「退屈な話のはずなのに退屈しない作品」スモーク キリンさんさんの映画レビュー(感想・評価)
退屈な話のはずなのに退屈しない作品
ハーベイ・カイテルが演じる街の煙草屋オーギーレンの店で、作家ポールと家出少年ラシードとオーギー自身のたわいもない話が交差する。そのたわいもない話が作品全体に散りばめられた偶然で繋がれて一つのストーリーに仕上がっており、終わってみればオヤジたちの友情と優しさが溢れた映画だった。
また日常生活にありがちな「嘘っぽい話」もところどころに登場してスパイスを加えるが、製作者は観客の予想を映像でうまく裏切る。オーギーの見知らぬ盲目のお婆さんとクリスマスを一緒に過ごした話は「まさに作り話だ」と思ったけど、その後のシーンでモノクロ映像のもっともらしい再現が入ったのでしっかり裏切られた。あのシーンは不自然な撮り方だったので、製作者もなんらかの意図を含んだのだろう。私は「嘘だと思ったかもしれないけど、実は本当だよ」という茶目っ気を受け取ったが、他の人はどうなんだろう。
一つ一つは日常の退屈な話なのに退屈しない2時間になった。
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