「『ダンス・ウイズ・ウルブス』の先駆け」小さな巨人 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
『ダンス・ウイズ・ウルブス』の先駆け
総合:75点 ( ストーリー:85点|キャスト:70点|演出:70点|ビジュアル:70点|音楽:60点 )
その老人はかつてアメリカ先住民シャイアン族との生活で、小さいのに大きな男を殴り倒したために「小さな巨人」と呼ばれた。老人の語る彼の過去が喜劇調に軽く進んでいくので、最初はそれを軽薄と感じてあまりはまれなかった。
しかし話は西部開拓時代の厳しい現実があり、また彼の人生は壮絶な波乱万丈な見応えのあるとても興味深かいものだった。そしてその中に、アメリカ先住民と白人の対立とシャイアン族の虐殺という、アメリカの歴史的事実に基づく暗黒部を堂々と晒していた。要所要所で登場する部族の長が象徴的な役割を演じている。
古い映画だし決して全ての演出の質が高いわけではないが、それでも心に刺さる内容だった。観終わってみると、この重厚な話を描くのに喜劇調の演出もそう悪くないと思えた。
この映画の完成するほんのちょっと昔まで、アメリカはアメリカ先住民を野蛮な敵と描いてひたすら撃ち殺す映画を作っていた。1964年にはジョン・フォードの『シャイアン』がその流れに一石を投じたが、1970年代にはこの作品のようにはっきりと違う流れが出来た。本作はアメリカ先住民の名前を持つ白人が先住民側の立場を観るという点で『ダンス・ウイズ・ウルブス』の先駆けになっている。
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