逃亡地帯

劇場公開日:

解説

原作は「ハイウェイ」のホートン・フートで「噂の二人」のリリアン・ヘルマンが脚色、「奇跡の人(1962)」のアーサー・ペンが監督したサスペンス・ドラマ。撮影は「ローラ殺人事件」のジョセフ・ラシェルで、音楽は「野性のエルザ」のジョン・バリー。出演者は「戦艦バウンティ」のマーロン・ブランド、「キャット・バルー」のジェーン・フォンダ、テレビ「弁護士プレストン」のE・G・マーシャル、「リオ・ブラボー」のアンジー・ディッキンソン、「大いなる野望」のマーサ・ハイヤー、「キング・ラット」のジェームズ・フォックスなど。製作は「アラビアのロレンス」のサム・スピーゲル。

1966年製作/アメリカ
原題:The Chase
配給:コロムビア
劇場公開日:1966年

ストーリー

ババー・リーブス(ロバート・レッドフォード)が仲間と2人で刑務所を脱走、その後殺人を犯しながら西に向かった。という知らせを受けたのは、ババーの故郷タール市のシェリフ、カルダー(マーロン・ブランド)で、ババー脱獄の噂は町中に広がった。町で権力を握っているのは石油成金のバル・ロジャース(E・G・マーシャル)で息子のジェイク(ジェームス・フォックス)とは、莫大な金を間に対立していた。ジェイクは幼な友達のババーが刑務所に入って間もなく、その肉感的な妻アンナ(ジェーン・フォンダ)と関係を持つようになっていた。人々は町を牛耳っている親子のこうした成り行きを好奇の目で眺めていたが、彼ら自身とてスキャンダルの渦中で生活しているのだった。週末ごとの派手なパーティそれは夫婦交換パーティなのだ。その退廃的ムードは、彼らの子供たちをも支配していた。この町の連中には、生きる目的など存在しないのである。こんなところへババーがやって来るという噂。人々はババーを追いつめることに熱中しだした。シェリフのカルダーだけが冷静に事態をみつめているだけだ。こんな中にババーが市のはずれの自動車スクラップ置場に潜入してきた。ババーはそこから妻のアンナに黒人を使って連絡した。アンナはジェイクとモテルで逢びきの最中だったため、黒人はカルダーに捕らわれた。カルダーは、アンナとジェイクをババーを自首させる約束で密かにスクラップ置場へ潜行させた。このことを知った町の連中は、保安官事務所を襲った。カルダーは殴り倒され、保護の黒人の口からババーの居所を知った町の連中は、スクラップ置場に殺到した。ババーを捕まえろ!狂喜の彼らは、ババー、アンナ、ジェイクの3人がひそんでいるあたりめがけて、ガソリンを投げる。銃を射ち込むという騒ぎになった。この騒ぎでジェイクとババーが死んだ。人々の興奮はやっと収まった。翌朝、カルダーと妻のルビーは淋しく町を去っていくのだった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.5土曜日の狂乱

2020年11月3日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 てっきり逃亡モノの作品かと思っていたのに、オープニングこそ緊迫する逃亡劇だったものの趣旨が全く違っていたことに驚いてしまった。舞台となるのはテキサス州のメキシコに近い海辺の町。石油成金の金持ちが多いこの町でも、首領とも言えるバル・ロジャースが金をばらまいて不動の地位にいた。刑務所脱獄があった土曜日の夜、盛大なバル(E・G・マーシャル)の誕生パーティやババー(レッドフォード)を知る中年夫婦たちのパーティ、それに10代の若者たちのパーティなどが行われていた。

 2年前にババーが刑務所に収監されてから、ババーの妻アンナ(ジェーン・フォンダ)はバルの御曹司ジェイク(ジェームズ・フォックス)と愛し合っていた。多くの人は知っていた公認の中だったが、バルとババーはその事実を知らない。ババーがジェイクに復讐するために脱獄しただのと噂は絶えず、みなニュースに興味津々。一緒に脱獄した凶悪犯が逃亡中に殺人を犯したのに、ババーが殺したのだと信じ切っていた。

 そんな中でも銀行員のエドウィン(ロバート・デュバル)やババーの黒人の同僚レスターは以前に罪を被ってもらったこともあり、彼を信じていた。そして両親もアンナもジェイクも保安官カルダー(マーロン・ブランド)も、ババーは乱暴ものだけど人殺しはしないはずだと信じていたのだ。

 石油成金が多い町。拝金主義者ばかりで、銃を持っている者だらけ。アメリカの闇の部分が強く表れ、黒人差別も根強い町なのです。中年パーティでは夫婦交換なんてのも厭わないほど、退廃的な自由を追い求めていた。カルダーだけはおかしさに気づいて、賄賂とも思える寄付などを断り始めていたし、子供のいない老夫婦も冷ややかに成り行きを見ていた。

 レスターがアンナと連絡を取ろうとしていたことから、人々はババーが近くに来ていると察知して、カルダーとレスターに卑劣な暴行を加えて聞き出そうとする。皆、ババーを殺したがっていたのだ。そして、暴徒化した人々が警察に集まりスクラップ工場へ押し寄せ、何か戦争でも起こったかのように暴れまくる狂気。群集心理なんてものじゃない。明らかにアメリカが抱える闇が爆発したものだろう。ベトナム戦争に本格的に参戦したり、公民権運動の時期だったりするので、時代がこの作品を生んだのだろう。おぞましい・・・テキサスだけのことと思いたい。

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kossy

3.5法も秩序もない

2018年11月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

興奮

ある騒ぎがキッカケで無法地帯と化す小さな町で大人から子供まで暴徒化し群れたら怖いモノ無しな人間の愚かさと結果の酷さに常識ヅラした普通の一般市民にコソ腹が立つ。

M・ブランドとR・デュバルは「ゴッドファーザー」が初共演だと思っていた!?

物語の核となるR・レッドフォードの役柄が良い。

町の人々を守る筈の保安官には力も無くラストは呆れ返ったように町を立ち去るM・ブランドに共感し何とも言えない哀愁が漂う。

今現在にも通じる豹変し徒党を組んだ時の人間の行動がリアルに遣る瀬無い。

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