「シャンパン飲むときの上目遣いのこれぞ『ベット・ディヴィスの瞳』のデカイ目!」痴人の愛(1934) もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
シャンパン飲むときの上目遣いのこれぞ『ベット・ディヴィスの瞳』のデカイ目!
①あまりに酷い女の役なので誰も演じたがる女優がいなくて、「それじゃアタシが…」ということでベット・ディヴィスが演じて大好評になり大スター・大女優への道を開いた(どうしてもミルドレッド役がやりたかったので、ワーナー所属ながらRKO映画に出て、大評判になったため、ワーナーの社長が機嫌を損ねアカデミー賞主演女優賞を取らせないように裏から手を回した、というのも有名な話)ハリウッド映画史に残る映画だが、私にはもうひとつピンと来なかった。②“予想していたほど酷い女ではないじゃないか”というのと、矛盾するようだが、フィリップがあれほど入れ込むのが理解できないのとで、何のこっちゃというのが鑑賞後の正直な感想。③ベティ・ディヴィス、若い頃は結構可愛かったじゃん、という印象。ただ、シャンパングラス越しにあのギョロ目でフィリップを見る表情だけで(2シーンあり)、“目ぇ、デカ!”という強烈な印象と同時に確かにミルドレッドという女の卑しい本性を良く表現していたと思う。だんだん荒んできてからが本当の演技の見せ場で、フィリップに「むかつく女だ(You disgust me)」と言われてブチキレるシーンで鬼女のような面相で悪口雑言の限りを尽くすところは、現在の映画では珍しくないが、確かに当時のハリウッドでは若い女優がこんな演技をするのは衝撃的だっただろう。「あんたとキスした後はいつも口を拭いてたんだよ!」とジェスチャー混じりで罵るところも有名。死ぬ前のボロボロになった姿も当時のハリウッドの若手女優は絶対にしたくなかっただろうな、というメーク。そういう意味ではやはりベティ・ディヴィスはパイオニアだったんだとは思うが、映画の出来はまた別の話。④なお、フランシス・ディーは現在でも充分通用する可愛さです。