戦場にかける橋のレビュー・感想・評価
全55件中、41~55件目を表示
クワイ河マーチ
有名な「クワイ河マーチ」、幼き頃はは大脱走のテーマとよく間違えたものだ。これを区別する覚え方があることをタクシーに乗せた芸妓さんに教わった。メロディに「サル、ゴリラ、チンパンジー♪」と替え歌を作ればOK♪試してみてください。とにかく捕虜たちの考えることは脱走だ。シアーズとその仲間は脱走して銃殺、しかしシアーズは命からがら現地人の村にたどり着いた。救出されたが、実は中佐の振りをしていたということも明らかに。
所長の斉藤(早川)はイギリス人士官にも労働せよと命じるがニコルスンはジュネーブ協定を盾にあくまでも拒む。兵も作業を妨害、板挟みになった士官も大変だ・・・。結局は武士道が粘り負けしてしまう。
「おい、お茶!」「おい、お茶!」「おい、お茶!」・・・伝言ゲームのような命令で笑ってしまうほど、橋の建設計画会議が順調に進む。そして、奇しくも橋爆破側の作戦に参加したシアーズ。一方では完成した充実感、他方では日本軍の勢いを止める使命感。両者の思惑が列車が通過する瞬間までぶつかり合う。
マッドネス、マッドネス・・・苦心の末、英軍兵士たちが作った橋を壊してしまった。しかも列車も同時に転落。戦争とは何もかも破壊するもの。虚しさの中に軽快なクワイ河マーチが響いている様は何とも言えない苦々しさが残る。
敵国同士が協力してかけた「美しい橋」
戦争の虚しさをヒシヒシと感じました。
「戦場にかける橋」
題名がロマンティックです。
もしかしたら敵国同士が橋を通して理解し合う・・・
そんな予感はもろくも砕かれました。
さすが名匠・デヴィッド・リーン監督作。
予想以上の傑作でした。
第30回アカデミー賞で、7部門受賞しました。
作品賞/監督賞/脚色賞/主演男優賞(アレックス・ギネス)
撮影賞/作曲賞/編集賞
(クワイ河マーチは聞いたことがある方が多いと思いますが、
(明るいリズミカルな親しみ易い曲ですね)
第二次世界大戦最中の1943年。
日本軍はビルマの国境付近で、イギリス軍の捕虜を労働力にして、
クワイ河に橋(鉄道も通れる)の建設をしていた。
捕虜収容所所長の斉藤(早川雪洲)と捕虜を率いる
ニコルソン大佐(アレックス・ギネス)は、激しく対立していた。
しかし斉藤は期限までにどうしても橋を完成させなければならない。
一方、ニコルソン大佐は日本軍の設計では橋が沈んでしまう・・・と、
イギリス軍の主導で見るも見事で芸術的な橋を完成させる。
しかしイギリス軍の316部隊(決死隊)は、ある計画を立てていた。
橋が完成したら予想される日本軍のイギリス領インド帝国への進撃が
激しく進む。
それを阻止するために、橋を爆破して更に一番列車を
爆撃して同時に落下させる。
その計画のため決死隊5名が選ばれて、ビルマの国境付近の橋めざして
困難な行路を辿る。
(爆薬を携えて川を渡り、山を越える=荷物運びは現地の若い女性)
困難を極めます。
そして橋げたの下に爆薬を設置・・・
もうハラハラしました。
美しい橋を落とす・・・
せっかくイギリス人捕虜そしてニコルソン大佐の思い入れのある
素晴らしい橋!!
