戦場にかける橋のレビュー・感想・評価
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長時間の超有名な大作で『戦場にかける橋』(1957年)、『アラビア...
長時間の超有名な大作で『戦場にかける橋』(1957年)、『アラビアのロレンス』(1962年)、『ドクトル・ジバゴ』(1965年)などで有名なデヴィッド・リーン監督 (1908〜1991年)の代表作の1つで、アメリカ国立フィルム登録簿に登録された1つ。
劇伴(劇中伴奏音楽)の使い方が独特で最後の方まで音楽は極端に少ない。捕虜の口笛くらいか?
フラフラになっても頑固で"主義"を貫こうとするニコルスン大佐には共感出来ないが、その後から「お茶を飲みながら、ついでに食事しながら」とマウントを取る辺りはまるでコメディ。
そして、出来上がる"物"は凄いとしか、、、
もちろんミニチュアでは無い。
【こぼれ話①】
ウィリアム・ホールデンは少年時代に、無声映画のスターだった早川雪洲がハリウッドで暮らしていた豪邸(グレンギャリ城)に新聞を配達していて、その時に俳優をやってみないかと声を掛けていた雪洲と、本作で共演が果たされた。
【こぼれ話②】
第一次世界大戦前からハリウッドで活躍した大スターの早川雪洲は「戦場の日本軍の捕虜収容所の所長」という内容を聞いて逡巡するが、雪洲の背中を「重要な役柄」と妻の鶴子が押し、雪洲は出演を決断した。
自宅で何時でも観れるのに、雪の降る福岡でわざわざ出かけて1000円払って観たこの日の映画1本目。
「午前10時の映画祭 14th」
アレック・ギネス
ニコルスン隊長(イギリス軍大佐)
ウィリアム・ホールデン
シアーズ(アメリカ海軍中佐)
早川雪洲
斎藤大佐(第十六捕虜収容所所長)
ジャック・ホーキンス
ウォーデン少佐(プラスチック爆弾を戦争に取り入れる)
ジェームズ・ドナルド
軍医クリプトン
人間らしく生きることができない戦争の虚しさ愚かさを描いた傑作
リーダーシップを発揮して主導権を握っていくニコルソン大佐、主導権を奪われて威厳を失っていく斉藤大佐。
演じているアレック・ギネスと早川雪洲が見事としか言いようがない。
テレビ放映時にはカットされていたのか、協力してくれる村の女たちとの交流など、しっかりと描かれていた割に、意外にもラストのあれほどの大がかりな爆破シーンがあっさりとしていた。記憶ではもっとインパクトがあったように思う。今の映画なら角度を変えて何度も長々と見せられるだろう。
ジェームズ・ドナルド演じる軍医のMadnessの叫びの中で、勇気も反抗も苦労も協力も犠牲も、すべてが一瞬にして消えてしまう戦争の虚しさ、愚かさが、軽快なクワイ河マーチと相俟って際立つ。
頑なに拒んでいた将校の労役や傷病者を働かせることを、自らが指揮を取る立場になるや、、今見ると将校の勝手というか皮肉というか、、。
「勇気という言葉に酔いしれ死に方しか考えていない、人間らしく生きることが一番大切なのに。」
人間らしく生きることができない戦争の虚しさ、愚かさ、狂気。
午前十時の映画祭、一番大きなスクリーンで上映してくれたイオンシネマ津さんに感謝。
(名古屋までパピヨン観に行こうか、こっちにしようか迷ったけど、せっかく大きなスクリーンで上映してくれてるからこちらを選びました。旧作のリバイバル一日一回の上映なら、午前十時の映画祭と被らない時間帯でお願いします)
(大島渚が生前に企画していたという早川雪洲の伝記映画、真田広之さんプロデュースで実現しないかな)
戦争は悲しい
極めて強い問いかけを持った大作だ。
