頭上の敵機のレビュー・感想・評価
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企業研修の教材として使われた映画
本作は、第二次大戦下、イギリス駐屯のアメリカ陸軍航空隊(B-17爆撃隊)の物語。
実在の人物やエピソードを散りばめた秀作。
いわゆる「戦史」「ドッグファイト(空中戦)」
に重きが置かれず、
リーダーシップ、つまり、
・組織の束ね方
・士気のあげ方
・人材配置
・個人ごとの接し方(育成)
・規律と休養(緊張と緩和)
など、平時の企業でも役立ちそうなテーマで
見るものを引っ張ってくれる。
演出、演技も戦時下の緊張感をよく表現していて、
安っぽい「青春群像シーン」もなく、
硬派な作りとなっていて私好みである。
ラストに向かうシーンは秀逸な展開で、
グレゴリーペック演じる厳格な准将も、
実は、一人の弱い人間であったことが
迫真の演技で表現され、静かに胸を打つ。
シーンとしては順番前後するが、
解任した前指揮官(友人でもある)との会話、
部隊再建への助言を求めるが
結局は、自分とは考えが相容れない、
とグレゴリーペックは強弁する。
これが、ラストシーンへの伏線として
効き目が絶大だった。
企業研修の教材として使用されたことも
うなづける。
そんな時が来ませぬように
今は日本はいちおう平和ではあるが戦争にでもなったらどうなってしまうのだろうか
無宗教者ばかりで自国愛も薄く身近な者すらも命をかけて守ると言うような気合いも見えない
そう、どっぷりと平和につかって手足を伸ばして暮らしているのだ
この作品に出てくる言葉にこんなものがある
「最大限の努力」
使う側からすればとても都合のいい言葉だ
言われた方はたまらない、具体的な目標も何もあったものではないのだから
ましてや戦時中ならどんどん過酷になっていってしまう
太平洋戦争の日本もそうだった、ベトナム戦争でもアメリカは経験している
どん底まで行った兵士達に上の人はまだこんな事を言うのだ
最大限の努力をしろ、最大限の努力が足りないと
人には本人すら分からない力があるのはわかる、いざと言うときにその能力は発揮されるだろうけど出来れば戦争とは無関係なところで発揮したいものです
美しいストーリーに描いても所詮は人殺しの延長なのだからやっぱり戦争が無い方がいいものです
世の管理職が見るべき映画
戦場という生死かかかる極限状態の中で、戦果が悪い部隊をいかに強くしていくかという物語。
戦争ものというより、上司とは、指導者とは、管理職とはどうあるべきかを学べる作品です。
グレゴリーペック演じるサベージ准将が、親友ダベンポート大佐が指揮する部隊を冷静に判断し、親友を解任し、自らが立て直すことになります。
厳しく部下に接する彼のやり方に初めはついて来れない隊員たちに苦悩しながら、徐々に戦果を上げていき、その中で新しいリーダー候補も育っていきます。失敗すれば即、死につながる極限状態で、サベージはとうとう精神をきたしてしまう。初めは親を威を借るダメ指揮官だったゲートリー少佐が編隊長を替わり、見事ミッションを成功させる。
世の上司として、管理職としてこうあるべきという姿を見ることができる作品です。
無理を通すには・・
舞台となるのはイギリスのアーチベリー米空軍基地、918部隊。爆撃機は大型なので回避飛行は難しいし正確な爆弾投下には水平飛行が必要であり狙われやすい、主力爆撃機のB-17Fは操縦席上の装甲が弱く、機銃の取り回し範囲から真上の方向(原題の12 O'clock High)からの攻撃に弱かった(後継のB-17Gは装甲、銃座とも増強された)。しかも航続距離の関係で護衛戦闘機は随行できず(後にP-51 マスタングで可能になった)対抗策は密な編隊飛行で機銃の掃射密度を上げ近寄らせないことくらいだった。弱点が克服できていない段階で敵戦闘機の待ち伏せや対空砲火に晒される昼間爆撃で帰還率は低かった。
