スモークのレビュー・感想・評価
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ポール・オースターの世界観を見事に映画化 ハーベイ・カイテルの渋さも妙味
米ニューヨークのブルックリンの小さな煙草屋という設定が、なんとも粋である。
いま、このご時世では煙草屋って街でほとんど見かけなくなったが、かつては自販機で買えない世界の珍しい煙草を扱う店が大きな町には必ずあった。
ある種、交流の場でもあった煙草屋を舞台にしているのが、作家ポール・オースターの短編「オーギー・レンのクリスマス・ストーリー」。これを原作に、オースター自ら脚本を執筆し、ウェイン・ワン監督がメガホンをとった。
ハーベイ・カイテルが演じた煙草屋店主オーギーは、10年以上にわたり毎日同じ場所、同じ時刻に写真を撮影している。その写真から、小さな奇跡が起こり……。そのくだりは、陳腐な表現になってしまうが、とても素敵だ。また、ウィリアム・ハートの芝居も作品世界を優雅に漂っていて秀逸である。
魔法のようなラストシーン
私は39歳男、初めて見ましたがラストシーン後に立ち上がれないくらい号泣しました。
冒頭から粗暴な雰囲気を漂わせるハーベイ・カイテルの姿になんかパルプ・フィクションを感じてしまった。
その後、清廉潔白とは言えないようなエピソードと会話のやり取りが続くのに何故かほっこりして少し笑えて、会話の内容はどこか詩的なところもあり、ずっと目が離せない。
そんな感じで良い映画だなあと思ってるところに、ハーベイ・カイテルがウィリアム・ハートに語り出すストーリー。これも清廉潔白とは言えないエピソードながら、すごく良いことしてるなと感じてしまう不思議。
そしてラストシーン、ハーベイ・カイテルのストーリーが映像化されていくのだが、これが老婆役の絶妙さも相まって涙が止まらなかった。
大傑作。
噓と煙の味
1990年、ブルックリンでタバコ屋を営むオーギー。常連客のポールは作家だが、身重の妻が事件に巻き込まれ急死してからスランプだった。そんなポールがラシード少年と知り合い、彼を世話する。
ラシードは、口から出まかせばかり。真相を知った後のサイラスとラシードの、ふてくされた感じが微妙で面白い。他にも小さな嘘がちょこちょこあるが、終盤の回想にしみじみ。語り過ぎないのが良い、目立たないがとても味がある作品、これは煙の味なんだな。
William, it was really nothing
20年以上前にDVDかVHSビデオのレンタルで観たことあったが、初めて映画館で観て、メチャクチャ良かった。
やっぱ家のテレビと集中できる映画館では全然違う。
ハーヴェイ・カイテルとウイリアム・ハートの演技合戦の様相で、どっちも長回しで撮りまくってるけど、ハーヴェイの方に軍配は上がってるかな。
まあ、勝負つけても意味ないんだけど。
ハーヴェイ・カイテルの一番の代表作でしょうね。
エンドロールのSmoke gets in your eyesのカバーがが作品をきっちり締める。
酔いどれトム・ウェイツの2曲もイイ場面で使われていて、きっちり引き締めてる。
恵比寿ガーデンシネマができた当時、ココ単館で9万人動員したらしい。
せっかくなので2回目のリニューアルしたYEBISU garden cinemaの1週間限定上映で観たかったけど、時間が合わずにイブとクリスマスの2日限定上映の池袋の名画座で鑑賞。
スクリーンで観ておいて、良かった。
20231225 新文芸坐
来年もクリスマスの時期に観よう💛
クリスマス映画を観よう2023-その①
YEBISU Garden Cinemaにて
クリスマス映画として(?)1週間の特別上映中。それで初めて知った映画。
ポスターに書いてある「たった1館で上映し、9万人を動員した」のがYEBISU Garden Cinemaだと知って感じたこの聖地巡礼感ww
>今も愛され続ける不朽の名作。本作が公開されたのは、今から27年前の1995年10月。恵比寿ガーデンシネマで25週にわたるロングラン上映を果たし、たった1館で9万人も動員。その後、日本中で大ヒット。<
タバコと葉巻を取り巻く人達の群像劇。
なに何?どーなるの??ナンバリングされて次々と紹介されてく人達がこの後どう終着するの??そもそもこれってクリスマスの話でもなくない??疑問はいっぱい、でも楽しいご近所さん、面倒見の良い大人達、そんな優しさで溢れた世界の物語にクリスマスシーズンに浸るのもまた一興💜
最後の最後になってやっと「だからこれがクリスマス映画なのね🎄」と納得。
えっ?続編があるの??
