「子は親の鏡 で育つ」そして人生はつづく Socialjusticeさんの映画レビュー(感想・評価)
子は親の鏡 で育つ
キアロスタミ監督の作品は私自身緊張感が漂って困る。精神的に彼の映画は心の準備がいる。今晩はリラックスしてキアロスタミの映画でも観ようかなんて考えられない。自分の座る場所も特定なところに座り、じっくり腰を据えてみる。
『Institute for Intellectual Development of Children and Young Adults』と字幕が。明らかに初期の作品である。
相変わらず、最初は、同じようなシーンの繰り返しがあるが、そこからの動きを注目。奥深くて、人間性を追求する映画で、人間って言うものをどこの国でも、いつでもユニバーサルな存在と考えて映画を作っているから、集中しないと、彼の言いたいこと全てを聞き逃しちゃうし、見逃すと意味がなくなっちゃう。
これは子供の為の映画でありそれが芸術的に仕上がっている。 子供を人間として育てているシーンが多いのが好き。
だから、親子関係に焦点を当てて書いてみたい。父と息子プーヤの会話の好きなシーンがたくさんあって、困るが、いくつかいくつか挙げてみたい。
まず、車の中で、よく息子の話を聞いてあげる父親だと。 そして、『何?』『なぜ?』と聞くことで、息子に、『自分の意見を説明して論理展開ができるか』という将来必要な基本的考え方を啓発している。 すごい、父親。
息子がが放尿をするために車を止める。息子が父親が見てるのを気にして、木のかげに隠れてする。父親の見える範囲で放尿するが、そういう成長を父親は微笑んでいる。
コーラーが全部温かいと文句を言う息子に『お金を置くように』と人間教育を。
コーラーがあったかくお腹が変になったと捨てようとする息子。『赤ちゃんに頂戴』と言う隣人。現実をよく見極められない息子だが、施しの心をもつ。
コケルに行くため、回り道をしたことによって、いろいろな状況における人生の被害者を見せることにより、これが、将来の息子の情緒教育に役立つたり、相手のことを考える必要性などを学べる。父親の人々へ『聞いてあげる』態度も、手伝いも息子にいい影響を与える。
息子の頭の中はサッカーゲームのことばかり、現実、悲惨な思いをしている人々と息子と現地の子供達や若者の対比が興味深い。『親の子子知らず』のような息子だが、そうやって、『子は親の鏡 ... 子供は親から多大な影響を受ける』育っていく。そして、父親は息子の心情をサッカーは4年に一回だ、でも、地震は10年に一回だ?と言うアンテナを立てている青年にあって理解する。
父親は道中あう全ての人々に優しく荷物を運んであげたりして手伝うが、最後、息子をテントのところに下ろしてから、急に態度が変わり、坂道に差し掛かる時、『乗せて欲しい』と頼むオレンジの荷物の男の願いを無視する。私はここで、おかしいな?手本を見せる息子がいないから?それとも、先に行く二人に会うため急いでいるから? なぜ、乗せてあげないの、今までの態度とは随分違うねと思ってみていたら、車がエンコし、ゆっくり上がってきたオレンジの荷物の男が荷物を置いて押してあげる。動いて一旦下った車は鋭気を養い、また上がってきて、オレンジの荷物を担いだ男の先で止まり、彼を乗せてあげた。
この最後のシーンが最高。父親の本質がわかった。この一貫性のある父親は息子にとっても、人々にとっても、同じ扱いをすることができる模範生。