スケアクロウのレビュー・感想・評価
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喧嘩っ早いのは何故なんだろう??
月に8回ほど映画館で映画を観る中途半端な映画好き。
なので専門的過ぎないライトな紹介を書いてます。
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大きな罪ではないが刑期を終えた中年男と
船乗りで5年も家を離れていた男が、
田舎の荒涼とした道端で出会いそのまま、一緒に旅を始めるお話。
一方は新しい仕事を始めるために、
一方は長く会ってなかった妻子に会うために先を急ぐ身。
お互いの利害が一致して一緒に旅をすることになった2人の男。
に、しても、アメリカの田舎の男って、なぜ、こんなに発火点が低いのかしら??
ちょっとした言葉の言い回しや態度の行き違いで
すぐにファイティングポーズを取る様な奴らばっかり。
拳を上げるだけなら大したことにならないが
そこに拳銃があるとなれば、そりゃ発砲事件は増えるわよね。
物語の内容云々より、そっちの方が気になりました。
男の滑稽さと浅はかさ、可愛い所もあるけれど
思い込みが強過ぎて何も現実が見えていない悲しさ。
みんな溢れてます。
ちょっと乱暴な表現ですが、星のナターシャ的解釈の
「ザ、アメリカの男!!」
なんて感じました。
[午前十時の映画祭]にてスクリーン鑑賞
アル・パチーノ、そしてジーン・ハックマン
二人の演技が素晴らしい。あまりに素晴らしい。70年代のアメリカ社会で、一旦落ちこぼれたけれど新たな目標を頑なに持ち続けて再スタートの旅を続ける。
何枚も何枚も何枚もシャツを着ていて寝るときは靴を枕の下に置くマックス(ハックマン)。喧嘩っぱやい彼も時間はかなりかかったが、ひょうきんで陽気なライオン(パチーノ)によって変わっていく。ライオンとは口をきかない喧嘩中でも、顔中が血だらけに傷ついたライオンの仕返しをするのはマックス。妻に電話するライオンを励ますのもマックス。「ビジネス・パートナー」がいまやかけがえのない友達だとマックスは思っている。
人を笑わせ人懐っこく優しいライオンはマックスにとって最高にいい奴だ。タバコ好きのマックスに最後のマッチもあげた。そのライオンは一方で、げすで最低の暴力を振るったライリーにとってはお誂え向きの「無害な」かかしだった。悪意のあるカラスに暴力をふるわれたかかしはもはや笑わない。陽気で人懐こいライオンはもう居ない。ライオンの5年間は身重の妻を一人おいて勝手に旅立って得た自由だった。妻にお金は送っていた。でもその間に妻の様子や赤ん坊のことも聞かず自分のことを知らせる電話一本、手紙一本寄越さなかった。5年間の自由気儘、良心の呵責もあったろうが、送金してたからいいだろうという傲慢のしっぺ返しが妻があえてついた嘘。ライオンの絶望は彼の心と体を蝕んだ。
6年間の不自由な刑務所生活を終え、ノートに書いたピッツバーグの銀行口座の額が全ての単純なマックスには、かかしの本当のことなど何もわからなかったに違いない。
時代の波に乗れない二人は案山子のような存在?
