スピリッツ・オブ・ジ・エアのレビュー・感想・評価
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奇才プロヤス、25歳の頃の才気爆発作
唯一無二のキャリアを築いた映画監督の長編第一作を紐解くと、後の作品へつながる胚芽が数多く見つかるもの。個人的に「最近のアレックス・プロヤスは元気ないなあ」と感じていた私にとって、近年デジタル・リマスタリングされた88年制作の本作は、限りある予算と条件を駆使して作られた、青臭くもビリビリ来るほどの表現欲求あふれる「野望の塊」のように思えた。「ダークシティ」や「ノウイング」などの商業映画に比べると構成面で退屈な箇所はあれど、しかし注目すべきはこの映像感覚だろう。何もないだだっ広い荒野と一軒家の対比、刻々と変わりゆく光と影、遠くにそびえる壁のような山々、そこに向けて羽を広げる奇妙奇天烈な男たちの姿など、見ているだけであまりにその絵力が強くてもうグイグイと引き込まれる。リアルタイムで鑑賞した人々が「こいつは必ず化ける!」と太鼓判押したのも頷ける。持ちうる全てを注ぎ込んだ才能の見本市のような作品だ。
地獄の荒野
アート感満載
【独特過ぎる荒涼たる世界観と独自性が凄い、絶望と希望を描く孤高のファンタジー。ピーター・ミラーの荘厳な音楽も印象的である。】
■荒野にある小さな家に住む足の不自由なフェリックスは、手作りの飛行機で空を飛び、この場所からの脱出を夢見ていた。
一方、妹のベティはここを一生離れてはいけないという父の遺言を守り、十字架に囲まれて暮らしていた。
ある日、ひとりの逃亡者スミスが現れ、フェリックスと共に飛行機で、荒涼とした土地からの脱出を繰り返す。
◆感想
・フライヤーは手元に有ったので、気になって居た作品である。
・鑑賞前は半信半疑で有ったが、物凄い独自性を持つ映画であった。荒涼とした土地の一軒家。家の軒先には無数の十字架が掛かっている。
・精神を病んだかのような、ベティの白塗りの顔。
<以下、フライヤーより。
撮影地として知られるオーストラリア、ブロークン・ヒルで登場人物は3人のみ、4年半の月日を費やし制作。
「空を飛ぶこと」に憧れを持つ男を軸に、絶望と希望、夢と現実の寓話を描き出す。
・・どこか、マッドマックスを思わせる荒涼感。テリー・ギリアム作品を想起させる世界観。
この作品が、1988年の制作とは・・。
凄い映画を観た。>
カルト的ファンタジーの鳥人間コンテスト奮闘編
砂漠の真ん中にポツンと佇む小屋。外には錆びた車3台が頭から地面に突き刺さっていたり、やたらと十字架のオブジェが多い。赤い土と真っ青な空。どことなく『バグダッド・カフェ』の映像にも似ている。そんな小屋に住む足が不自由な兄フェリックスと狂信的な妹ベティ。そこへスミスと名乗る男がフラリと訪れる。
「北に向かっている」とスミス。「北には砂漠から出ることはできない。高い壁があるからな」とフェリクス。スミスに対してはとても優しく、逃亡者の雰囲気があるのに数日泊まっていけと、もてなす。彼は手作りの飛行機を作ることで頭がいっぱい。やがて、壁を飛び越せるほどの飛行機を完成させたいのだ・・・
スミスをとにかく追い出したい妹ベティ。ちょっとファンキーだが、部屋の中は十字架だらけ。スミスのことを悪魔と呼ぶくらい毛嫌いしていた。彼女の弾くジャイアント二胡がまた独特の雰囲気を醸し出していた。
飛行機は失敗、また失敗・・・と、まるで鳥人間コンテストに初めてトライする大学生みたいで楽しい。また、スミスに対しては体を鍛えるようにとロンドンブーツを渡す。どんな鍛え方やねん!
まぁ、映像や飛行機の造形などを見ると、カルト作品なんだろうし、スミスが一体何者で、誰に追われてるのかもさっぱりわからない。ストーリーが単純なだけに、だらだらとした進み方には多少眠気も覚えてしまいました。ちらっと登場した巨大櫓はいったいどこへ・・・
映像の中を漂う何か
鳥人間コンテスト
スピリッツ・オブ・ジ・エア!!
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