劇場公開日 1997年12月20日

「照れも臆面もなく真正面から本当の恋愛を描くからこそ、大の大人が号泣してしまう」タイタニック あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0照れも臆面もなく真正面から本当の恋愛を描くからこそ、大の大人が号泣してしまう

2019年6月2日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

何度観ても大の大人の男が号泣してしまう
いや大人だからこそ泣いてしまうのかも知れません
ローズとジャックのような本当の恋愛が自分にはもはや遠い昔の話になってしまったことを知っているからなのかも知れません
だからこそこれからそれを知るであろう若い人にこそ観て欲しい映画です
本当の恋愛をすべきだと
特に別れた後の相手の幸せな人生を願うシーンは心にしみます
そしてその言葉を糧に懸命に生きる彼女の姿にも

ジェームズ・キャメロン監督はターミネーターで大成功した人ですから俺達のジェームズ・キャメロンが一体どうしてしまったんだ?と当時は不思議に思えたものでした
しかし改めて観て思うことは本作は監督からすれば過去の作品と変わりはしないのです
もっと言えば大失敗作であったアビス、大成功したターミネーター2、そして映画史上最大のヒット作の本作、さらにそれを上回ったアバター
これらは監督からすれば直線上に連なる作品だと思うのです

アビスを撮ったからこそ、ターミネーター2の魅力的な液体金属の敵を出すことができたのだし、そもそもタイタニックを撮る切っ掛けにもなった
単にそれだけのことではありません

つまり、それは誰も見たことのない仮想の現実を、本当の現実と錯覚させるほどの映画体験を観客にもたらせるということの一連の仕事だったのです

だから、この恥ずかしいほどのど真ん中の直球かつ豪速球の恋愛シーンも、アバターでの超リアルな異星の世界を描くことも、彼には同じことだったのだと思います

それ故に照れも臆面もなく真正面から本当の恋愛を描けたのだとおもうのです

こうでありたかった恋愛の結末
それがラストシーンです
誰しも得られる訳ではない本当の恋愛の幸せな成就
あまりににも美しく手に入らなかった甘い思い出
それは本当はあり得たのだとおもえるからこそ、大の大人のが号泣してしまうのです

音楽もまたセリーヌ・ディオンの主題歌はもちろんエンヤの歌声も限りなく映像とマッチして気分を高めてくれます

最高の映画の一つと思います

あき240