第二次世界大戦中、タイとビルマを鉄道で結ぶため、日本軍が連合軍捕虜を動員した鉄橋建設を描く戦争ドラマ。一大叙事詩ともいえる大作ドラマで、戦争の無意味さを、観る者に痛烈に投げかけている。
米軍のシアーズを演じたウィリアム・ホールデンや、斉藤大佐役の早川雪洲も良いし、英国軍のニコルソン大佐を演じたアレック・ギネスが、とても印象に残るのでは無いかと。
本作は、英国人であるデヴィッド・リーン監督にとっても、その後のキャリアの方向性を決定づけた作品といえる。軽快なテンポで進むという作品では無いが、最後の最後に、強烈な結末をぶつけてくる。
実際の鉄橋建設からアイデアが描かれ、日本軍の人物など実在の名称も使われているが、その人物像も含めて、本作自体はフィクションだ。それでも、我々は歴史から学べているのか、とても困難な問いかけを行っている。
ウィルアムホールデンが、アメリカを象徴しているかのよう
ニコルソン大佐の哲学
ニコルソン大佐は、軍人である以前に人としての哲学を持つ人物だ。彼は日本軍の捕虜になっても人としての誇りを失わなかった。将校は労働をしないというジュネーブ協定の条文を根拠に、捕虜になっても労働への従事を拒否した。日本軍の利益にしかならない橋の工事も手を抜かずにやった。戦争に勝つことだけを考えればマイナスにしかならないと思うが、彼にとっては人としてあるべき姿であることが最も大事なのだ。『プライベート・ライアン』のミラー大尉を連想させる魅力的な人物だと感じる。
ニコルソン大佐は、将校は部下から尊敬されてこそ将校として指揮を執れるという旨の発言をしている。彼が懲罰房から解放されたときの部下達の歓声から、部下から尊敬されていることが伝わってくる。彼が橋建設の指揮を執ってから工事が進展したことからも、口先だけ立派なことを言う人間では無く、行動と能力の伴った人物であることが分かる。
救いがない、つまり反戦しかない?
組織力による創造VS破壊
「戦メリ」鑑賞記念に元祖捕虜収容所モノのこちらも数十年ぶりに鑑賞。昔見た時は「ここまで将校の優遇に拘るなんて傲慢な」と憤ったものだが、今見ると理にかなってるとよく分かる。組織を動かすには計画を立て、メンバーを鼓舞し、進捗管理を行う統率者が必要なのだ。そしてその線引きが曖昧だと組織はちゃんと動かない。会社だとマネジャーということかな。その統率力で烏合の衆(わざとサボタージュしてるのだけど)を巨大建築物の創造に向け一致団結させたニコルソン大佐と、心ならずも特殊部隊に組み入れられ、最後は命を賭して破壊の使命を全うするシアーズ。目的もアプローチも真逆の二つの「組織の動かし方」を見た思いだった。日本軍の方が組織力が劣ってるように描かれてるのが若干癪にさわるが。
クワイ河マーチ
有名な「クワイ河マーチ」、幼き頃はは大脱走のテーマとよく間違えたものだ。これを区別する覚え方があることをタクシーに乗せた芸妓さんに教わった。メロディに「サル、ゴリラ、チンパンジー♪」と替え歌を作ればOK♪試してみてください。とにかく捕虜たちの考えることは脱走だ。シアーズとその仲間は脱走して銃殺、しかしシアーズは命からがら現地人の村にたどり着いた。救出されたが、実は中佐の振りをしていたということも明らかに。
所長の斉藤(早川)はイギリス人士官にも労働せよと命じるがニコルスンはジュネーブ協定を盾にあくまでも拒む。兵も作業を妨害、板挟みになった士官も大変だ・・・。結局は武士道が粘り負けしてしまう。
「おい、お茶!」「おい、お茶!」「おい、お茶!」・・・伝言ゲームのような命令で笑ってしまうほど、橋の建設計画会議が順調に進む。そして、奇しくも橋爆破側の作戦に参加したシアーズ。一方では完成した充実感、他方では日本軍の勢いを止める使命感。両者の思惑が列車が通過する瞬間までぶつかり合う。