でも316部隊(決死隊)の任務は橋を爆破すること。
ラストは異様なほど盛り上がります。
この作品は反戦映画だと思います。
敵と味方(日本軍と英国捕虜)が協力して「橋」をかける。
その橋を爆破するイギリス兵はある意味では、
橋を破壊する許せない味方。
この皮肉。
ニコルソン大佐の橋への愛情は募ります。
戦争の破壊行為にはどんなもっともらしい理由があっても反対です。
ウクライナの発電所を破壊するロシア軍。
(壊すのは一瞬でも、建設には何年もの月日と建設費が掛かっている)
ライフラインを破壊する行為は、決して許されないことです。
だからせっかく努力して建設した「戦場にかける橋」
これも破壊されるのは、悲しい虚しい行為でした。
だからこそ戦争の愚かさと虚しさを訴えて、
胸に迫って来るのでしょう。
☆デヴッド・リーン監督作品。
逢びき、大いなる遺産、旅情、アラビアのロレンス、
ドクトル・ジバゴ、インドへの道など。
【”君は、”クワイ河マーチ”に込められた想いを知っているか!”英国将校の、日本軍の捕虜になっても失わない気位と共に、戦争の愚かしさを見事に描き出した作品である。】
ー 今作のメインテーマである、”クワイ河のマーチ”は不惑以上の年代の方であれば、例えば小学校の運動会の入場行進曲などで、聞いたことがある方が多いのではないかと、推察する。
明るく、勇壮な曲調であり、日本軍に囚われた英国軍が見事に逆襲する・・、と言う事を想起させる。
だが、今作を観れば分かるのであるが、決して勧善懲悪の物語ではなく、戦争の愚かしさや虚しさを描いた作品なのである。-
■第2次世界大戦下のビルマ。
日本軍捕虜収容所に、ニコルソン大佐(アレックス・ギネス)率いるイギリス軍捕虜が送られてくる。
所長・斎藤大佐は、彼らにアメリカ軍少佐・シアーズ(ウィリアム・ホールデン)と共に泰麵鉄道のバンコウとラングーンを結ぶための橋梁建設の労役を命じる。
だがニコルソンは将校を働かせるのは、ジュネーブ協定に反すると主張し、斎藤と対立する。
◆感想
・今作で、捕虜収容所を束ねる、斎藤大佐の位置づけは重要である。期日までに橋を完成させないと、切腹せざるを得ない。彼はジュネーブ条約を盾に、将校を労役に就かせないと主張するニコルソン大佐を見せしめの様に”オーブン”と呼ばれる獄に繋ぐ。
だが、ニコルソン大佐はそれに屈しない。
ー 今作が、奥深く描かれているのは、日本の大佐を安易な悪役として描かずに、大佐も又、上部からの指示通りに橋が作れない事に苦悩する姿をキチンと描いている事だと思う。-
・そして、ニコルソン大佐を懐柔しようとする斎藤大佐に対し、橋の建設方法の瑕疵を指摘し、捕虜の殊遇改善も含めて、交渉していくニコルソン大佐の姿。
ー 彼の政策は身を結び、英国捕虜だけではなく、日本軍も橋梁建設に協力して行く様。-
・一方、序盤に収容所を命からがら脱出した、アメリカ海軍のシアーズ中佐(ウイリアム・ホールデン)が、保養所でノンビリしているところにウォーデン少佐(ジャック・ホーキンス)が現れ、シアーズの身分詐称を指摘しつつ、現地に戻る事を指示する。
■橋梁建設に、惜しまない努力を費やすニコルソン大佐。だが、一方ではその橋を爆破しようとするウォーデン少佐らの企み。
そして、見事に橋梁はニコルソン大佐達の優れた工学知識により完成するも・・。
<今作は、メインテーマソングだけ聞くと、単なる第二次世界大戦時の反日本映画と捉えらえがちであるが、実は違う。
今作が描いたのは、戦争の愚かしさや、虚しさである。
そして、それを分かりつつ、懸命に与えられた任務を遂行しようとしたイギリス、アメリカ、日本の軍人たちの姿を見事に喝破した点が素晴しいのである。
反戦映画の逸品であろう作品である。>
名誉と誇り…男たちの架け橋!
