鉄道員のレビュー・感想・評価
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末っ子サンドロから見た家族の物語
戦後イタリアを舞台に庶民の家族愛を
少年の視点から描いた。
監督自ら演じる機関士も素晴らしい。
いたいけな眼差しのサンドロ少年の
愛くるしさ。
長女ジュリアの陰のある美しさ。
アナクロな話だが
アナクロな話だが、僕の家族の話。
昔はこんなだった。
親父は『うつ、かう』だけはやらなかったが、あとはマルコッチの人生と同じ。でも、時たまは家族団らんもあった。映画はよく連れて行ってもらった。
家族を思う父の気持ち
日本人にもわかりやすい家族愛がテーマとなっている。
イタリア人と言うと、日本人とは違って陽気なイメージがあるけれど、この時代(戦後、日本と同様貧しかった時代)、もしかしたら西洋人の中でイタリア人が一番日本人的なのではないかと思えた。
哀愁を帯びたテーマ音楽から、悲しい物語ではないかと想像したが、違っていた。最後、主人公(実際の主人公はナレーターの子供であるが)は死んでしまうが、悲劇の話でなく、あくまで家族愛が主たるテーマだった。欲を言えば、最後は主人公は死ななくても良かったのではないか?無理にお涙頂戴映畫にしなくても、 十分名作に値する映畫になっていたはずだ。
それにしても、ジュリア役のシルヴァ・コシナは綺麗だった。
イタリア家族の日常が飾ることなく描かれ、人生の喜怒哀楽が詰まってい...
イタリア家族の日常が飾ることなく描かれ、人生の喜怒哀楽が詰まっている。子役が名演、父母、兄姉を思う姿が胸を打つ。悲しいけれど希望と幸せを感じるラストは涙、いつまでも心に残る名作だった。
名作
みなぎる生活感が力強く心に残る名作。しょうもないお父さんだから離れていく子供たちとも、クリスマスに心が通い合う。ただその日に父が召される。字にしてしまうとこんなだけど、子供たちの感情の起伏と悩む母、隠れて苦悩する父と、当時のイタリアの戦後復興と成長、市民生活がよく表されいる。
断ちがたい家族の絆をリリシズムに載せた名画
鉄道機関士アンドレア一家に起こる悲喜交々の出来事を、次男サンドロの目を通して描いた、温かく心満たされるホームドラマ。ピエトロ・ジェルミ監督のネオレアリズモタッチが支える、少年の視点の可愛らしさが前面の、演出の語りの巧さ。長女が死産を経験するクリスマスの夜から翌年のクリスマスまでの1年間の出来事を細密に描く。また、叔父さんになれなかったサンドロが、姉ジュリアと父親の断絶を簡潔に説明する分かり易さが優しい映画。ラストシーンの、父の居ない朝の様子が日常となったセンチメンタルなタッチと、友達に促されて元気よく走りだすサンドロの笑顔。カルロ・ルスティケッリのテーマ曲がアンドレア家族に寄り添う。
酒に溺れる頑固親父を演じるピエトロ・ジェルミの名演。このダメ親父を軸にした脚本が優れている。運転中の投身自殺で狂い始める家族の絆。左遷からストライキ破りになる父の居直りと孤立。そこに、不良な長男のマザコン振りと父に不満を抱えたまま大人の女性に成長した長女。そして、全ての原因が傲慢な父にあろうと慕い続ける次男サンドロの幼さ。大人との約束を破って何度も騒ぎを大きくしてしまうところのユーモアもジェルミ監督の特長だ。
また視点を変えれば、この映画の本当の主役は、ルイザ・デラ・ノーチェが演じた母親に見える。戦後の苦しい生活で稼ぎ頭の夫を支え、子供3人を育て、子供の幸せを願い取り乱すことなく良妻賢母を貫く姿は健気で美しい。賑やかなクリスマス、来客が帰り宴の後のふたりだけの家で夫のセレナーデを聴き、寝入ったと安堵するノーチェの表情に妻であり母の本当の気持ちが表れている。悲哀に沈んだルスティケッリの名曲が余りにも素晴らしいので、一見涙を誘う悲劇映画と判断されがちだが、脚本と演出をよく見れば、生きるために人はどう耐えて人を信じ生きなければならないかの示唆を感じ取れると思う。ジェルミの名演に劣らない、ノーチェの感情を抑えた演技も素晴らしい。
そして、シルバ・コシナの悩ましい曲線美の肢体と美貌が、朽ちることなく永遠にこの映画に刻まれている。エドアルド・ネヴォラのイタリア少年そのままの自然な演技は、映画史に残るもの。家族の断ちがたい絆の光と影を、リリシズムに載せて描いたイタリア映画の名品。
名作の呼び声高い本作。なるほど納得。 家族はやっぱり家族、そんな映...
名作の呼び声高い本作。なるほど納得。
家族はやっぱり家族、そんな映画。友情もいい、あのおっさん、もう家族。ラストの母の表情だけが気になる、今後が心配。
ほぼ主人公といっていいサンドロ、そして超ド級の美人姉ジュリアの2人がこの作品を名作へと押し上げた。間違いない(笑)
人生で一度は見なけりゃ、の秀作。
二回目の鑑賞で違う印象をもった
総合:70点
ストーリー: 70
キャスト: 70
演出: 65
ビジュアル: 60
音楽: 70
特急の運転手がお酒を飲んで運転して危うく正面衝突の大事故になるところだった。みんなのための労働運動で自分個人の失態を取り上げてもらおうという言い訳がましい自分勝手な行動をして相手にされず、それが面白くないからといってさらに酒に溺れる。
なんだこの人は?。多くの人の命を預かる仕事をしているのに酒を飲むなんて、自業自得なだけでしょうと思った。嫌なことがあるたびに飲酒が許されるならば、世の中飲酒運転だらけですよ。名画と言われているけれど、最初にこの映画を見たときはむしろこの自分勝手な行動にたいして否定的な気分だったし、家族にたいしても頑固で態度良くないし、だからこの映画が面白いなんて思わなかった。私は自ら不幸を招く行動をする人にたいして同情するような傾向はない。むしろ窮地だからこそ何とか前向きに努力し続ける人が好きなのだ。
だがそれから幾年月が過ぎて改めて見直してみると、事故のことよりも家族模様の掘り下げがもっと正面に見えてきた。父親は完璧な男でもなく、まして真の英雄でもない。父親の行動が良いか悪いかの判断を描いたものではなく、だが彼なりに誇りをかけて一生懸命やったことや、それが招く人々との関係の変化や感情や男の人生が描かれていたんだなとわかった。また末っ子の男の子の存在が、嫌な雰囲気を和らげ希望をもたらしている。それでもまだ世間一般の評価ほど特別な素晴らしい映画だとは思わない。でも最初に見たときとは随分と印象が変わった。
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