マッドネス、マッドネス・・・苦心の末、英軍兵士たちが作った橋を壊してしまった。しかも列車も同時に転落。戦争とは何もかも破壊するもの。虚しさの中に軽快なクワイ河マーチが響いている様は何とも言えない苦々しさが残る。
敵国同士が協力してかけた「美しい橋」
戦争の虚しさをヒシヒシと感じました。
「戦場にかける橋」
題名がロマンティックです。
もしかしたら敵国同士が橋を通して理解し合う・・・
そんな予感はもろくも砕かれました。
さすが名匠・デヴィッド・リーン監督作。
予想以上の傑作でした。
第30回アカデミー賞で、7部門受賞しました。
作品賞/監督賞/脚色賞/主演男優賞(アレックス・ギネス)
撮影賞/作曲賞/編集賞
(クワイ河マーチは聞いたことがある方が多いと思いますが、
(明るいリズミカルな親しみ易い曲ですね)
第二次世界大戦最中の1943年。
日本軍はビルマの国境付近で、イギリス軍の捕虜を労働力にして、
クワイ河に橋(鉄道も通れる)の建設をしていた。
捕虜収容所所長の斉藤(早川雪洲)と捕虜を率いる
ニコルソン大佐(アレックス・ギネス)は、激しく対立していた。
しかし斉藤は期限までにどうしても橋を完成させなければならない。
一方、ニコルソン大佐は日本軍の設計では橋が沈んでしまう・・・と、
イギリス軍の主導で見るも見事で芸術的な橋を完成させる。
しかしイギリス軍の316部隊(決死隊)は、ある計画を立てていた。
橋が完成したら予想される日本軍のイギリス領インド帝国への進撃が
激しく進む。
それを阻止するために、橋を爆破して更に一番列車を
爆撃して同時に落下させる。
その計画のため決死隊5名が選ばれて、ビルマの国境付近の橋めざして
困難な行路を辿る。
(爆薬を携えて川を渡り、山を越える=荷物運びは現地の若い女性)
困難を極めます。
そして橋げたの下に爆薬を設置・・・
もうハラハラしました。
美しい橋を落とす・・・
せっかくイギリス人捕虜そしてニコルソン大佐の思い入れのある
素晴らしい橋!!
でも316部隊(決死隊)の任務は橋を爆破すること。
ラストは異様なほど盛り上がります。
この作品は反戦映画だと思います。
敵と味方(日本軍と英国捕虜)が協力して「橋」をかける。
その橋を爆破するイギリス兵はある意味では、
橋を破壊する許せない味方。
この皮肉。
ニコルソン大佐の橋への愛情は募ります。
戦争の破壊行為にはどんなもっともらしい理由があっても反対です。
ウクライナの発電所を破壊するロシア軍。
(壊すのは一瞬でも、建設には何年もの月日と建設費が掛かっている)
ライフラインを破壊する行為は、決して許されないことです。
だからせっかく努力して建設した「戦場にかける橋」
これも破壊されるのは、悲しい虚しい行為でした。
だからこそ戦争の愚かさと虚しさを訴えて、
胸に迫って来るのでしょう。
☆デヴッド・リーン監督作品。
逢びき、大いなる遺産、旅情、アラビアのロレンス、
ドクトル・ジバゴ、インドへの道など。
【”君は、”クワイ河マーチ”に込められた想いを知っているか!”英国将校の、日本軍の捕虜になっても失わない気位と共に、戦争の愚かしさを見事に描き出した作品である。】
ー 今作のメインテーマである、”クワイ河のマーチ”は不惑以上の年代の方であれば、例えば小学校の運動会の入場行進曲などで、聞いたことがある方が多いのではないかと、推察する。
明るく、勇壮な曲調であり、日本軍に囚われた英国軍が見事に逆襲する・・、と言う事を想起させる。
だが、今作を観れば分かるのであるが、決して勧善懲悪の物語ではなく、戦争の愚かしさや虚しさを描いた作品なのである。-
