劇場公開日 1988年4月29日

「あんなマンゴーの切り方」太陽の帝国 Kjさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5あんなマンゴーの切り方

2017年11月27日
iPhoneアプリから投稿

支配的立場にある側が被支配側に倒錯する流れは興味深いが、少年をこういう状況におくことは、人格形成上、良い訳がなく、美化する余地はない。彼は自己を喪失する訳だが、道中なくいきなり終戦間際に時間が飛んでは少年の変貌する過程がわからない。「それでも自ら学んで、小さな英国紳士足りえる」というのは、ファンタジーに過ぎる。ビー球で遊ぶ周りの子供との落差がありすぎて、疑問も多い。
長い。収容所に行くまで長く、あまりにもの道楽息子の未熟表現にイライラする。最後の方も長い。少年の成長を描くのであれば、原爆のくだりの挿入は政治的に流れ、ベイジーの再登場も余計なような気がする。トランクを捨て去り新たな自我を獲得したのであれば、両親との再会も不要に思え、再会するのであれば、それは話の帰結ではなく、彼の新たな話の始まりであって、むしろそちらの方に興味が湧いた。
日本を美化するのは、公開当時の日本の国威もあるのかな。今撮れば、中国人をより人間的に描くのかもしれない。しかし、逆鉤十字に憧れる少年の話はないだろうな、などと思いながら見ていた。

Kj