劇場公開日 2016年12月17日

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「ポール・オースターの世界観を見事に映画化 ハーベイ・カイテルの渋さも妙味」スモーク 大塚史貴さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ポール・オースターの世界観を見事に映画化 ハーベイ・カイテルの渋さも妙味

2022年3月30日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、DVD/BD、映画館

米ニューヨークのブルックリンの小さな煙草屋という設定が、なんとも粋である。
いま、このご時世では煙草屋って街でほとんど見かけなくなったが、かつては自販機で買えない世界の珍しい煙草を扱う店が大きな町には必ずあった。
ある種、交流の場でもあった煙草屋を舞台にしているのが、作家ポール・オースターの短編「オーギー・レンのクリスマス・ストーリー」。これを原作に、オースター自ら脚本を執筆し、ウェイン・ワン監督がメガホンをとった。
ハーベイ・カイテルが演じた煙草屋店主オーギーは、10年以上にわたり毎日同じ場所、同じ時刻に写真を撮影している。その写真から、小さな奇跡が起こり……。そのくだりは、陳腐な表現になってしまうが、とても素敵だ。また、ウィリアム・ハートの芝居も作品世界を優雅に漂っていて秀逸である。

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大塚史貴