「原作の最高傑作の忠実な映画化」007 ロシアより愛をこめて HAL2005さんの映画レビュー(感想・評価)
原作の最高傑作の忠実な映画化
原作の最高傑作と書いたが、実際に原作を全て読んだわけではなく、巷で良く言われてるのでそう書いた。ただ、自分が読めた作品の中では間違いなく最高傑作だ。(読んだ原作は「カジノ・ロワイヤル」「ロシアから愛をこめて」「サンダーボール作戦」「私を愛したスパイ」)
実は、原作はそんなに面白くない。少なくとも映画ほど面白くは絶対にない。フレミングの作品は全て同じような出来で、大量生産品のような出来だ。(ただし、僕の読んだ中では)だが、この作品はきっとこれが彼の最高傑作だと007を全部読んだことなくても思ってしまうほど、よくできている。
ストーリーは突飛だ。女好きのスパイ(そもそもこれが非現実的)を暗号機とグレタ・ガルボ似の美女(ガルボはハリウッドの伝説的美女)で釣り上げるというのはありきたりすぎるし、雑な設定だ。が、それに至るまでのソ連高官の議論や命令の出され方などの細部が細かすぎて本当にそんな無茶な作戦を出したと誤解してしまう。(そして、それに英政府が応えたという誤解も)
騙されてるのを知っているスパイがいつ、悪の手に自分が落ちるのか、又は、案外そんなこともなく首尾よく事を済ませられるのか?ハラハラしながら、読み進めることができ、本当に面白い。時代の雰囲気(ソ連に対する欧米の感情)も感じられる。
そんな作品を原作として、しかも、前作を大成功に導いた監督が続投して続編を作るので失敗するわけがない。(前作のレビューで監督を褒めちぎったので、よければそちらも前作の題名は「ドクター・ノオ」です)
果たして、日本では最高傑作と謳われる作品に仕上がった。(何故か、日本のみ百科事典にもそう書いてる)
前作と違うのはセットのリアリティだ。映画において、セットのリアリティが必ずしもポジティブな効果をもたらすとは限らんが、この作品ではそうなった。オリエント急行のセットなんて、セットに見えない。(勿論、前作同様効果音の効果もある)
アクションが現代基準で考えても満足のいく仕上がりになっているので、現代でも鑑賞に堪える仕上がりです。
娯楽スパイアクションとしての007の最高傑作なので、007初心者にも安心しておすすめできます。