第30回アカデミー賞作品賞受賞作。
Ultra HD Blu-rayで2回目の鑑賞(吹替)。
原作は未読。
第二次世界大戦中、日本軍の捕虜になったイギリス軍将校と捕虜収容所所長の日本軍大佐、それぞれの生き様のぶつかり合いを、クワイ川鉄道橋梁建設を絡めて描いた大作。
とにかく、豪華キャストでした。「麗しのサブリナ」などのウィリアム・ホールデンや、「スター・ウォーズ」シリーズのオビ=ワン・ケノービ役でお馴染みのアレック・ギネス、アジア人で初めてハリウッド映画界のスターダムに登り詰めた早川雪洲など、国際色豊かな面々が出演していました。
イギリス軍将校と日本軍大佐、双方のプライドがぶつかり合った末に友情のようなものが芽生え、お互い協力し合って、見事橋梁は完成しましたが、イギリス軍の破壊工作によって、それらが脆くも吹き飛んでしまいました。虚しい…
クライマックスに向け、様々な視点がひとつに結びついていく演出が巧みでした。戦争の理不尽さ・無残さをしっかりと描きながら、理解し合うことで歩み寄れる人間と云う生き物の素晴らしさを訴える珠玉の名作だと思いました。
[以降の鑑賞記録]
2021/12/08:Ultra HD Blu-ray(吹替)
※修正(2024/03/21)
戦争の虚しさを軸にした娯楽大作
むかしから観たいと思ってて観そびれていた映画。やっと観られた。
古い映画を観ると画質や音質など正直つらいことも多いが、あまり気にならなかった。
1957年公開ということで、戦後12年という時期でのこのクオリティは脱帽だ。
戦争映画にしては雰囲気が明るいのだが、多くは誰もが知ってる音楽のせいだろう。当時は戦争の記憶がまだまだ生々しかったであろうから敢えて明るく仕上げたんだろうか。実際、音楽を除けば軽快な場面はほとんどない。映画のトーンを左右するほどに映画音楽が重要であることがよくわかる作品でもある。
さて内容はといえば、日本人にとっては複雑な捕虜虐待的映画だが、これも戦後12年にしてはニュートラルな視点。悪の権化のような描かれかたはされていない。捕虜収容所とはいえ母国が交戦中の折り、夕陽を見ながら双方の長が語らう場面は印象的だった。
そして終盤、次第に大きくなる汽笛をBGMにして繰り広げられる展開にハラハラ。捕虜の大佐、イギリス軍、日本軍、いったい誰に感情移入してハラハラしているのか。みな必死の使命、誇り、意地をかけて...作中の作戦遂行の成否にこれほど複雑な気持ちになったことはないかもしれない。
ラストの橋を巡る描写は、その後の娯楽作品のお手本にもなったことだろう。
南方の日本軍・・
タイトルなし(ネタバレ)
ニコルソンの主義と斉藤の意地、生き方を問う作品
誇り高く死ぬか人間らしく生きるか、極限での選択に身が引きしまる
国家の対立を超えた人間の友情、その結晶としての橋、そして破壊され、戦争という大きな流れに飲み込まれる悲劇。実に意義のある社会的擬似体験をした
戦争物としてあえて今これを観る理由が見当たらない
昔の作品だけど良かった
長い軍隊生活、ただの捕虜で終わるわけにはいかないという士官の意地
総合:70点
ストーリー: 70
キャスト: 75
演出: 70
ビジュアル: 70
音楽: 80
上官の降伏命令で不本意ながら捕虜となってしまったアレックス・ギネス演じるニコルソン。誇り高き彼は捕虜となった自分をよしとせず、生甲斐や存在理由を探しているように見える。たとえそれが敵に利する行為であったとしても、軍人らしく部隊をうまく統制し橋建設でも敵より遥かに高い能力を見せつけ、600年も崩れることのなかったロンドンブリッジのように後世にも残る偉業を示したい。
