「またコメディ路線に逆戻り このシリーズも振れ巾があります」007/オクトパシー 多田納人さんの映画レビュー(感想・評価)
またコメディ路線に逆戻り このシリーズも振れ巾があります
1983年公開の「007/オクトパシー」を見ました。
シリーズ13作目。今年の目標、007シリーズ全作鑑賞キャンペーンもやっと折り返し。1年で全25本+2本は無理があったようです。
監督は前作に続きジョン・グレン。音楽は前作のラロ・シフリンからジョン・バリーに戻りましたが、ユナイテッドアーチスは前年にMGMの傘下になったため、本作からタイトル前にあのライオンが登場します。
前作「ユア・アイズ・オンリー」はなかなかヨカッタのですが、今回またコメディ路線に逆戻り。このシリーズも振れ巾があります。好みもあるのでしょうけれど、ロジャー・ムーアのキャラや年齢を考慮した結果なのか、製作サイドも悩んでるんでしょうね。
さて比較のために極私的な観点で本作の色々な魅力を採点します。
(点数は私の好みによる)
①ジェームズ・ボンドの魅力/5点
R.ムーアも公開時56才。アクションシーンはほとんどスタントマンに任せて、ベッドシーンに比重を移しているように見えますが、途中ターザンの雄叫びを上げたりと、前作からは変わってコメディ風に戻りました。
②ボスキャラ/6点
黒幕は、西ドイツの米軍基地で核爆弾を爆発させようとしたソ連のオルロフ将軍ですが、それに手を貸す実行部隊のカマル・カーンというインドの貴族が敵ボスです。しかし、こいつは「オクトパシー」の手下だし、ダマしたり出し抜いたりと、やることが小さくてみみっちい。悪党よ大志を抱け。
③敵キャラ/7点
あらゆる場所でボンドに絡み、戦いを挑むターバンを巻いた大男がしつこい。インド人なのだが、一見異国のターミネーター風。ジョーズみたいに笑いはとれません。ただひらすらカマルに忠実。
④音楽・主題歌/7点
音楽はラロ・シフリンからジョン・バリーに戻りました。やっばり007にはジョン・バリーがしっくります。主題歌の「オール・タイム・ハイ」歌ったのはリタ・クーリッジ、美しい曲で「オクトパシー」に相応しいゴージャス感ありです。
⑤アクション/7点
飛行機の機外での格闘や列車の上での戦い、小型ジェトで格納庫を突っ切ったりアクロバット飛行など、危険なアクションがつるべ打ちですが、1つ1つは粗っぽい印象です。
⑥車・バイクその他/6点
トゥクトゥクでインドの町を爆走したり、ベンツで線路上を走ったりしますが、コレといったのが登場しません。
⑦秘密装備/7点
久しぶりに出ました大形装備の折りたたみ式小型ジェット機。競走馬のトレーラーから登場して大空へ。他にはセイコーの液晶時計など。
⑧ボンド・ガール/7点
「オクトパシー」とは孤島の宮殿に住み、美女軍団を配下に従える女性(モード・アダムス)なのですが、実は宝石泥棒一味のリーダー。ボンドガールとしては今までに無い設定で、貫禄ありました。
⑨異国情緒/7点
タージ・マハルもチラっと映りますがヘビ使い、剣を呑む男、火の中を歩く男、剣が並んだベッドに横たわる男、上空へと昇るロープなどが登場し、まるでおとぎ話に出てくるような旧世界の古いイメージのインドが描かれ、笑わせてくれます。
⑩タイトル/6点
定番のシルエットを使ったタイトルで、さあ始まるよといった気分にさせてくれます。
合計65点です。思ったより高得点。
