逃亡地帯のレビュー・感想・評価
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土曜日の狂乱
てっきり逃亡モノの作品かと思っていたのに、オープニングこそ緊迫する逃亡劇だったものの趣旨が全く違っていたことに驚いてしまった。舞台となるのはテキサス州のメキシコに近い海辺の町。石油成金の金持ちが多いこの町でも、首領とも言えるバル・ロジャースが金をばらまいて不動の地位にいた。刑務所脱獄があった土曜日の夜、盛大なバル(E・G・マーシャル)の誕生パーティやババー(レッドフォード)を知る中年夫婦たちのパーティ、それに10代の若者たちのパーティなどが行われていた。
2年前にババーが刑務所に収監されてから、ババーの妻アンナ(ジェーン・フォンダ)はバルの御曹司ジェイク(ジェームズ・フォックス)と愛し合っていた。多くの人は知っていた公認の中だったが、バルとババーはその事実を知らない。ババーがジェイクに復讐するために脱獄しただのと噂は絶えず、みなニュースに興味津々。一緒に脱獄した凶悪犯が逃亡中に殺人を犯したのに、ババーが殺したのだと信じ切っていた。
そんな中でも銀行員のエドウィン(ロバート・デュバル)やババーの黒人の同僚レスターは以前に罪を被ってもらったこともあり、彼を信じていた。そして両親もアンナもジェイクも保安官カルダー(マーロン・ブランド)も、ババーは乱暴ものだけど人殺しはしないはずだと信じていたのだ。
石油成金が多い町。拝金主義者ばかりで、銃を持っている者だらけ。アメリカの闇の部分が強く表れ、黒人差別も根強い町なのです。中年パーティでは夫婦交換なんてのも厭わないほど、退廃的な自由を追い求めていた。カルダーだけはおかしさに気づいて、賄賂とも思える寄付などを断り始めていたし、子供のいない老夫婦も冷ややかに成り行きを見ていた。
レスターがアンナと連絡を取ろうとしていたことから、人々はババーが近くに来ていると察知して、カルダーとレスターに卑劣な暴行を加えて聞き出そうとする。皆、ババーを殺したがっていたのだ。そして、暴徒化した人々が警察に集まりスクラップ工場へ押し寄せ、何か戦争でも起こったかのように暴れまくる狂気。群集心理なんてものじゃない。明らかにアメリカが抱える闇が爆発したものだろう。ベトナム戦争に本格的に参戦したり、公民権運動の時期だったりするので、時代がこの作品を生んだのだろう。おぞましい・・・テキサスだけのことと思いたい。
法も秩序もない
ある騒ぎがキッカケで無法地帯と化す小さな町で大人から子供まで暴徒化し群れたら怖いモノ無しな人間の愚かさと結果の酷さに常識ヅラした普通の一般市民にコソ腹が立つ。
M・ブランドとR・デュバルは「ゴッドファーザー」が初共演だと思っていた!?
物語の核となるR・レッドフォードの役柄が良い。
町の人々を守る筈の保安官には力も無くラストは呆れ返ったように町を立ち去るM・ブランドに共感し何とも言えない哀愁が漂う。
今現在にも通じる豹変し徒党を組んだ時の人間の行動がリアルに遣る瀬無い。
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