制服の処女(1931)のレビュー・感想・評価
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ドイツのお堅い規律と愛の戦い
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この映画が撮られた当時のドイツは戦争前、まだ軍国主義が学校にも残っている時代だった。
この映画はそんな雰囲気を感じさせもしないような、愛のある、可愛らしいものだったと言えると思う。
ネタバレにはなるが、ヨーロッパ演劇特有の学校演劇を皇室の人間が見に訪れるシーンは、皇室の人が来るというのに、はしゃぐ女子学生の描かれ方、役者の芝居がとてもナチュラルで良かった。
青春映画と人情映画の間くらいの位置にある、個人的に心地いい映画だったと思う。
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少女期の繊細で微妙な恋愛感情を描いた女性映画の古典
国家貢献のために伝統ある厳格な規則に絶対服従を強いられる寄宿舎を舞台に、両親を失った主人公マヌエラがフォン・ベルンベルク先生に抱く親愛の情を、女流監督レオンティーネ・ザガンが繊細に描いた女性映画の古典。愛に飢えた少女の揺れる心情を体現するヘルタ・ティーレと、妥協を許さぬ冷厳な老校長と対峙し凛とした美しさを湛えるドロテア・ヴィーク。二人の魅力ある演技が、女性同士に芽生える微妙な愛情と心の共振を表現する。最後全生徒を敵に回した校長の消えゆく後ろ姿で終わり、権威主義が自由主義に敗北したかに見えるが、その後の寄宿舎の教育体制がどう改善されたかは暗示的だ。ナチス・ドイツ成立2年前のドイツの不安定な世相を反映した印象も受ける。
多感な青春期の自由恋愛についてのテーマでは、木下恵介監督の名作「女の園」がこの作品と共鳴する。どちらも深刻さが支配する暗い物語だが、人間を見詰める作者の視点は厳しく熱い。
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