「潔い死生観に驚嘆」ディープ・インパクト odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
潔い死生観に驚嘆
本作の後に公開された「アルマゲドン」と合わせ1998年は天体衝突映画の当たり年でしたね。もっとも東宝の「妖星ゴラス(1962)」の方が先んじてはいましたが、被爆国としては核爆弾に頼る訳にもいかず地球の方を動かすという突飛な回避策でした・・。
今では6600万年前にユカタン半島に落ちた直径10kmの巨大隕石が恐竜を絶滅させたのはもはや定説ですから天体衝突ものの怖さはパニック映画の中でも超弩級です。
アルマゲドンはもっぱら決死隊の活躍に焦点があたっていましたが本作は地球の危機に瀕した市井の人々のドラマに寄せられています。津波の様はあまりにリアルなので怖い思いをしたのを覚えています、特に覚悟を決めた父と娘の海辺のシーンは圧巻でした。それにしても登場人物の潔い死生観は古い日本人にも通じるところ大ですね、黒澤フリークで日本贔屓のミミ・レダー監督だからこそという気もします。
天体衝突はIFではなくWhenの問題であることは確かだから恐ろしい。ハヤブサやNASAのオシリス・レックスの調査にも小惑星の構造や物性を知っておき万一の回避策に役立てようとの狙いが込められていると聞く。映画ではアマチュア天文家がたまたま発見とされているがそれではあまりにも心細いですね、映画の影響かは分かりませんが今ではNASAをはじめ多くの機関が目を光らせており国際的な取り組みも進められている。地球接近天体は2万近くあり危険なものは1700位だという、地震の予知は難しいが天体衝突に関しては観測と軌道計算で予知可能な点では恵まれている。ただ、回避可能かは未知数だし、なまじ知ってしまったら地獄かも知れません。
BSでやっていたので再鑑賞、3.11を知ってから見直すと津波の怖さは更に深刻に思えました。