「鉄十字章だけが欲しい貴族」戦争のはらわた Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
鉄十字章だけが欲しい貴族
総合70点 ( ストーリー:70点|キャスト:75点|演出:75点|ビジュアル:80点|音楽:60点 )
自分が軍人としてどんな活躍をするのかは脇に置いて鉄十字章が欲しくてたまらない名誉欲だけの貴族軍人シュトランスキー大尉と、現場で叩き上げのシュタイナー曹長との対立を軸に物語は進む。だが当初はその物語にあまり興味を惹かれなかった。
自分たちの小隊を銃撃して部下を殺したトリービックは殺したのに、それを命じたシュトランスキー大尉は殺さずそれどころか一緒に戦う。最初はこの物語の展開がよくわからなかったので調べてみた。要は臆病で戦場に立とうとしないのに勲章を欲しがるも無理だと悟って安全な場所に転属しようとするシュトランスキー大尉を、無理矢理戦場に引っ張り出してみたら彼は銃の扱い方すら知らなかったという落ちらしい。それならば展開は納得できる。
でもシュトランスキーがシュタイナーを撃っていた可能性もあるし戦場でシュタイナーが先に死ぬ可能性もある。結果的には目論見どうりになったとしても、決断した時点ではどうなるかわからないしあまり賛成が出来ない判断だった。
それよりも戦場の描き方が良かった。小隊の部下がソ連の帽子を被っていたりしてどちらが友軍か分り辛いが、激しい戦いと簡単に死んでいく兵士とその死体などは、ペキンパーらしい迫力と残酷さが出ていた。シュタイナーはそんな戦場でただ黙々と軍人として自分の責務を果たしていく。
映像は実際はT34/85はまだ登場していなかったりF4Uがソ連上空を飛んだりして史実に合わない部分もある。だが大枠では美術・衣装も再現性が良かったし、兵器も本物が使われていて作り物感が少なかった。