ダイヤルMを廻せ!のレビュー・感想・評価
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演出と映像に時代も感じるものの、良作
総合75点 ( ストーリー:80点|キャスト:70点|演出:65点|ビジュアル:65点|音楽:65点 )
物語の最初から最後までが殆どが一つの部屋の中だけで完結してしまうという犯罪作品。グレース・ケリーの美しさが華を添えるという点でも、同じヒッチコック作品の『裏窓』と共通点がある。
犯罪計画を考え実行する夫が狡賢くて身勝手で、だからこそ憎らしくて良い。完全と本人が思い込んでいる机上の計画と、現実に起こることの乖離を次々に現していく展開も良い。
だけど、か弱い女が鋏で背中を刺したぐらいで大の男が即死なんてあっさりしすぎていて現実的ではない。ヒッチコック作品の殺人場面の演出は、この作品に限らず迫力が中途半端で時代を感じてしまう。それに死刑が決まった死刑囚を外に連れ出すなんてことが出来るのかな。それに犯罪計画と謎解きに重点をおいた本作はもちろん良い作品ではあるが、人物像の掘り下げや感情の表し方は再映画化版の『ダイヤルM』のほうが現代的で上手い。
悪役が魅力的
完璧
完全犯罪を崩せ!
アルフレッド・ヒッチコックの1954年の作品。ヒッチコック絶頂期の一本。
若く美しい妻マーゴの不倫を知ったトニーは妻の殺害を計画。古い知人に依頼するが、妻は正当防衛で実行犯を殺害。トニーは妻の意図的な殺人にしようと策を巡らすが…。
妻の殺害動機も自分勝手。
実行犯を言葉巧みに丸め込み、狡猾。
警察が妻に疑いの目を向けた時は、自分がそう仕向けたくせに、必死に妻を庇おうとする善良な夫を演じる。
弁護のしようが無いほどゲス野郎だが、その紳士的な佇まいのせいなのか、何故かこの男と一緒になってハラハラドキドキしてしまうのだから不思議。映画のマジック?
しかし最後、悪事がバレた時は、倍返しドラマのようにスカッとさせる。
どんなに周到に計画しようと必ず綻びが生じる。罪人は罰され、完全犯罪など起こり得ない。
(ちなみにこれと真逆で皮肉たっぷりなのがウディ・アレンの「マッチポイント」である)
物語のキーとなる小物を印象付けるカメラワークや画面設計、決定的な証拠の鍵など、唸らずにはいられない。
舞台の映画化なのでほとんどが密室会話劇だが、スリルは盛り上がり、二転三転するストーリーは飽きさせない。
加えて、華を添える反則的なまでに美しいグレース・ケリー。
恒例の“ヒッチコックを探せ”は今回はユニーク。
ヒッチコック・サスペンスの王道とも言うべき極上作!
これを駄作リメイクしようなんて考える輩は居やしないだろう。
…あ、居たか(笑)
よかった
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