太陽の帝国のレビュー・感想・評価
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スピルバーグの名作の一つ
1987年のスピルバーグ作品である。当時観た時は良い映画だったと言う印象は残っていたが内容はかなり忘れていた。今回NHKBSで放映されてたのを録画してたので、ゆっくり観てみました。当時よりさすがに今の方が自分も第二次世界大戦当時の中国、英国、日本の関係性やらの基礎知識を持ってることもあり、背景を理解しながら映画を堪能できた。
オスカーを獲りたかったスピルバーグはこの作品があまり評価されなかったので思いっきりシリアスに振り切った「シンドラーのリスト」を作ったのかもしれないが、私はこの「太陽の帝国」の方が人に対する愛情の深さが底流に流れているようで好きです。
子役は大成しない方が多いが、クリスチャン・ベールは大物俳優になった。素晴らしいことです。
憧れの零戦
子供の変化に“徐々に”感の無い演出が残念に思え…
この作品を劇場鑑賞してから、
もう35年以上も経っているのか、
と言う感慨深いTV放映を録画しての再鑑賞。
正直なところ、スピルバーグ映画としては、
私の中では評価の高くは無かったのだが、
長い時間を経て、
印象がどう変化するのか、しないのか、
また、スピルバーグはどんな意図で
この作品を製作したのか、
を探る楽しみもあり再度観てみた。
改めての今回の印象は、
当時と余り変わらないものだったのか、
P51ムスタングの攻撃シーンこそは
記憶に残る絵ではあったものの、
かなりの尺が収容所内での生存のための
立ち振る舞いという、
かなり地味な内容であったことに
改めて驚かされた。
最後に両親に再会できた息子は、
子供らしからぬ活躍で、
収容所の仲間からは認められていたものの、
果たしてこの先の両親との関係において、
普通の生活に戻れるものだろうかと
心配になるばかりで、
改めて、戦争の罪の深さを訴えようとした
スピルバーグの意図が、
そこにあるかとは思えた。
しかし、少しは日本に精通しているはずの
スピルバーグでさえ、
日本軍兵士の画一的な扱いや、
原作にあったからかも知れないが、
上海での特攻機の設定や
原爆の光の目撃など、
演出過多に走り過ぎたように見えることと、
何より、子供の変化に
“”徐々に”さが感じられない
演出は残念に思えた。
それにしても、その後、
大人になってからのクリスチャン・ベールを
たくさんの作品で目にしたわけだが、
実は大人の面影タップリの彼をこの作品で
最初に観た時は、勿論そんなことは
思いもよらないことだったし、
黒澤明をリスペクトしているスピルバーグ
らしく、「羅生門」のようなセットには
思わずニアリではあった。
主人公の高すぎる順応性はさておき、良作!
1番好きな映画かもしれない
子供にとってはワンダーランドかも
主人公の少年(クリスチャン・ベール)は上海生まれ、上海育ちのイギリス人、第二次世界大戦が始まり、租界も日本軍に占領される。
逃げる途中で両親とはぐれ、日本軍の収容所に連れて行かれる。
飛行機大好きの少年は、戦争さえもワンダーランドに見えて楽しそううだ。
欧米人のアジア人蔑視が少し感じられた。
ボーイソプラノ
スピルバーグでどれがいいと言えば個人的には一番がプライベートライアンで二番がこれ。世評とは異なるかもしれないが、じぶんの思い出としてこの二作品は大きい。
当時、若いわたしは太陽の帝国を見て凄く感動したのだが、世評はそれほどでもなかった。それはおそらく、大戦の映画で敵がわれわれだったからだ。横暴な日本軍にさんざん虐げられる映画であり、日本人としては無邪気に賞賛できる映画ではなかった。
ただし日本人の順路というかパターンというか経由地として中高生時代は自虐史観に染まっていることがあるw。よって若いころはHarshに描かれる日本軍に抵抗が少なかった。だから太陽の帝国が好きになれたのかもしれない。
(日本軍は酷いことをした──という事実は映画で確認することじゃなくて、文献書物などから学ぶこと──という気がしている。そうしないとTheCoveや金陵十三釵や軍艦島や主戦場や東京2020オリンピックなどなどのプロパガンダを峻別できない。不確かかもしれない映画を見て憤慨するのはあほだ。)
だいたいにおいてアメリカ映画を見ているときはアメリカ側に立脚しているもんだ。パール・ハーバー(2001)を見ているときだってそうだったんだから世話ねえや。
この太陽の帝国でも、多動で情緒不安定だがドラマチックでシュッとしてて気丈夫で蛮勇な少年時代のクリスチャンベールに対峙する日本人側はHarshな伊武雅刀とがさつなガッツ石松だったわけであり、こういう明瞭な二元を見せられながら日本人は史観を形成していって・・・いいわけがない。
映画は娯楽、主義主張の根拠にしてはいけません。という話。
──
当時マルコビッチは絶賛売り出し中の演技派で、著名監督がこぞって彼を起用していたうちのひとつが太陽の帝国だった。
好きなシーンがあって軍曹役ガッツ石松がトラックで移送する捕虜を選ぶのだが、その選定方法が面がまえ。
ぐいっと見て目が泳いでないやつを選ぶんだ。
そのときマルコビッチがブリキの椀をくるくる回しながらぐいっと見据えるとあっさり選ばれる。
ただそれは個人的によく覚えているだけでなんでもないシーンのひとつだった。
映画は長尺をものともしない演出でもっていく。
前段でもぬけのからになった上海の屋敷で下女がクリスチャンベール少年に容赦のないビンタをくらわして家財を盗っていくシーンが身分の崩壊を浮かび上がらせ、リアルだった。
が、少年はすさまじい生命力で捕虜生活を生き延びる。
映画の白眉は、空爆のさなか楼閣上で少年が興奮し、医師役に「君は考えすぎる、考えすぎるのはやめろ」と叱咤される場面だと思う。当時を思い出しても、その場面で突如ガシッと掴まれたような緊迫を覚えた。多感な少年に苛酷すぎる負荷がかかる映画だった。
スペクタクルとアドベンチャーと詩趣と、収奪された高価な調度が集まった競技場。信じられないほど潤沢な予算で描かれていた。
冒頭からかかるボーイソプラノのソロ・合唱曲「Suo Gan」が好きでサントラを買った記憶がある。きっとご同意いただけると思うが、いつでもやすやすとあの美しい旋律を思い出せる。
小さいクリスチャンベール
クリスチャンベールのデビュー作?
