「昔も今も変わらぬ衝撃・・・戦争の狂気を渾身の映像で描き出す怪作」戦争のはらわた ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
昔も今も変わらぬ衝撃・・・戦争の狂気を渾身の映像で描き出す怪作
サム・ペキンパーにとって初の戦争映画。まさに彼にしか成しえない火薬の量で、冒頭から爆破に次ぐ爆破。最初は地響きや小刻みな編集を体全体に感じながら映画的なカタストロフィを味わっていたとしても、それらは徐々に限度を超えた異様さ、そして恐怖となって観客の心をじわじわと締め付けていく。徐々に近づいてくる砲撃は死神が扉を叩く音のよう。ここは地獄だ。しかばねばかり。そして出口がない。
そんな中、ジェームズ・コバーン演じる老兵はどんな状況でも冷静沈着。部下の信頼も厚い。かといって皆を救う英雄ではない。ナチス・ドイツ側の視点で戦場を描くという異色ぶりもさることながら、ペキンパーはもちろん正義や悪を超えた論点で、精神的、肉体的に追い詰められていく「戦場の普遍」を紡いでいるのが特徴的だ。上官にさえ毅然と物申すコバーンの姿は、ある意味、ペキンパーが手がけてきた「最後の西部劇」を地でいく存在なのかもしれない。
コメントする