デモンズ'95

劇場公開日:

解説

墓地管理人の青年が、墓場より蘇ったゾンビと肉体と精神の両面で対抗し、苦悩する姿を描いた異色ホラー。クリムトやムンクとともに19世紀末に活躍した画家アーノルト・ベックリンの代表作『死の島』をモチーフに、ヨーロッパ世紀末のオカルト的世界観をビジュアライズしている。なお、「デモンズ」シリーズとは別個の独立した作品。監督は、イタリアンホラーの巨匠ダリオ・アルジェントに師事し、テリー・ギリアム監督「バロン」の第2班監督を務めた後、アルジェントの製作・脚本で「デモンズ3」「デモンズ4」を手掛けたミケーレ・ソアヴィ。ティツィアノ・スクラヴィの同名小説(未訳)を、ジャンニ・ロモーリが脚色。製作はソアヴィ、ティルデ・コルシ、ジャンニ・ロモーリの共同。撮影はマウロ・マルケッティ、音楽はマヌエル・デ・シーカ、SFXは「デモンズ」シリーズのセルジオ・スティヴァレッティが担当。主演は「アナザー・カントリー」「ダンス・ウィズ・ア・ストレンジャー」のルパート・エヴェレット。共演は、ヨーロッパで人気のミュージシャン、フランク・ハジー・ラザロ、一人三役のファムファタル的ヒロイン役にスーパーモデル出身のアンナ・ファルチら。94年度ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞最優秀美術賞受賞作。

1994年製作/イタリア・フランス合作
原題または英題:Dellamorte Dellamore
配給:コムストック
劇場公開日:1994年11月26日

ストーリー

北イタリアの小さな村バッファロラで、墓地管理人を務めるフランチェスコ・デラモルテ(ルパート・エヴェレット)は、人里離れたこの地で、毎日の仕事をこなすのが生き甲斐となっている。彼の唯一の友人で仕事の手伝いをしてくれるナギ(フランソワ・ハジー・ラザロ)は足が不自由で、おまけに容姿が悪く口がきけない小男だったが、優しい性格はフランチェスコの孤独を時として癒してくれていた。そんな平穏なある日、突如、不思議な疫病の影響か、墓に眠っていた死者たちが蘇るという事態が発生。フランチェスコは死人の群れと戦うが、周囲の人々は彼の作り話にすぎないと誰も相手にしない。毎夜、ゾンビとの戦いに明け暮れる彼の前に、ミステリアスな女(アンナ・ファルチ)が現われる。理想の女性像を見い出した彼は女に恋心を抱くが、彼女はゾンビの餌食となり、生ける死者の仲間入りをする。終わりのないゾンビの襲撃に、精神を侵され始めたフランチェスコに「生ある者を殺せ」と、死の声が毎夜囁く。そして死んだ女と瓜二つの女が、次々に彼の前に姿を現わす。死の世界からの誘惑に負けそうになったフランチェスコには、生者の世界もまた煩わしいものだった。彼は、ナギと共に村を去る決意をする。フランチェスコは、生と死について限りない自問自答を繰り返すのだった。

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