■第2次世界大戦下のビルマ。
日本軍捕虜収容所に、ニコルソン大佐(アレックス・ギネス)率いるイギリス軍捕虜が送られてくる。
所長・斎藤大佐は、彼らにアメリカ軍少佐・シアーズ(ウィリアム・ホールデン)と共に泰麵鉄道のバンコウとラングーンを結ぶための橋梁建設の労役を命じる。
だがニコルソンは将校を働かせるのは、ジュネーブ協定に反すると主張し、斎藤と対立する。
◆感想
・今作で、捕虜収容所を束ねる、斎藤大佐の位置づけは重要である。期日までに橋を完成させないと、切腹せざるを得ない。彼はジュネーブ条約を盾に、将校を労役に就かせないと主張するニコルソン大佐を見せしめの様に”オーブン”と呼ばれる獄に繋ぐ。
だが、ニコルソン大佐はそれに屈しない。
ー 今作が、奥深く描かれているのは、日本の大佐を安易な悪役として描かずに、大佐も又、上部からの指示通りに橋が作れない事に苦悩する姿をキチンと描いている事だと思う。-
・そして、ニコルソン大佐を懐柔しようとする斎藤大佐に対し、橋の建設方法の瑕疵を指摘し、捕虜の殊遇改善も含めて、交渉していくニコルソン大佐の姿。
ー 彼の政策は身を結び、英国捕虜だけではなく、日本軍も橋梁建設に協力して行く様。-
・一方、序盤に収容所を命からがら脱出した、アメリカ海軍のシアーズ中佐(ウイリアム・ホールデン)が、保養所でノンビリしているところにウォーデン少佐(ジャック・ホーキンス)が現れ、シアーズの身分詐称を指摘しつつ、現地に戻る事を指示する。
■橋梁建設に、惜しまない努力を費やすニコルソン大佐。だが、一方ではその橋を爆破しようとするウォーデン少佐らの企み。
そして、見事に橋梁はニコルソン大佐達の優れた工学知識により完成するも・・。
<今作は、メインテーマソングだけ聞くと、単なる第二次世界大戦時の反日本映画と捉えらえがちであるが、実は違う。
今作が描いたのは、戦争の愚かしさや、虚しさである。
そして、それを分かりつつ、懸命に与えられた任務を遂行しようとしたイギリス、アメリカ、日本の軍人たちの姿を見事に喝破した点が素晴しいのである。
反戦映画の逸品であろう作品である。>
戦争の虚しさを軸にした娯楽大作
むかしから観たいと思ってて観そびれていた映画。やっと観られた。
古い映画を観ると画質や音質など正直つらいことも多いが、あまり気にならなかった。
1957年公開ということで、戦後12年という時期でのこのクオリティは脱帽だ。
戦争映画にしては雰囲気が明るいのだが、多くは誰もが知ってる音楽のせいだろう。当時は戦争の記憶がまだまだ生々しかったであろうから敢えて明るく仕上げたんだろうか。実際、音楽を除けば軽快な場面はほとんどない。映画のトーンを左右するほどに映画音楽が重要であることがよくわかる作品でもある。
さて内容はといえば、日本人にとっては複雑な捕虜虐待的映画だが、これも戦後12年にしてはニュートラルな視点。悪の権化のような描かれかたはされていない。捕虜収容所とはいえ母国が交戦中の折り、夕陽を見ながら双方の長が語らう場面は印象的だった。
そして終盤、次第に大きくなる汽笛をBGMにして繰り広げられる展開にハラハラ。捕虜の大佐、イギリス軍、日本軍、いったい誰に感情移入してハラハラしているのか。みな必死の使命、誇り、意地をかけて...作中の作戦遂行の成否にこれほど複雑な気持ちになったことはないかもしれない。
ラストの橋を巡る描写は、その後の娯楽作品のお手本にもなったことだろう。
南方の日本軍・・
戦争物としてあえて今これを観る理由が見当たらない
昔の作品だけど良かった
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