「目からウロコの新しさ。連合軍も、日本軍と同じ苦労をしていたとは、、。」遠すぎた橋 belleさんの映画レビュー(感想・評価)
目からウロコの新しさ。連合軍も、日本軍と同じ苦労をしていたとは、、。
リチャード•アッテンボローは 「遠すぎた橋」にしろ「ガンジー」にしろ、
見せ場が少ないという声があったとしても、心に深く残る映画を作っている。
この作品について言えば、戦争とはいっても
準備不完全なゴリ押し作戦、
無線機が使えない、
援軍やジープが来ない、
補給が届かない、
軍事資料を敵側に盗まれる(確かに偽造工作も多いが)、
天候に恵まれない、、
巧名心に突っ走る指揮官と冷静な参謀の組み合わせ (連合軍もドイツ軍も)、
現地を見ないでペーパーワークで指示する司令官、
パットン中将(米)とモントゴメリー元帥(英)の手柄の取り合い、
8000人もの命を失ったのに、「遠かったね」の一言で片付ける元帥、
戦争を始めたがる最高指揮官の存在、、、
これって日本軍では多かった話し。
まるで日本軍じゃん。
なんだ! 連合軍の兵士たちも、同じようなことで苦労したのね、と知って
目からウロコの新しさを覚えました。
「マーケット •ガーデン作戦」 そもそもネーミングからして不安。
連合軍のつける作戦名にしては、緊張感がゆるめで、
まるでクリスマス商戦か高級風マンションの名前ではないか。
連合軍も「ノルマンディー上陸作戦」で、
ドイツ軍が歯応えなく総崩れしたことに気が大きくなっていたし、、
いつの時代も、戦争はたかを括った側の被害が甚大。
中でも、市民レジスタンスのメガネの少年が撃たれたのは悲しく、
現地民間人の情報はいつも軽く扱われる。
英国の実名ブライアン•アークハート少佐だって、
(映画では 「フラー少佐」という名前)
現地情報 や証拠写真から計画の変更や中止を訴えたもの、帰国命令を受ける。
※ ブライアン•アークハートと
ロイ•アークハート(ショーンコネリーが演じる第一空挺師団長)は
同じ名前でも血縁関係はなく、
前者は名前が同じなので「フラー少佐」になっている。
実際のブライアン•アークハート氏はその後、何度も生死を乗り越えつつ
国連で大活躍。
マーケット•ガーデン作戦は、
「我こそドイツ侵攻一番乗りとしての名を残すのだー」
というモントゴメリ元帥とブラウニングに押し切られてしまった。
戦争は、いつの時代も、数名の「戦争やりたがり屋」のもと、
多くの兵士と民間人が犠牲に。
実際の軍用車両や、航空機の大規模な登場、
空を埋め尽くすかかのような落下傘降下など、見応えは充分。
「遠すぎた橋」に出てくるフルート演奏(バッハ曲)やフルートのアップなどは
安っぽい感傷を引き出すから要らなかったけどね。笑