この映画はやむを得ず活躍の場を奪われた士官の残り少ない軍人人生において、誇りと執着心に支配されてイギリス士官という立場を忘れてそんな盲目的に自分の痕跡を残そうとした彼の生き様が描かれているように思う。反戦映画とか言われているようだしそれは間違いではないのだろう。だがそれよりも彼のある意味偏執的ともいえる執着心と誇り、そしてそれがあっさりと崩れ我に返る彼の姿のほうが強く印象に残る。
ただ「士官も働かせて単に労働力を増やす=工事が進む」という単純な思考の早川雪州演じる斉藤と、もっと本質を理解して技術だけでなく高い人員の管理能力を見せ付けるニコルソンの対比が一つの見せ場。どうしても斉藤に折れないニコルソンには、自分は運が悪かっただけで、機会さえ与えられれば戦場でもそうじゃなくても実績を残せるのだという彼の自負が感じられる。アカデミー賞も納得である。
音楽はこの映画の長所の一つ。初めてこの映画を見た子供のころ、このクワイ河マーチの口笛のオリジナル版を気に入って探し回ったことがある。戦場の音楽というよりも遠足にでも行っている様な爽やかで明るく心地よい行進曲である。
天皇陛下に代わって諸君を歓迎する
映画「戦場にかける橋」(デビッド・リーン監督)から。
タイとビルマの国境近くにある日本軍の捕虜収容所で、
連合軍捕虜を使って、国境に流れるクワイ河に橋を架ける
準備が進められていた。(最後は「爆破」されるのだが・・)
その捕虜の行進に合わせて流れる、クワイ河マーチは、
口笛と言えばこの曲、と言われるほど有名であり、
映画音楽らしい、私の好きなシーン、好きな曲でもある。
メモしたのは、捕虜収容所の所長が大勢の捕虜を前に、挨拶した台詞。
その時の台詞が「天皇陛下に代わって諸君を歓迎する」。
日本人の普通の挨拶としては、特に違和感を感じなかったが、
この「天皇陛下」という意味が、英軍兵士の捕虜に伝わるだろうか、と
妙に心配となった。(余計なお世話だが・・)
大統領でも、首相でもない、「天皇陛下」という絶対的な存在が、
彼らに理解できたら、と思ったので、メモをした。
挨拶の中で、笑うに笑えない冗談みたいな台詞。
「山下大将のモットーを伝えておく。『喜んで働け』」
これから働かされる捕虜に向かって、この台詞はないだろう・・と
思いながらも、メモ。
橋に仕掛けられた、ダイナマイトのスイッチ(?)を、
倒れた兵士が偶然、押してしまうシーンは、昔の映画らしい。
時間的には、ちょっと長かったなぁ。(汗)
帰り道は口笛吹いて・・・
古い映画ですが、映画館のスクリーンで観ました。
全編を通して観た事は無かったのですが、一度大きなスクリーンで
観たいと思っていた映画だったので、観れて嬉しかったです。
映画は大筋だけは覚えていたのですが、この映画音楽だけは
しっかり耳が覚えていました。
この頃の映画のほうが、映画音楽がしっかり独り立ちしている
ような気がします。
とは言え、映画と無関係に切り離されている訳ではなく
この映画にはこの音楽だって感じで、印象深いと言った方が
良いかも知れませんね。
映画はちょっと長く、途中で休憩が欲しいくらい。(笑)
こんなに長く、映画館で上映を観たのは、初めてです。
前半はちょっと長いと感じましたが、後半はドキドキしながら時間の経過を
忘れて見入りました。
エンディングは昔の映画に良くある、盛り上がっておいて
パタっと終わる感じで、終わった後にまだ物語が続いている感が
残りました。
観終わった後は、耳に残った映画音楽で、まるで行進するかの
ように帰ったのは、言うまでもありません。
口笛を吹きたい感じでしたが、さすがにそれはやめました。(笑)
全55件中、41~55件目を表示