「華麗なる、恐怖」デモンズ ダックス奮闘{ふんとう}さんの映画レビュー(感想・評価)
華麗なる、恐怖
イタリアン・ホラーの巨匠、ダリオ・アルジェントが製作を務めた、1985年上映のホラー作品。
数々のイタリアン・ホラーが生み出されてきた中で、ダリオの作品が常に高い評価を得てきた背景には、ホラーとしての要素以上に、細部まで構築し尽くされた構成美の完成度にあると言っても良い。本作も、その華麗な表現と美術、イメージが洪水の如く溢れ出す。
映画館という特殊な、それでいて妖艶な雰囲気漂う舞台で行われる壮絶なサバイバル。そこには確かに、強烈なまでの生々しい表現がつきまとうが、同時に観る者を幻想の世界に誘う色があり、音があり、無駄の無い動きがある。単なるストレス発散目的に観賞する一品にするには、余りに勿体無い魅力がこの作品には宿っている。
現代のCGが作り出す恐怖と比較すると、陳腐なものを感じてしまうかもしれない。鼻で笑ってしまうこともあるかもしれない。しかし、何も考えずに描かれる世界に目を向けて欲しい。貴方が本当に求める恐怖が、世界が、見えてくるはずだ。作り物にしかできないものが。
メッセージは二の次に。映画理論なんかも二の次に。ただ、美しさに溺れる。そんな楽しみ方が出来るホラーって、素敵ではありませんか?
コメントする