偶然に知り合った男二人のロード・ムービということなのですけれども。本作は。
粗暴な性格が災いしてか、刑務所となかなか縁を切れないかのようで、今度こそ洗車業で人生の再起を賭けているというマックスと、妻との関係性を築けずに出奔(しゅっぽん)してしまったというフランシス―。
どちらも社会の波に、上手くは乗ることのできなかった二人は、中身が伴っていない案山子(スケアクロウ)のような存在だったということなのでしょうか。
そう考えると、とてもとても「男二人の友情のロードムービー」などという、甘酸っぱい評が当てはまる一本では、決してなかったのではないかと思います。評論子は。
むしろ、胸にずんと重たい一本だったと思います。評論子は。
いろいろな事情から社会の「流れ」に乗ることができず…あるいは、乗り遅れて、精神的に病む者も少なからずいたであろう当時の世相を静かに描いた一本なのだろうも思います。
今(令和)の日本に置き換えたとすると、果たして今の日本は、どんな状況なのでしょうか。
本作は、いわゆるアメリカン・ニュー・シネマを代表する一本ということで、午前十時の映画祭13の一本として鑑賞した作品でしたけれども。
「病めるアメリカ」を、決して声高にではなくても、しっかりと描いたということでは、秀作と評することができると思います。評論子は。
(追記)
マックスの前では(彼の自分に対する関心が途切れてしまうことを心配しているかのような)ときに過剰なほどのおどけぶりや、案山子(かかし)がカラスを寄せ付けないのは、その警戒心を利用したものではなく、カラスを笑わせて楽しませることで、作物に被害を与えることを遠慮させているのだなどという荒唐無稽な屁理屈を捏(こ)ねたりするのも、マックスとの平常的な関係性を築きかねてのことなのだろうと思いました。評論子は。
彼が妊娠中の妻を残して出奔してしまったというのも、いちばん濃密であったはずの妻との関係性を上手に築けなかったからだったのでしょう。
そして、妻・アニーとの関係性が決定的に壊れて、もともと持ち合わせていた「素因」が爆発的に彼の中で膨らんでしまい、遂には発症にまで至ってしまったのが「真相」といったところでしょうか。
(追記)
一方のマックスにしても、お金を意外なところに隠していたり、異常なほどの厚着だったり…。
情緒的に、あまり安定しているとは言いかねる状況だったと思います。
同じく不安定たったフランシスに互いに惹かれ合い、衝突をしなかったのは、そんなところに素因があったのかも知れないとも思いました。
評論子は。
何故か目が潤む良い映画
大学生の時リリースされ、今見たら歳をとったせいか?かなり心の琴線に触れる映画と感じました。人間関係の薄い昨今には無い様な事です。アルパチーノも様々な映画で見てますが、この若い時の映画も当たり役だと思いました。又70s終わり頃からの米国に行ってて朝食たべるカフェとか風景など似ていて懐かしくて彷彿としました。
アメリカン・ロードムービー
午前十時の映画祭、にて観賞。
前から観よう観ようと思いつつ観てなかった1本ですが、やっと観れた♪
刑務所を出所した男と船乗りをやめたばかりの男が70年代初頭のアメリカを旅するロードムービーで、当時のアメリカがオシャレでイケてる♪
アル・パチーノは『ゴッドファーザー』の次に出た作品みたいだけど、明るくコミカルな役でジーン・ハックマンとの凸凹コンビがイイ感じ(笑)
始まりがカッコイイんですよね♪
少し前に、同じく男2人で旅する『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』を観たけど、
アル・パチーノ大好き、アメリカ文化も大好き、な自分には、コッチに軍配が上がる(笑)
アル・パチーノの魅力、アメリカ文化の魅力、に引っ張られるので(笑)
話的には、まあまあ…かな?
アニーへのプレゼントは・・・
午前十時の映画祭13にて。
南カリフォルニアの田舎の道で出会った、短気な男マックスと陽気な青年ライオンの2人。6年の刑期を終え出所したマックスは洗車店を始めようとピッツバーグへ行こうとしていた。5年間の船乗り生活を終えたライオンは、会ったことのない我が子に会うためデトロイトを目指していた。正反対な性格の2人だが、ヒッチハイクに何度も失敗するうちに、意気投合し、一緒に行動することになり・・・さてどうなる、という話。
名作らしいが、今では良くあるストーリーで、特に感動するとまでにはならなかった。
ただし、1973年公開作品なので、50年前だなぁ、と思って観てたから、これから後の作品が無かったとしたら、名作なのかも、とは思った、
マックスは自業自得の面が有るが、ライオンは可哀想だった。
ライオンが最後まで大切に持っていた赤いリボン付きの箱はアニーへのプレゼントだったのだろうけど、どうなったのかな?
