天と地のレビュー・感想・評価

　美しい村に住むレ・リー。ベトナム戦争がはじまり、二人の兄はベトコンに参加。村に南ベトナム軍がやってきて、彼女はスパイとして拷問される。その後、北ベトナム軍がやってくるが、今度はレイプされてしまう。村を離れた彼女は、裕福な男性の婚外子を出産、生きるために物乞いや売春も。そんな時、海兵隊のスティーブと結婚、アメリカに渡るが。
　レ・リーの実話をもとにした物語。南北軍に翻弄され、過酷で波乱に満ちた経験をするレ・リー。同族の分断による戦争なら、どこでも起こりうる怖さです。そして、日本人みんな大好きトミー・リー・ジョーンズ演じる、スティーブとの出会いでホッとします。ところが文化も宗教も違うアメリカ、さらに心を病んでいたスティーブ。再びの過酷な運命に、あんまりだ、と思いました。それらを乗り越え、成功した彼女に称賛です。亡くなっても、支えとなっていた父が良かった。

壮絶な映画。あの時代だからこその迫力、熱がある。最初から最後まで完全に引き込まれた。間違い無く歴史的名作である。

　ベトコンゲリラだった少女が都会に出て妊娠して米軍兵と結婚してアメリカに渡って生活するという一代記。運命に翻弄されっぷりが凄まじく、また戦争シーンは迫力があるものの、そもそもベトナム人女性の人生に関心があまりないので2時間半もある映画を最後まで見るのが苦痛だった。

　こういった誰々の一代記という映画を最近立て続けに見ていると、こうこうこうでこうでありましたと場面場面が流れていって物語としての醍醐味があまりない作品が多い。実話に基づいているから仕方がないのかもしれないが、その点『わが母の記』は「あの時母はなぜあんな事をしたのか」というミステリー要素があって見事だった。