「自由と平等」天井棧敷の人々 赤ヒゲさんの映画レビュー(感想・評価)
自由と平等
二十代の頃に初めて観たときは、面白いんだか何だかよくわからなかったのですが(苦笑)、今観ると、冒頭からラストまで「これぞ、名画!」という風格に魅了されました。ただ、その魅力は捉えにくく、ひとりの女性に振り回される男達の心情もわかるような、わからないような不思議な感触でした。ガランス役のアルレッティは、撮影時(1942~43)に44~45歳ですが、一体、何歳の設定なのでしょう?美しく妖艶な容姿で「恋なんて簡単よ!」と言われると、男達は何もかも投げ出して愛の告白に命を捧げてしまう…。ふと、沈没船ジョークのフランス人を調べたら、「決して海には飛び込まないで下さい」だったので、少し理解できましたが(笑)。名シーン、名台詞のオンパレードですが、特に、バチスト(ジャン=ルイ・バロー)がガランスと出会い、パントマイムを披露するところはとても印象的な名シーンでした。今作に限らず、一目惚れで恋に落ちる場面は多くの作品で描かれますが、そんなことをしてるのは人間くらいかなと時々考えることがあります(笑)。他の動物だと、角と角をぶつけ合って強い方を決めたり、より美しく踊れたり、立派な巣を作れたりというある種の審査過程がありますが、人間には一瞬見ただけで見極める能力があるのでしょうか。勿論、見誤ってしまって、予想外の展開になることもあって、それ自体が人生における悲喜劇を生む源泉なのかもしれませんが。今作の舞台となる1820~30年代のパリの世相や、映画が作られた戦時下の混乱の中で、「天井桟敷の人々」に象徴される自由や平等を希求する人々の思いが強く印象に残りました。
talisman様
コメント、ありがとうございます。
ホントに不思議な現象ですよね(笑)。目と目が合ったときに、「何か」を感じるんですよね。あ、その昔、ニシキヘビを首に巻いて、そのヘビちゃんと目が合ったときに「カワイイ!」と感じたことはありましたけど(笑)。
赤ヒゲでした。