子役時代はどんなんだったかと
それだけが気になって鑑賞
見た目も演技も今のクリスチャンベールそのまんま
子供の頃から天才なんだなと
小さいクリスチャンベールには★×5
映画の内容は…うーん
なので-★×2
DVD108円ゲットシリーズ。今はこの値段では売ってませんがストッ...
カタルシスはない
疲れた
あんなマンゴーの切り方
支配的立場にある側が被支配側に倒錯する流れは興味深いが、少年をこういう状況におくことは、人格形成上、良い訳がなく、美化する余地はない。彼は自己を喪失する訳だが、道中なくいきなり終戦間際に時間が飛んでは少年の変貌する過程がわからない。「それでも自ら学んで、小さな英国紳士足りえる」というのは、ファンタジーに過ぎる。ビー球で遊ぶ周りの子供との落差がありすぎて、疑問も多い。
長い。収容所に行くまで長く、あまりにもの道楽息子の未熟表現にイライラする。最後の方も長い。少年の成長を描くのであれば、原爆のくだりの挿入は政治的に流れ、ベイジーの再登場も余計なような気がする。トランクを捨て去り新たな自我を獲得したのであれば、両親との再会も不要に思え、再会するのであれば、それは話の帰結ではなく、彼の新たな話の始まりであって、むしろそちらの方に興味が湧いた。
日本を美化するのは、公開当時の日本の国威もあるのかな。今撮れば、中国人をより人間的に描くのかもしれない。しかし、逆鉤十字に憧れる少年の話はないだろうな、などと思いながら見ていた。
彼らがこのような感情を持つことはおそらく二度とない
伊藤計劃のある一節。
「彼も本が好きだったの」
「そうね、よくバラードを読んでいたわ。『太陽の帝国』ってご存知…前世紀の映画だけど」
「スピルバーグの作品だよね。ぼくは古い映画が好きなんだ」
「その原作。J・G・バラード、って人が書いたの。映画よりももっとドライで、世紀末的で幻想的なタッチが印象的だった」
「映画とはずいぶん違うみたいだね」
「そうでもないの。ストーリー自体はけっこう小説に忠実よ。だけど……バラードの作品はもっと乾いてて、残酷なの。よく廃墟や世紀末を題材にした小説を書いていたわ。SF小説なの」
ってことで、観てみました。
少し日本兵を美しく描きすぎな気がしますが、
スピルバーグが創る世界観の美しさを再認識させられます。
マルコビッチはかっこいいけど、この時からやっぱりすでにおはげでした。
家を占領され、街の中を逃げ惑う少年は、白人であることへの漠然とした罪悪感と有色人種への恐怖感を抱えている。
彼らがこのような感情を持つことはおそらく二度とないからこそ、このような映画等からでもいいので、一度は体験してほしい。
2011/05/12 @おうち
帝国の下の少年の捕虜生活の話
総合:70点 ( ストーリー:70点|キャスト:75点|演出:80点|ビジュアル:80点|音楽:70点 )
内容の薄い娯楽作品の制作では成功していても、アカデミー賞を獲れる高品質の映画は撮れない。そんなスピルバーグ監督が、アカデミー賞狙うために制作した『カラーパープル』の失敗をうけて再びアカデミー賞に挑んだとも言われる作品。残念ながら今回も受賞はならなかった。
何でもかんでもお金持ちの父の権威を頼んで「僕のお父さんが・・・」としか言わなかったちょっとしたスネオのようないけすかない少年が、といってもその年齢とこの状況ならばそうであるのも当然ではあるが、父親のいない世界では自分しか頼るものしかないことに気がつき変わっていく。あっという間に全てがひっくり返った激動の時代に、厳しい状況をくぐり抜けて成長する。もう彼から「僕のお父さんが」という言葉が発せられることはなく、自分の力で何かをしようとする逞しさを身につける。美術にはかなり金がかかっていて、映像は良く出来ているし迫力もある。
だが重慶のような中国内陸部で戦っていたはずの1941年に沿岸部の上海近郊で零戦が撃墜されていたり、九州からではなく戦場から遠い中国から特攻機が出撃していたり、さらに中国から長崎の原爆の光まで見えてしまう。歴史考証には不満があるし、少年の捕虜経験だけでは作品の主題として弱いと考えて深刻な小話をいくつか無理やりねじ込んだできたのだろうが、物語を盛り上げるための事実の歪曲が行き過ぎている。
生活がひっくり返った場面や捕虜生活の描き方は質感が高かったが、わざわざ『太陽の帝国』と銘打った戦争を背景にした大作映画としては話が小さかった。日本のする戦争の話と少年の話にはあまり関連はなく中心はただの捕虜生活の話であり、そのあたりのせいもあって見終わっても感動が薄い。
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