劇場公開日 1993年4月24日

「「放浪者」の素顔」チャーリー(1992) キューブさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5「放浪者」の素顔

2012年4月11日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

幸せ

 チャップリンと言えばおそらく誰しもがあの「山高帽をかぶり杖を持ったちょび髭の小男」を思い出すだろう。この映画はそんな彼の「真の姿」を見せている。
 この中で描かれているチャップリンの素顔は「女たらし」で「精神的に参っている」「自尊心の高い」「気難しい男」だ。要するに、真の彼は喜劇的ではない。そして天才でもない。物語の終盤に自伝の執筆者(映画のみに登場する架空の人物)にチャップリンはこう答える。「天才でないことが悲しい」。そう、彼はただのロリコンでも共産主義者でも天才でもなかった。普通のコメディアンなのだ。このシーンに彼の本質が現れているだろう。
 途中、伝記物にはありがちな冗漫なシーンが多々ある物の最後のシーンは見る人の心を打つ。チャップリンという人物を描いた初めての作品としては一見の価値がある。
(11年4月24日)

キューブ