劇場公開日 1998年5月2日

「前人未到のギャラクシー除虫SF!」スターシップ・トゥルーパーズ かせさんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0前人未到のギャラクシー除虫SF!

2024年7月11日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

原作はSFの巨匠ロバート・A・ハインライン原作の『宇宙の戦士』。
監督はポール・バーホーベン。

【ストーリー】
23世紀。
銀河に進出した人類がはじめてコンタクトした地球外生命体は、強力な軍事力を持つ虫型の「アラクニド」、通称「バグ」たちだった。
主人公リコは、志願兵として宇宙海兵隊に入隊、そこで初恋のカルメンと再会する。
キャンプでしごかれ、一人前の兵士として鍛えられてゆくリコだが、ミスをして同窓の兵士が訓練中に死亡してしまう。
一度は軍を辞めようとするリコだが、両親の住むブエノスアイレスがアラクニドの攻撃で壊滅、除隊届をとり下げ、バグの主星クレンダスへの強襲降下作戦に参加する。
バグの反撃はすさまじく、地球艦隊の戦艦級が次々と落とされる。
どうにか地表にたどり着いたリコたちは、そこではじめて敵と相対する。
無数の集団で統制の取れた行動をし、強靭な肉体を武器に死を恐れず殺到してくる敵軍団に、人類はたやすく狩られてゆく。

バーホーベン作品でおすすめするなら『ロボコップ』とこの『スターシップ・トゥルーパー』をおいて他にありますまい。
でっかい虫が画面いっぱいにワッサー出てきて、凶悪なプレード型前肢で人間を切りきざむ悪夢みたいな映像は、忘れえぬインパクト。
なに考えてんだこの監督と見はじめに思いましたが、反撃がはじまると、うおー行けー人類そしてリコ!
ヒューマンの恐ろしさ、ぶち思いしらせてやれやあ!
となっちゃうふしぎ。

原作のロバート・A・ハインラインは、戦後海外SF御三家と呼ばれた巨頭の一人。
『ミクロの決死圏』『ファウンデーション・シリーズ』のアイザック・アシモフや『2001年宇宙の旅』『地球幼年期の終わり』『楽園の泉』のアーサー・C・クラークと並び称される、ガチの巨匠です。
この宇宙の戦士も、表題のまま日本でアニメ化されてるんですが、こちらは肝心の戦闘シーンはほんのちょびっとだけで、訓練時代の甘ずっぱい話メインになってて、ちがうちがうそうじゃない出来。
設定の使いやすさからフォロワー作品が多数作られ、同じ虫型エイリアンとの戦いを描いた『エンダーのゲーム』やリドリー・スコットが映画化を進めている『終わりなき戦い』など数えきれないほど。
富野由悠季監督がこの作品のあらすじを読んで、今や世界的名作アニメシリーズとなった『機動戦士ガンダム』を着想したのは、ハインラインファンならずとも有名な話です。

映画がどこまで原作と近いのかというと、バトルシーン以外はけっこうまんまなので、興味がわいた方はぜひお手に取ってみてください。
元々児童むけレーベルからの出版なので、翻訳しだいではかなり読みやすいですよ。
バーホーベン作品おなじみのあたおかCMですが、あのまんまではないにせよ、それぐらいの戦時統制社会ではあります。
ストーリーの所々で軍や社会のあり方の議論などがされてて、その内容から「軍事的すぎる」「国粋的だ」との批判も受けたそうですが、ハインラインは元々軍人として太平洋戦争にも参加してますし、近現代の戦時って人権よりも社会全体の生存に重きを置くのは理解できます。
左派的な小説も出しているので、ご本人の思想はかなりニュートラルなんですけどね。

科学者のアシモフやクラークより、ぐっとエンタメによせた物語をつむぐハインラインには国内女性ファンも多く、来日の際に『11人いる!』萩尾望都と『グリーン・レクイエム』新井素子がサインをもらって感激したというエピソードも。
「日本人女性に「モト」って名前が多いと誤解をあたえたらどうしよう」
お二人でそんな懸念を話し合ったそうです。ほほえましい。

続編2作目はスケール小さくてあまり評判よろしくないのですが、低予算のホラーSFとしてはそんなに悪くはない出来。
3作目はあの悪魔の超兵器マローダーが出てきて、クソッタレのバグどもを一掃するおっそろしいお話。人類こええ……。
本国アメリカではアニメシリーズも二作ほどあるそうですが、ちょっと見てません。

実はパワードスーツの始祖でもある原作。
ただのアホアホスプラッタSFではない、いろんな側面のある作品です。
この映像化作品ともども愛していただけたら、幸いです。

かせさん
かせさんさんのコメント
2024年7月11日

超それだー!

かせさん
活動写真愛好家さんのコメント
2024年7月11日

「エイリアン2」は女王が一番強かったですね‼️

活動写真愛好家