ダンケルク(1964)のレビュー・感想・評価
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名作
2017年の映画「ダンケルク」を見る前に関連の過去作も見ておこうと思い1958年の「激戦ダンケルク」を見た後に本作も鑑賞。
1958年の「激戦ダンケルク」とは同じ場所の同じ戦闘を舞台にした作品でありながら全く違う見せ方で非常に面白かったです。
「激戦ダンケルク」はイギリス軍から見た物語。本作「ダンケルク」はフランス軍の若者から見た物語。
ストーリー、映像技術、演出、どれも本作に軍配があがります。
仲間が代わりに水を汲みに行って死んだとき主人公が神父に仲間の家族に出す手紙に付いて言ったセリフ「俺ならこう書く。仲間の代わりに水を汲みに行き死んだと」は名台詞です。
すでにポーランドは数千万の死者を出し、ドイツ軍は調子に乗るばかり...
すでにポーランドは数千万の死者を出し、ドイツ軍は調子に乗るばかり。フランスでもダンケルクの海岸に追い込まれた軍隊は為す術もなし。そんな状況下で同盟国であるイギリス軍は撤退することしか考えてない。相次ぐ空爆と砲撃により死者は増すばかりの悲惨な状況。火薬をふんだんに使った映像には圧倒されるが、古い映画だけあって音響効果が物足りない。
風刺をたっぷり使ったコミカルなタッチでもその中身は反戦映画。どことなく虚しく感じさせるベルモンドの雰囲気もいい。色男だけあって、民間人のジャンヌ(スパーク)とも仲良くなり、彼女が味方兵にレイプされそうになる現場に遭遇し、彼ら二人を射殺する。しかし、その後に彼女から求めてきて寝てしまったことにも虚しさを感じさせるのだ・・・
最後にはマイヤも壮絶な空襲によって死亡するのだが、結婚しようと言ったジャンヌが荷物を持って死んだ彼のもとへと歩いてくる姿が虚しくエンディングを迎えるのだ。
ある戦場での数日間
ドイツ軍によってダンケルクに追い詰められた英仏軍。砲撃や飛行機の機銃掃射に晒されながら登場人物がそれぞれの選択をしていく。ヒーローや美談を必要とする戦争映画とは異なり、戦場での日常が淡々と描かれている。
砲弾が空気を切り裂く甲高い音と、その後また日常に戻る兵隊達の背景に流れる飄々としたとも悲しげとも言えないBGM が後を引く。
ラスト、砲撃直後の砂丘をヒロインがピンクのワンピースで駆けてくる姿は、鮮やかで美しい
☆☆☆★★★ 仲間の元神父にジャン=ポール・ベルモンドは問いかける...
☆☆☆★★★
仲間の元神父にジャン=ポール・ベルモンドは問いかける。
「何で人を助ける事が出来ないんだ!」
「神は助けてはくれないのか?」…と。
その昔にゴールデン洋画劇場(確か)等で、数回テレビにて放送される度に観ているが、当時は30分くらいカットされての放送だった筈。
その後にLDが発売されて直ぐに購入し鑑賞してはいたが、今では本体が…。
…って事で、ノーラン版の公開による恩恵であろうか?以来うん十年を経ての念願のスクリーン鑑賞。
LD版の時は、やや退色が進んでいた記憶が有るので。今回の上映に際して観られる4Kレストア版は、もの凄くクリアな映像で驚いた。
ストーリーはノーラン版を観ている人には大体お分かりかと思う。歴史的な悲劇に遭遇してしまった1人の若いフランス兵士に起こる出来事。
つい先ほどまで隣に居た人間が、次の瞬間には無惨な死体となって地面に横たわってしまう無情感。
実はダンケルクとゆう、特定の土地からなかなか抜け出せない話ではありながら。彼がこの土地で出逢った人との間に起こる様々なエピソード集と言って良い。
言って見れば、どこかロードムービーに近い話だと思って良いのではなかろうか。
当時はまだCGが無い時代。画面の奥にまでエキストラを配しての映像には思わず胸に熱いモノが込み上げて来る…。
オサーンなのであった(笑)
数多いベルモンド主演作品の中では『リオの男』に次いで好きな作品で、カトリーヌ・スパークの小悪魔的魅力が弾けている。
2018年2月18日 角川シネマ有楽町
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