど、諦めて自宅に帰ったアハマッド。要は明日学校でノートを渡せばいいのだから、彼の分も宿題してあげなよ!と、ずるいやり方だけど、祈る気持ちでいっぱいになった。だってそれしか方法はないんだもん(笑)。結末はあっさり、祈り通りだったけど、とにかく走れメロスの少年版のような展開は素人が演じてるとは思えないほどの演技力。目だけで訴える少年の純粋さはとても感動的。やっぱり泣きの演技は素人にしかできないリアルさが感じられた。
小津安二郎が好きだというキアロスタミ監督。思い出したのは戦前作品『生まれてはみたけれど』の子役中心の映画でした。