「今観ると全然面白くないですがそれでも心に突き刺さるラストシーン」卒業(1967) よねさんの映画レビュー(感想・評価)
今観ると全然面白くないですがそれでも心に突き刺さるラストシーン
裕福な家庭の一人息子ベンジャミンは大学を卒業したものの将来にこれといったビジョンもなく空虚な毎日を過ごしていた。親が自宅で催した卒業記念パーティーで父の会社の共同経営者の妻であるロビンソン夫人に車で家まで送って欲しいと頼まれ、押し問答の末に関係を持ってしまう。そんなことは知らない両親はロビンソン家の一人娘エレインとのデートを画策、夫人の反対もあってつれない態度でエレインと会うも彼女と過ごすうちに夢中になってしまい・・・からは書くだけ野暮かと。
4Kデジタル修復版での鑑賞。以前に鑑賞したのが大学時代なのでほぼ30年前、今回再鑑賞して改めて思ったのは本作、正直全く面白くないということ。まずベンジャミンが超絶に甘やかされたボンボンなのに心が満たされず悶々としているという男なので、これっぽっちも感情移入が出来ない。成人した息子の誕生日を派手に祝ったりする割にベンジャミンが何を考えているかにさっぱり関心がない両親、ベンジャミンを散々振り回すロビンソン夫人とそんな彼女の夜遊びにも気づかず遊び倒している夫、ベンジャミンの周りをウロウロする大人達等々正直エレイン以外はろくでもない連中ばかり。母親の不倫相手に初デートでいきなりストリップに連れていかれたかと思えば執拗なストーキングに遭ったりと散々な目に遭ったのになんで最後はあれなんだよ!?ってロビンソンさんじゃなくてもエレインの行動も納得がいかない。それでもこの作品に圧倒的な説得力があるのは最後の最後でベンジャミンとエレインが見せる表情。一瞬の恍惚の後に待ち受けるものを暗示するワンカットが本作を不朽の名作にしたといっても過言ではないでしょう。
今回もうひとつ発見したのは劇中でかかる”ミセス・ロビンソン“が普段聴き慣れているバージョンではないこと。あれはサントラにしか入ってないんでしょうか?気になります。