ヨーロッパでの戦いは米軍兵士にしてみれば助っ人意識、弱い使命感ではミスも多く、死への恐怖は拭えない。そんな折、対空砲火の届く低高度爆撃命令を巡って指揮命令系統は破たんする、命令に反発する温情派の司令官に替わって冷徹な司令官が着任、あえて怒りの対象となることで不安をすり替え、緊張感、結束力を高める。実践指導で編隊飛行の有用性を示すことで自信の回復に繋げる。しかしB-17の根本的な弱点が解消された訳ではなく数を増す敵戦闘機の執拗な攻撃で目前で部下の機を失う衝撃から司令官もストレス障害にみまわれる。初見ではテーマは組織論やコーチングのように思ったが根は深い、運に頼るなと言う割には精神論、兵の能力だけでは爆撃攻撃の弱点は解消しない、論理的な分析、問題解決能力の欠如もしくはそれ以前の無理は承知の確信犯の横行は無くならないということか。
戦闘シーンは軍の記録映画を用いたらしい、シーンは少ないが戦争体験世代には爆弾の嵐などみられたものではないだろう・・。
幹部研修で見せるべき映画
組織の長、支店長、営業所長やそれに準ずる幹部、それを目指すものは必見
自分にも経験のある事柄がてんこ盛りに次々と繰り広げられる
ちょっとフラッシュバックして辛いシーンもあった
今の現代日本でも極めて現実的なストーリー
パワハラ問題、鬱病問題・・・
現実に心当たりあるエピソードばかりだ
部隊司令部事務所の壁面を良く見ると組織図に名前だけでなく顔写真で誰がどの部署にいるかを覚えられるようにしている
操縦士日別出動表もある
誰がどれだけ出動して、誰かが出突っ張りになってないか一目でわかる
平和な現代日本でも同じようにしている事務所はあるはずだ
実際に基づいたものだろうリアリティがある
システムや帳簿ではだめだ
指揮官の頭に入っていなければ意味がない
再出撃に手が震えて心が拒否しているシーン
とても良く分かる
指揮官の心の健康は極めて現代的だ
優秀な人ほどこうなる
自分より優秀な人が身体や精神を病んですりつぶされてしまうのを山ほど間近にみてきているから本当に身につまされた
映画としても極めて面白い
心身症に陥った主人公が部隊の帰還の爆音で次第に目の光が戻る演技の迫真さは驚嘆した
1948年のクラークゲーブル主演の「戦略爆撃指令」もお勧めしたい
戦闘シーンは全くない
しかしそれでも強烈な戦争映画なのだ
司令部の指揮官の戦いとは何かという紛れもない戦争映画だ
指揮の本質とは何かを物語る映画だ
本作以上の圧倒的なリアリティがある
幹部にこれからなる人や、司令部に詰める立場の人は必見だ
B17爆撃機・・
「頭上の敵機」を観て・・
英語タイトルは「12 O'clock High」。グレゴリー・ペックが主演。厳しい上官の指導の下、部隊の部下が成長していく様は戦争映画の王道。この作品も例外ではない。舞台は1942年の第二次世界大戦で、連合軍がまだ戦況に苦しんでいた頃。連合軍の918部隊はイギリスの基地からB-17の編隊で爆撃の攻撃をするのが任務。主人公は未帰還機が多い918部隊に派遣されて来た司令官。918部隊の士気は下がっていた。上官の厳しい指導や度重なる訓練で隊員は全員転属願いを・・しかし、戦況は厳しくなり、攻撃もドイツ本土の軍需工場を白昼爆撃する危険なものに・・918部隊は危険な任務を遂行していく。敵の戦闘機との戦闘シーンは迫力の映像だ。犠牲者も数多く出てきて主人公の上官も疲れてきた。帰還するB-17爆撃機を観測する場面で映画は終わる・・1949年の製作、戦争の悲惨さの映像は半端でない。散っていった若者らに手を合わせる(涙)
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