観なきゃ!
吸って吐くという行為に仕込まれたメタファー
ブルックリンの片隅にあるタバコ屋を行き交う人々の物語。
14年間毎日同じ時間・同じ場所で写真を撮り続ける店主、銀行強盗に妊娠中の妻を殺害され、書けなくなった小説家、12年前、事故で母親を失い、父親に捨てられた黒人の少年など、複数の人間模様が章立てでパラレルに描かれている。
タイトルにもなっている喫煙シーンは作中も随所に出てくる。喫煙者、喫煙経験者なら分かるが、タバコは「間」を創る大人の道具。アウトプットしながら生きるには、インプットしないといけない。吸って吐くという行為にはそんな大人たちの「間」というメタファーが潜む。
眼の前の現実は、過去の原体験の積み重ねで世界化される。店主の撮った4000枚に及ぶ写真1枚1枚をゆっくり見ることの意味は、原体験を丹念に形象化して、現実の世界を創ることにあるのだろう。
実に映画らしい、素晴らしい映画。飾らない大人の男たちがブルックリンで静かに笑っている。
2016年デジタルリマスター版公開時鑑賞。
名前は知っていた程度だったが、ポール・オースターが原作・脚本と聞き、俄然興味が湧き鑑賞。
正直もっとあざとくわかりやすく感動させる気満々のお話を想像していたので、ちょっと拍子抜けした。煙草屋が舞台なのにも腰が引けてた。が、緩く繋がったエピソードが積み重なっていくのが、不思議と心地よかった。
最後のエピソードだけちょっとズルい。
心地よい映画
最初から最後まで不思議なくらい心地よく、登場人物が皆愛しく思えてくる映画。
真実か嘘かなんて、本当はどうでもいいんじゃないか。善意の嘘で人を幸せにできるなら、その嘘は決して罪ではない。真実を打ち明けることで、より深く繋がれることもある。嘘であろうが真実であろうが、あるいはどちか分からなくても、要は心が何を受け入れどう感じるかがすべて。
最後のレストランでのオーギーとポールの会話は心に残るとてもいいシーン。そしてその後白黒で流れるクリスマスの回想シーン。盲目の老婆が、訪ねてきたオーギーと抱き合った瞬間自分の孫では無いことに気づく一瞬の表情。しかし直ぐに笑顔に戻り、孫であると信じているフリをしてオーギーを招き入れる。老婆はオーギーが本当の孫でないことを知りながらも、楽しく幸せな最後のクリスマスを過ごす。嘘かどうかなど関係ない。そこには確かに幸せな時間だけがあったのだ。
この映画が、なぜ観ていてこんなにも心地よいのか。役者によるところも大きいけど、やはり脚本が素晴らしいんだと思う。まるで小説を読んでいるような、心の奥にぐっと刺さる作品。
ハーヴェイ・カイテル独演
評価が決まった良い作品だ。ラスト近くのハーヴェイ・カイテルの物語を語るシーンが素晴らしい。5人の物語がリンクしながら進んで行くのもロバート・アルトマンの作品のようで興味深いものがある。ウィリアム・ハート、フォレスト・ウィティカーの演技も素晴らしい。やはり、劇場で鑑賞したい作品だ。
何気ない話だが、ほのぼのとはしたかな❓
ハーベイカイテルなので観てみた。
実は、ハーベイカイテルとゲイリーオールドマンをたまに間違える。
ヒューマンスクランブルなのだが、余り有機的には交差しない。
それと弘兼さんの人間交差点に似た話がある、これの方が古い、確か三十年以上前、島耕作の遥か昔。
会話が多いのが災いして雰囲気が伝わりづらい、英語がわかれば、そう、思う。
クリスマスのエピソードは、映画や小説、漫画などで使い古された話だが、上手く演出されてる、モノクロなので、印象的だ、まあ、これでトントンです。
禁煙しちゃったけどいい映画だった
久しぶりに再鑑賞
タバコ屋で行われる軽妙な会話と出来事
それらが織りなす物語
いくつかの段落に分かれてるとも言えて
それぞれ登場人物に焦点が当てられる
原作か脚本がポール・オースター
それだけでもオースター好きには観て欲しい一作
オースターと言えばやはりN.Y.が出てくる感じだよね
作品の雰囲気もキャストも好きな映画だった
煙が甘くしみる。
ブルックリン、街角の煙草屋。
