「レトロモダンにしびれる」007 ドクター・ノオ N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)
レトロモダンにしびれる
はや六十年近く前の作品だ。
ものすごく古い。
だがショーン・コネリーの身のこなしにロケーション、ファッションに舞台美術、
どれをとっても野暮ったさを感じなかった。
古さのせいで一周回ってレトロモダン。
現代的にさえ感じるほどカッコイイ。
画面も構図がしっかりしており、時代ゆえ写り込むモノの数が少なかろうと、
どれも絵になっていてこれまた古さを感じることはなかった。
むしろ削ぎ落された中、シルエットの絶妙なバランスが生み出す美しさは
どのシーンもアートの域だ。
物語は当時のハイテク最先端を、なかばSF混ぜて進む。
これを今と比べては身もふたもないが、
六十年前に原子炉、ロケット、装甲車、謎の島を牛耳る悪党
などがそろった本編はかなり尖っていること間違いなし。
そういえば子供の頃、この手の設定に手に汗握ってたな、
などと思い出すまま童心に帰って興奮してしまった。
(ちなみにこの頃、日本ではアニメ、鉄腕アトムが白黒で放映されていた)
配管を抜けて脱出する007に、この手のあらゆる作品の原型を見た気がしたが、
果たして先行するものはあるのか。
最後、原子炉に落ちる悪役を見てターミネーター2のラストをだぶらせてみたり。
ここから始まったフランチャイズ。
続くだけはある、色あせない第一号作品だった。
それにしてもショーン・コネリーはとんでもなくカッコイイ。
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