ダークライズ

解説

バルト海に臨む小国家エストニア共和国の旧ソ連からの独立前夜、首都タリン市に返還される金塊を狙うギャング団の強奪計画の顛末を描いたサスペンス・アクション。犯罪ドラマに託して、エストニア再生への未来の希望が語られる。粒子の荒いモノクロ映像で光と影の世界を巧みに描いた前半と、物語とも密接に絡んだ後半の鮮やかなパートカラーの使い方が出色。エストニア映画史上、最大規模のプロジェクトの監督とエクゼクティヴ・プロデューサーを手掛けたのは、ヘルシンキで現代文学と演劇を学んだ新鋭イルカ・ジャルビラチェリ。製作は、監督と共同でフィルム・ゾルフォを主宰するラッセ・サリネン。脚本はロサンゼルス在住で、舞台劇の戯曲を多く執筆しているポール・コルスビー。撮影はレイン・コトヴ、音楽は「ウェディング・バンケット」「イン・ザ・スープ」のメイダー。出演はタリン市出身の舞台俳優イーヴォ・ウーキビ、ミレナ・ガルベ、「惑星ソラリス」のジュリ・ジャーヴェットら。

1994年製作/99分/エストニア・アメリカ・フィンランド・スウェーデン合作
原題または英題:Darkness in Tallinn

ストーリー

第二次大戦の勃発前夜、侵攻してくる連合軍から守るため、エストニアの指導者たちは9億ドル相当の金塊をパリ銀行に隠した。50年後、エストニアはソ連からの独立を宣言。金塊が首都タリン市の国立銀行に移管される日が近づくが、ロシア人犯罪組織が金塊の強奪を企んでいた。彼らの計画は、発電所を占拠して市全体を停電させ、その機に乗じて金塊を奪って煙草工場に運び、溶かした金を煙草に加工して国外に運び出そうというものだった。発電所に勤める電気技師のトイヴォ(イーヴォ・ウーキビ)は、妊娠中の妻マリア(ミレナ・ガルベ)と裕福ではないが幸せな日々を送っていた。しかし犯罪組織にだまされて彼らの陰謀に加担させられる。いよいよ当日、トイヴォの手によって市は大停電となり、パニックで混乱する闇の中、大胆な犯罪計画が実行に移された。トイヴォは初めて事の重大さに気づくが、すでに金塊は煙草工場に運び込まれていた。そのころ、急に産気づいたマリアは病院に運ばれるが、停電のため母子共に危険な状態が続く。トイヴォは単身、発電所に乗り込む。トイヴォは加工した金の煙草をヒューズ代わりに使い、街は停電から回復した(この瞬間より画面はカラーになる)。トイヴォは金塊を密輸出する港へと向かう。警官隊とギャング団の間で激しい銃撃戦が展開され、組織は壊滅した。トイヴォはマリアのいる病院に急ぐが、子供を出産した彼女の心臓は停止した。と、その時、奇跡的にマリアは蘇生し、彼は喜びに包まれた。

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