さえない大人たちのさえない日常。
それぞれに散りばめられた嘘と優しさ。
初めて見たときは雰囲気だけの名作、と思ったことが
恥ずかしくもなつかしい。
ハーベイ・カイテルの語り口と
ラストのモノクロのシーンがとても好き。
トム・ウェイツの嗄れ声も煙のように甘くしみる。
10年前のきょうは、
ありふれた一日など、どこにもないと知った日。
だけど、自分にできることをしていくしかない。
良い映画もあることだし。
嘘や裏切りが温かい。
『スモーク』鑑賞。
*主演*
ハーベイ・カイテル
*感想*
タバコ屋のおじさん
小説家のおじさん
黒人少年
周囲の人達
それぞれ「嘘」をつき、なかには心に傷を負った人もいる。
全四章あって、各登場人物にまつまる物語が描かれてるのですが、他の登場人物のエピソードとうまく合わさってたし、想像してた群像劇とは違ってましたが、良かったです。(^^)
それぞれの「嘘」は、どこまでが本当で、どこまでが嘘なのかわからない、煙のように掴めず、終盤は愛に満ち溢れてるような感じがした。
嘘や裏切りって個人的にはめっちゃ嫌な気分になるのですが、この作品は確かに嘘や裏切りが描かれていますが、何故か心が温かくなります。
トゲがあるように見えてトゲがないような?
(^^;←イミフw
フォレスト・ウィティガーが良い味出してたし、タバコ屋のおじさんや小説家が渋かったな~
総じて、めちゃめちゃ良かったです。これぞまさにヒューマンドラマ!
とても暖かい群像劇
2016年12月劇場鑑賞
公開は1995年、20年を経てリマスター版での上映。
当時では異例のロングランだったのをよく覚えています。
それにしても、クリスマス時期でのリバイバル上映なのが何ともニクいですね。
タイトルにあるように作中ではタバコを実に印象的に使います。
公開当時の自分はタバコを吸っていて、その頃の事が懐かしくなりました。
物語はブルックリンの片隅のありふれた日常を描いた、しかしとても暖かい群像劇。
主演のハーヴェイカイテルは、脂ののったとても良い演技を魅せてくれます。
派手な演出があるわけで無く実にシンプルな作りなのですが、何故かとても味わい深いのです。
その煙のように漂う日々の時間、そこには大切な物で溢れているんですね。
そんな事に気付かせてくれる、とても大好きな作品です。
退屈な話のはずなのに退屈しない作品
ハーベイ・カイテルが演じる街の煙草屋オーギーレンの店で、作家ポールと家出少年ラシードとオーギー自身のたわいもない話が交差する。そのたわいもない話が作品全体に散りばめられた偶然で繋がれて一つのストーリーに仕上がっており、終わってみればオヤジたちの友情と優しさが溢れた映画だった。
また日常生活にありがちな「嘘っぽい話」もところどころに登場してスパイスを加えるが、製作者は観客の予想を映像でうまく裏切る。オーギーの見知らぬ盲目のお婆さんとクリスマスを一緒に過ごした話は「まさに作り話だ」と思ったけど、その後のシーンでモノクロ映像のもっともらしい再現が入ったのでしっかり裏切られた。あのシーンは不自然な撮り方だったので、製作者もなんらかの意図を含んだのだろう。私は「嘘だと思ったかもしれないけど、実は本当だよ」という茶目っ気を受け取ったが、他の人はどうなんだろう。
一つ一つは日常の退屈な話なのに退屈しない2時間になった。
ニューヨークの片隅で"煙草の煙と与太話"
これは良い映画だわ。タバコを燻らせながら進行していく、大人の話や与太話。たわいもないのに味わい深いと感じさせる練られた脚本は、全てを見せず、観る者の想像によって短編が完結していく不思議な感覚だ。
そして、ハーヴェイ・カイテルとウィリアム・ハートの一見地味な配役なのに、これだけのインパクトを残す凄まじい演技と存在感は流石の一言。
ポスター・ジャケットで見る、抱き合っているワンカット、エンドロールまで引っ張ってそこかよ⁈最後までニクイ演出だ^_^;
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