劇場公開日 1957年12月25日

「戦争に英雄はいない」戦場にかける橋 ケイさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5戦争に英雄はいない

2025年2月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

名作を初めて見ました。
このような作品を鑑賞でき、大変感謝です。

登場人物ではアレック・ギネス演じるニコルソン大佐に気を惹かれました。イギリス陸軍の大佐として誇りを持ち、規律と法を重んじ、捕虜となった部下に目標を与えて活かすために日本軍の橋の建設に協力する姿は、一本筋が通った行動に思えます。

橋が完成し、早川雪洲演じる捕虜収容所長・斎藤大佐に、ニコルソン大佐は自分の半生を話し、橋を見る。
この橋こそが、ニコルソン大佐が海外駐留した軍属生活の中で唯一、形になったもの。自分と部下が成し遂げた後世に残る資産である。感慨深く、誇らしいものだったことでしょう。

終盤、ウィリアム・ホールデン演じるシアーズ中佐などの破壊工作隊が現れたとき、ニコルソン大佐は橋を守ることを優先し、味方であるはずの破壊工作隊に敵対してしまいました。連合国から見れば裏切り、しかしニコルソン大佐にとっては部下の傷病兵を移送するためにも重要な鉄道であったのでしょう。
ニコルソン大佐は人道と、橋を作った誇りを優先したように思えます。

結末として主要人物がほとんど失われ、橋も壊してしまった。只々虚しい結果に、報われなかった登場人物たちの無念を偲びます。

ケイ