劇場公開日 1985年7月6日

「ロジャー・ボンドは永遠に」007/美しき獲物たち 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ロジャー・ボンドは永遠に

2020年8月20日
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鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

興奮

シリーズ14作目。1985年の作品。

歴代最多7本。ロジャー・ムーアの007引退作。
その最後の任務内容は…

殉職した003から高性能マイクロチップを回収したボンド。フランスにある製造元のオーナー、ゾリンに接触。競走馬レースが趣味のゾリンが、マイクロチップで強化した馬で連勝している秘密を掴む。しかし、それだけではなかった。ゾリンはサンフランシスコで、マイクロチップによる恐るべき計画を企んでいた…!

プレ・シークエンスはロジャー・ボンドで何回あったか、スキー・アクション。
主な舞台は、前半はパリ、後半はサンフランシスコ。
せっかくパリに赴いたのだから、シンボルのエッフェル塔に登らなくては見せ場にならない。敵がパラシュートでダイブ。街中を車でいつもながらのドタバタ&コミカル追跡。
前半は競走馬も見所の一つ。と言う事で、乗馬チェイス。追っ手や罠が仕掛けられていても、乗馬もお手のもの!
サンフランシスコへ。
ゾリンの陰謀を追う中、建物の中で火災に遭う。ゾリンの陰謀はマイクロチップによる人工大地震。その震源となる鉱山内の濁流含め、さながら70年~80年代のパニック映画風。
サンフランシスコ市警に追われ、消防車による大規模チェイス。
そして、ゴールデン・ゲート・ブリッジで繰り広げられる、ゾリンとの決着。ハラハラドキドキの高所アクション。

本作ならではの見せ場もあれば、定番的な見せ場も。
日本人なら失笑してしまうようなシーンも。中盤の日本スパ、あれ、何だったの…??
最後とは言え、作品は至って安定のロジャー・ボンド。
つまり、作品的には普通に面白いのは面白いが、『私を愛したスパイ』『ユア・アイズ・オンリー』ほどではなく、可もなく不可もなく。

ゾリンを演じるは、クリストファー・ウォーケン。
最近のシリーズではよくあるが、悪役にオスカー俳優を起用するのはこれが初。
憎々しさ、時には部下すら殺す冷酷さ…さすがの巧演。
ゾリンの恋人で殺し屋のメイ・デイ。マイクロチップによる強化人間。その設定もさることながら、演じたグレース・ジョーンズが強烈インパクト。シリーズの女殺し屋でこれほどインパクトあるのは他に、『ゴールデンアイ』のファムケ・ヤンセン演じるオナトップだろう。

ボンドガールは、タニヤ・ロバーツ演じるステイシー。
ゾリンに父親の会社を乗っ取られ、復讐に燃える。
美人だが、上記2人がインパクトありすぎて、ちと印象に欠ける…。

デュラン・デュランによる主題歌はシリーズの名曲の一つ。
これまではセクシーな感じの歌が多かったが、カッコいい!…と思わせる。
ちなみにこの主題歌も『ゴールドフィンガー』同様、某バラエティー番組でお馴染み。

また、第1作目からマネーペニーを演じてきたロイス・マクスウェルも本作で最後に。
見ていく内にどんどん歳を取り、本作ではもうおばあちゃんだが、彼女とボンドの軽妙なやり取りもワンシーンながらお約束であった。

当時58歳だったロジャー・ムーア。
今ではトムクルやジャッキーなど50過ぎても身体を張った超絶アクションに挑むスターも多いが、当時は居なかった。(と言うか、今でもその2人は例にならない例外)
アップになるとしわが目立つ。
危険なアクション・シーンはスタントが担当。
自身で出来るアクションは動きが鈍く…。
今回のボンドガール、タニヤ・ロバーツの母親が自分より年下…!
以前から引退を仄めかしていたそうだが、ここで意を決したのも無理はない。
しかしそれは、もう無理だ…の引退ではない。
寧ろ、勇退だ。

初代ショーン・ボンドの跡を継ぎ、完全定着した3代目ロジャー・ボンド。
危機的状況でもユーモアは忘れず、飛ばすジョークは歴代最高!
ベッドインしたボンドガールや女性キャラも数知れず。
まあ、時々作品にムラがあるのは玉にキズ…。
でも、キメる時はキメる!
そのカッコよさは他のボンドに全く劣らない。今回久々に見返して、つくづくそう思った。

歴代ボンド俳優の中で、現時点で唯一他界してしまったロジャー・ムーア…。
だが、我々の心に刻まれたその勇姿!

ロジャー・ボンドは永遠に。

近大
Mさんのコメント
2024年1月26日

おもしろかったです。このレビューの解説もわかりやすくてよかったです。

M
アキ爺さんのコメント
2020年8月31日

あ、ロジャー・ムーアは他界されていたんですね。最近ショーン・コネリーが90歳になったって記事読んだばかりだったんですがロジャーの方が年上だったんですっけ?

多分当時はスゴい人気だったでしょうし、勇退なのは間違いありませんね。

アキ爺