戦う翼のレビュー・感想・評価
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メロドラマ
「戦う翼」などという邦題から硬派な戦争ものと思って観るとはしごを外されます、原題はThe War Lover、戦争に取り憑かれた男の悲運を描いています。
同じB-17の爆撃隊の話では名作「頭上の敵機」があります、途中参戦したアメリカ軍は助っ人意識が強いから士気も上がらず帰還率は下がるばかりの状況で部下に温情的な司令官と非情で論理的な指揮官のコーチングの賛否を問うようなところも本作と通じるものがある。
そもそも護衛の戦闘機も無く狙われやすい昼間での長距離爆撃と言う命令自体が理不尽なのだが本作ではそのことには踏み込まず軍人としての人間性をテーマにしているようだ。
自信家で蛮勇な機長バズ・リクソン大尉(スティーヴ・マックィーン)と温厚な副操縦士のエド・ボランド中尉(ロバート・ワグナー)の人間性の対比を描くが、まさに命のかかった戦場では評価も単純ではあるまい。女性問題まで絡めて、まるで自業自得のようにリクソン大尉は命を落とす結末ではまるでメロドラマでした。所詮、戦争と言う不条理の中で綺麗ごとを描いても気休めにしかなりますまい・・。
マックィーン、飛躍
第二次大戦下、英国にある米第8空軍基地。
これまで8回出撃し、25回出撃すれば帰国出来る。
通称“女体号”はその日も一機、また一機、出撃していく。
如何にもハリウッドらしい戦意高揚映画っぽいが、異端の人物が。
隊を率いる機長のバズ大尉。
性格は粗野。命令は無視。部下の命を危険にさらす。何より、戦争で戦う事こそが生き甲斐。
副機長のボー。
性格は穏やか。何より平和を愛する男。
ことごとく真逆。任務や部下の事で対立。
そんな時…
ボーがダフネという女性と出会い、恋に落ちる。
交際はすこぶる順調であったが…、バズがダフネに色目を使ってくる。
性格真逆→対立から、最悪な険悪関係に。
そのまま重大な任務を帯びた出撃に。
そして、絶体絶命の危機に…!
普通に考えたら、バズはアブナイ人間だ。
しかし、“映画”という媒体で“スティーヴ・マックィーン”というスターが演じた事によって、カッコいいと認めざるを得ないアンチ・ヒーローとなった。
ちょいワルでありながら、漢の魅力。孤高。そして何処か悲しみを感じさせる。
死など怖くないとバズは言う。
が、ボーもダフネもその言葉の逆の意味を読み取る。
バズは、生きるのが恐いのだ。
まるでそれはあたかも、マックィーン自身も言ったかのように思えた。
戦闘シーンは実写や合成や特撮を駆使し、なかなか迫力と臨場感ある見せ場になっている。
戦闘機好きにも堪らないだろう。
ラスト、彼は散った。が、
公開は1962年。『荒野の七人』~『大脱走』の間。
マックィーンにとってイメージを決定付け、上昇気流に乗った作品と言えよう。
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