「迷走し出したら原点回帰する見本」女王陛下の007 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
迷走し出したら原点回帰する見本
シリーズも第6作
前作迄にやりつくし感があり、特に前作は迷走感が露になっている
そろそろ潮時とショーン・コネリーが降板
主役変更の大問題が発生
膨大なオーディションをしても決まらない
結局CM俳優の無名の新人ジョージ・レーゼンビーが選らばれている
確かにボンドには見える
しかしやはり小粒感はある
どうしてもコネリーならこういう身のこなしをするんだがと彼の姿に重ねて見てしまう
敵の首領ブローフェルドもテリー・サバラスに変更
最初は戸惑ったが、アクションをこなす戦う首領となれば彼に交代するしかない
大物感はある
しかし上流階層の雰囲気はないのが難点
監督もまたもや変更
結局ドクターノウやゴールドフィンガーで編集をしていたピーター・R・ハントがやり易いと選ばれる
内容は原点にもどり、大袈裟なセットとかのこけおどしはなし、原作に忠実なスパイアクションものに戻る
今回はQの秘密兵器は無し
ギミックに頼らず、ドラマとアクションで勝負だとう方針が見てとれる
主題歌は今回はバリーのインストもの
やはりインパクトは薄い
劇中挿入歌で超大物ルイ・アームストロングの歌が入るが、さして盛り上がりのある曲でもない
舞台はゴールドフィンガーの撮影時に目をつけていたスイス
これもまた欧米人の憧れのリゾート地です
過去作はカリブ海とかアドリア海とか南の海が多かったので、今度は雪山で目先を変えています
公開の1969年の前年は白い恋人たちで有名な冬季オリンピックがフランスグルノーブルで行われており大変な盛り上がりがあったのにも目をつけたのでしよう
従ってスキーはもちろん終盤のハイライトのボブスレー、はてはカーリングまで持ち出してサービス満点
スキーシーン、ボブスレーのシーンは素晴らしいスリルのある見事な撮影で驚かされます
雪崩のシーンは本当に雪崩を起こして撮影したそうでものすごい迫力
スキーリゾートの年越しのお祭りもしっかり取り入れておりこれも楽しいシーン
シリーズの中では異色だけれども、大変に面白い出来映えです
興行成績も良い結果を出した
けれども、このままでは次回作は厳しい
てこ入れは必須だとの予感は漂っています
これが問題のアンハッピーエンドで締めくくった動機だとおもいます