セントラル・ステーション

劇場公開日:1999年2月6日

解説

父親探しを通して芽生えた少年と中年女性の心の交流を暖かく描いたロードムービー。監督はドキュメンタリーも手がけるヴァルテル・サレス。脚本はジョアン・エマヌエル・カルネイロとマルコス・ベルンステイン。製作は「天国の約束」のアルテュール・コーンと「ヴィゴ」のマルティーヌ・ド・クレルモン=トネール。製作総指揮はエリザ・トロメッリ、リリアン・ブリムバウム、ドナルド・ランヴォ。撮影はヴェルテル・カルバーリョ。音楽はアントニオ・ピントとブラジル音楽シーンで活躍するジャキス・モレレンバウム。美術はカシオ・アマランテ、カルラ・カフェー。編集はイザベル・ラテリー、フェリーペ・ラセルダ。録音はジャン=クロード・ブリッソン、「アンダーグラウンド」のフランソワ・グルー、ブルーノ・タリエール、ヴァルディル・グザヴィエ。出演はブラジルの名女優フェルナンダ・モンテネグロ、本作が映画初出演の子役ヴィニシウス・デ・オリヴェイラほか。98年ベルリン映画祭金熊賞(グランプリ)銀熊賞・主演女優賞(モンテネグロ)受賞。第71回(98年度)アカデミー主演女優賞(モンテネグロ)ノミネート。

1998年製作/111分/ブラジル
原題または英題:Central do Brasil
配給:日本ヘラルド映画
劇場公開日:1999年2月6日

あらすじ

リオの中央駅で代筆屋を営む中年女ドーラ(フェルナンダ・モンテネグロ)の所へ少年ジョズエ(ヴィニシウス・デ・オリヴェイラ)と母親がやって来た。だが父親への手紙を依頼した直後、母親が交通事故で急死。ドーラは行き場を失ったジョズエを家に連れ帰り、翌日彼を養子縁組斡旋所に売り渡した。しかしそこが臓器売買組織だと知って慌てて連れ戻し、住所を頼りに父親探しへ旅立つ。途中で無一文になりながらもジョズエの機転で切り抜け、父親の家にたどり着く。そこにはジョズエの腹違いの兄達が行方不明の父の帰りを待っていた。翌朝眠っているジョズエを残し、静かにドーラは立ち去る。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第71回 アカデミー賞(1999年)

ノミネート

主演女優賞 フェルナンダ・モンテネグロ
外国語映画賞  

第56回 ゴールデングローブ賞(1999年)

受賞

最優秀外国語映画賞  

ノミネート

最優秀主演女優賞(ドラマ) フェルナンダ・モンテネグロ
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映画レビュー

4.0 人と世界をつなぐ映画ーー近代と前近代がせめぎ合う90年代ブラジル

2025年11月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
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nonta

4.0 忘れない人、戻ってこない人

2025年10月28日
Androidアプリから投稿

"旅は道連れ世は情け"な一文無し子連れ狼ロードムービー。
主人公の職業=代書人に象徴される識字率に子を捨てる親、そして人身売買など、(原題が「ブラジルの中央」を意味するであろうように)当時のブラジルの世相・社会問題。万引きで銃殺される人、事故死然り唐突な形で無残に奪われる命。ウォルター・サレス監督はやはりロードムービーの人なんだなと痛感。きれいごとみたいなこと言うけど、人生みな何処かへ向かう途中だなと。
擬似親子的であり、境遇を共にする戦友でもある。代書や電車&バスで立つなど、差異を伴う反復イメージングシステムを用い、衝突にユーモアも交えながら、主人公2人の絆が築かれていくさまが見事。主演2人が魅力的だった。同じ家が立ち並ぶ中で2人がある決断をしてから歩き始めるショットからの、同じ構図で各々が歩くショットなど完璧だなと思った。生きづらい厳しい世の中でも人間らしさ(ヒューマニティ)を、納得感のある形で説く。
ネット社会に、スマホも当たり前の現在では作れない作品。信仰も描かれているけど、神は、欲しいものでなく、必要なものを時として予期せぬ形で与えてくれるのかもしれない。そして最後は、少年のカミングオブエイジ青春成長ものにもなるという。読めない手紙を書くというのも…。地域性・文化性も時代性も出ていて、すてきな映画だった。きっと思いは生き続ける。

と言いつつここで怖い話を。
最後のあの出会いがあったとき、「絶対にこいつ嘘ついているヤバい奴だろ」って思ったら、そんなこと無くてハッピー・サッドなクライマックスへ雪崩込むのだけど、犯罪が多いリオの話になったときに主人公ドーラが「犯罪はどこでも同じ」みたいに言っていたことを含んで考えると(作品前半の人身売買連中との"演じる"という共通点もあるので)、やはり自分の心配もあながち間違いじゃない気がする。つまり字を読めないフリをしている!…と考え出したら怖いオチ。本当に少年は大丈夫だろうか?

P.S. 今年の東京国際映画祭1本目。本作は、同監督の『アイム・スティル・ヒア』を今年観て、「何で日本で観れないのか。日本で観れない名作ありすぎ!」と熱がぶり返していたところの作品だったので、念願叶ってスクリーンで観られてよかった。国立映画アーカイブでの鑑賞は、ノーラン監修の『2001年宇宙の旅』70mm版特別上映以来。

勝手に関連作品『グロリア』『ペーパー・ムーン』

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とぽとぽ

5.0 元靴磨きの素人少年

2023年9月7日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、映画館、TV地上波

泣ける

悲しい

楽しい

手紙が相手に届くかは運次第-郵便事情の悪い都市リオデジャネイロ、嘘つき代筆屋のドーラと母を亡し独りになった9才の少年ジョズエのロードムービー。
元教師のドーラがどのように生きてきたのか、それをエピソード毎に考えると物語に深みが出てきます。

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しーらん

5.0 文盲率

2023年3月2日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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共感した! 4件)
kossy