「チップは多めに」地下室のメロディー こころさんの映画レビュー(感想・評価)
チップは多めに
5年の刑期を終え出所した熟年のギャング、シャルルをジャン・ギャバンが、同房だったチンピラ、フランシスをアラン・ドロンが演じる。
アラン・ドロンの右頬にある疵痕がやさぐれ感を醸し出す。
自宅で出所を待っていた美しい妻の制止を受け入れず、シャルルはカジノ地下金庫の現金強奪をフランシスに持ちかける。
アルファロメオ ジュリエッタスパイダー ヴェローチェ( ← 検索による )のハンドルを握るアラン・ドロンが絵になる。モノクロでの鑑賞でしたが、果たして車の色は何色だったのでしょう … 。
ラスト … 痛恨の … 。
イメージ通りの映像を求め、撮影さぞ大変だったでしょうね。
ーマジェスティック ホテル
ー文句を言うのが上客だ
NHK-BSを録画にて鑑賞 (字幕)
こころさんへ、返信ありがとうございます。
映画からクラシック音楽に浮気していた20代前半の頃は、まだサントリーホールが無く、こころさんが指摘したように殆ど東京文化会館でコンサートを聴きました。小澤征爾さんやバーンスタインのように超有名な指揮者は、偶然にもNHKホールでした。初めてのNHKホールでは、映画館と同じと思ってパンをかじっていたら、すぐさま劇場の案内係の女性に注意され恥ずかしい想いをしました。田舎者が判りますね。
美男美女がそれだけでスターに成れる訳で無いのは当然で、やはり個性に他と比較できないものが無いと難しいと思います。アラン・ドロンの美しい顔や細身の整ったスタイル、それでいて近寄りがたい高貴な雰囲気を持っていないことが、多くの人に愛された要因に挙げられると思います。超カッコいいけど気取っていない、その親しみ易さ。「お嬢さん、お手やわらかに!」を観た時、女性にモテ過ぎる男を演じて少しも嫌味を感じなかったことが印象に残っています。それから成熟した男に変わっていき色んな役に挑戦して結果を残し、フランス映画の名優になった。「太陽がいっぱい」「若者のすべて」「山猫」「冒険者たち」「サムライ」と、ドロンでなければ名作になっていなかったかも知れません。
子役について一つ言えることは、名子役は本来の演技論から論じるべきではないと考えています。日本では子役の演技を取り立てて褒める傾向がありますが、成人すると個性が確立しつつも昔ほどの輝きが無くなり、極普通の人に成っていたりします。やはり成人してからも演技を学ばないと、良い役者にはなれないのではないでしょうか。
こころさん、コメントありがとうございます。
奇麗な女優も男優も若い頃の美貌を維持しながら演技に深みを出していかないといけませんから大変な事です。アラン・ドロンの経歴を見るとスカウトされてから程なく脚光を浴びて演技を正式に勉強する時間が取れなかったのではないかと思われます。そこが例えばマーロン・ブランドやポール・ニューマン、ジェームズ・ディーンなどと違うところです。同じフランスの美男スターの先輩ジェラール・フィリップは短い間でも演劇学校に通った経歴を持っています。
女優で言えば、ガルボやグレース・ケリー、原節子のように絶頂期で惜しまれて引退するのがいいし、知性的な美女の特徴があります。演技の巧さは、その人の文学的な素養と知性の高さも必要ですから。名優全てとは言いませんが、本を沢山読んでいるかが名優の証しとも言えると思います。
若い頃東京近郊に住んでいた時、何度かオペラ鑑賞をしましたが、その時何人かのドレスアップした俳優さんをロビーや劇場内で観ました。その数少ない中でも、今年亡くなられた山本陽子さんのあまりの美しさと小柄でもスタイルよく、そのウエストの細さに驚嘆したことが今でも忘れられません。本当に別次元のお姿でした。美しさが儚いことを、美しい女優さんが一番理解していますね。