第三の男のレビュー・感想・評価
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『第三の男』~光と影の魔術師キャロル・リード監督
いわずと知れた映画の古典。後の教科書的作品となる、リード監督の最高峰。考え抜かれた緻密な構成。無駄な場面ひとつとしてない高い完成度。数ある名シーンの唖然とする見事さ。冒頭のツィターの爪弾きの大写しからしてわれわれを作品に引き込む。オーソン・ウェルズの職人的演技にはただただため息が出る。またアリタ・ヴァリの芯ある骨太の演技も注目に値する。闇夜の街頭でさっと射す光に浮かび上がるふてぶてしいウェルズの鮮烈なマスクの演出は実に心憎い。ジョゼフ・コットンが講演者としていきなり車に乗せられ会場に着くまで暴走する場面には意表をつくサスペンスがあって面白い。アングル・ショットの多用が不安を募らせる。さらにオーソン・ウェルズが凶悪犯罪の黒幕と知ってもなおも愛しつずけるアリタ・ヴァリの悲しい女のサガ。それを知ったジョゼフ・コットンの失望があの映画史に残るラストシーンへとつなっがる。地下下水道のおとり場面の緊迫感も見所。この傑作なくして映画は語れない。
モノクロでしか表現出来ない巧みな演出
入念なリサーチにより丁寧に筋立てられた脚本は文句無しに素晴らしい。 映画的な作りであるのに戦争の傷痕を残した街や人々からはリアルさが漂い、そこに展開される宿命的な悲劇は当時のウィーンそのもので在るように感じさせる。 カラーが当たり前の現代に於いて、モノクロの素晴らしさ、力強さを感じさせてくれる作品。 特にウィーンの街並みを巧みに使った人影の演出は映画史に於いても屈指の演出だ。
完璧という言葉は、この映画のためにあるのではないか、と思うほどよく出来ている感じありますね。
よかったら、ぜひDVDを買って観てください。 ショットの素晴らしさは秀逸、ストーリーの面白さは秀逸、俳優の演技は秀逸、音楽は好く好きあるでしょうか? アマゾンで 300 円で買ったんですが、今までで一番安い買い物だったかも。 次は 『2001年宇宙の旅』です。
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