「帰還兵の孤独と闇」タクシードライバー yuitosさんの映画レビュー(感想・評価)
帰還兵の孤独と闇
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率直に、最初見た時は狂人が犯罪に手を染めてゆくだけの映画だと思っていた。だが時代背景を知って改めて見た時に全く別の感想となった。当時ベトナム戦争から戻った彼は居場所を失い大都会の中で孤独と闇を抱えただ日々を過ごすだけの存在となっていた。自らが命を賭け守ったモノが矛盾や不正にまみれた社会だった事、友人や恋人も無く誰とも心通わせられぬ孤独感それらに虚しさを感じながら、それでも正義は存在すると信じ自らが変えなければならないと歪んだ使命感のもと狂気に駆られた行動をおこしてゆく。結果社会から礼賛される姿はそれでも根本的に何一つ救われておらずそれはベトナム戦争そのものを表すかの様だ。ラスト夜の街に消えてゆくタクシーとバックミラーを睨みつける彼の目線は米国の抱える問題とその闇の深さを物語る様だ。若き日のデニーロもだが13歳のジョディーフォスターの風格たるや素晴らしかった。
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