「私の原体験映画」ソルジャー・ブルー シューテツさんの映画レビュー(感想・評価)
私の原体験映画
個人的に思い出の作品のDVD購入(オークション)に今更ながらハマっているのですが、その中でも一番欲しかったのが本作でした。
本作はリバイバル上映の記憶も無く、テレビでの放映も(あったかも知れないが)録画も出来ず、今の配信などでも見かけなかったのでもう一度見たいという思いが非常に強い作品でした。
ということで、本作の場合ちょっと高かったですが(それでも新品Blu-rayで2000円以下)購入してしまいました。
本作を初めて鑑賞したのは忘れもしない1971年3月7日、私が中学を卒業し高校に入学する前の春休みに中学の友達だった子と、大都会の大阪梅田の映画館(今は無き梅田東映パラス)にて初めてロードショーで(封切り)鑑賞した、私の映画の(思春期の)原体験となった記念すべき作品なのです。ここから、私の映画好き人生が始まったと言っても良いと思います。
当時15歳の私にとっては強烈に印象に残る作品でした。あまりにも強烈だったので当時の映画館は入替え制では無かったので2回連続して見た記憶があります。
本作の場合は上記のような条件や、初めての大都会の大劇場の大スクリーンや封切り直後の超満員の雰囲気などが重なり観る前からの興奮度も高く、かなりの高揚感で鑑賞した記憶があります。
本作の簡単な紹介をすると、当時のアメリカンニューシネマの波に乗って反体制的な作品が多く出現し、今までの西部劇ではあまり表現してこなかったインディアン側から見た白人の姿を描かれていて、ウィキでの簡単な説明も紹介しておくと特に「米国史の暗部である1864年のサンドクリークの虐殺を提示することで、1960年代のベトナム戦争でのソンミ村事件へのアンチテーゼを掲げた映画だとも云われている」とのことで、ラストの生々しい惨劇シーンが話題になった作品です。
で、今回半世紀以上経て見直したのですが結構詳細に憶えていて、人間の若い頃の記憶って改めて凄いものだと感心しましたよ。
但し、全体的な印象は違っていましたね。もっと社会派作品だと感じていたのですが、前半の主人公二人のロードムービーが思っていた以上に軽快で若々しく(緩くも)感じられ、まるで青春映画であり“grown-up” の物語を強く感じたのは、私が歳をとったからなのかも知れません。ラストシーンの拘束されながらも二人が笑いあい見つめあいながら終わるのは、他のニューシネマに無い希望が見られましたね。
今回見直してつくづく感じたのは、私の映画原体験ともいえる作品が本作で本当に良かったという事です。そして、これを15歳の多感な時期に見たことが最も重要で、その後の私の物事を見つめる姿勢や価値観に凄く影響を与えてくれたような気がします。
本作を見る数日前に話題の『福田村事件』を鑑賞していたのですが、構成やテーマに於いて本作と凄く似ている様な気がしました。人間の本質的な性質の弱さや醜さや美しさを同時進行的に描かれている共通点が見受けられました。
何を捉えるにしても、主観だけではなく客観的視点を絶えず意識して働かせていなければならないということを、本作で潜在意識に植え付けられたのかも知れませんね。