ロードムービーの良さは、出来事がそこで解決しないというところにあり...
ロードムービーの良さは、出来事がそこで解決しないというところにあり、そうした物事を各地に置き去っていきながら道を進んでいくという様子が自由であり苦悩でありひとつの人生そのものを感じさせる厚みを生んでいる。なのでこういう映画を見ると、何を見たかはぼんやりしてくるけれども、啓発的ではない意味で人生を肯定できる気持ちが湧いてくる。人を信頼し合うというのが言葉にとどまるものでなくて、一番の苦境でも自分に付き合ってくれる人だということが、2人の姿を通してよくわかる。
ニューシネマよ永遠に
2人の正反対なキャラクターの魅力が冴え渡っていました。
ハッピーエンドかハッピーエンドじゃないか、というのはとても主観的なことでもあるので、見方によってはハッピーエンドだとも言える終わり方だったと思います。
すれ違ってしまった心は元には戻らない。身から出た錆ではあるのだけど、お互い許し許されたいと思っているのに素直には振る舞えないのが人間なんだなやはり、と。
お互い意図してない形で放たれた言葉は、やはり強力な武器となって人の心を壊す。同様に意図しない形で言葉が人を救うこともある。その両面を見せてくれる映画だったように感じました。物事の二面性を絶望希望交えて描いていたと思います。
他の作品ではなかなか見れない荒くれ者役のジーン・ハックマンと、憎め...
他の作品ではなかなか見れない荒くれ者役のジーン・ハックマンと、憎めないおちゃらけ役のアル・パチーノ。2人が同じ夢に向かって徐々に心を開いていく様は、微笑ましくも切ない。カンヌ映画祭パルム・ドール受賞。
なぜかあたたかい
けして明るいだけの話ではないのになぜかあたたかな気持ちになる。
アル・パチーノはゴットファーザーのイメージしかなかったが、軽いおちゃらけ男を表現豊かに演じている。
あのいろんなところで周りに迷惑をかける人って、「ポセイドンアドベンチャー」の牧師さん?
昭和時代の大塚博堂さんの歌が気になって鑑賞
1970年代高校生の頃姉がよく聞いていた大塚博堂さんの歌が好きでよく聞いていました。その彼の曲で「私はもう女です」があり、歌詞の中に「スケアクロウを見た帰り道あなたは夢遊病者みたいに.....」と箇所があり今まで頭の隅っこありました。
今回再上映され40年以上経って鑑賞する機会に巡り合えました。
現在は年をとって感性が変化しましたが、私も25歳前後で見ていたら上記の曲の歌詞の様な気持ちになっていただろうと思います。考え深い鑑賞時間でした。
内容については当時流行ったアメリカン・ニューシネマといった感じと思いました。
BDかDVDを購入していつまでも手元に置いておきたい名作でした。
古い時代のリバイバル上映。ロードムービー好きなら是非。
今年58本目(合計1,150本目/今月(2024年2月度)11本目)。
(ひとつ前の作品「 フィスト・オブ・ザ・コンドル」、次の作品「ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ」)
リバイバル上映で行われていたので見てきました。
最近はロードムービーの映画といっても色々な「味付け」がありますが、本作品はそのロードムービー「だけ」の映画で、他の筋にずれたりといったことがあまりないので、ロードムービーが好きという方には結構推せます(換言すれば、展開があっちこっち飛ぶようなミステリー的な要素を持つ映画が好きという方には推せない)。
古い作品という事情もあって、やや字幕上配慮を欠くかなという部分はありますが、そこは過去のリバイバル上映なので減点なしの扱い、また、ストーリーについてあれこれ書くと、ネットフリックスほかで「無料で」見られる環境の方にとってはネタバレ以外の何ものでもないので省略です。
ときにはこういうリバイバル上映(午前10時の映画祭)もいいなといったところです。
スコア上は特に採点上気になる点はないのでフルスコアです。
エメラルド・シティは遠い
「オズの魔法使い」の見立てである。2人の男が強風吹きすさぶカリフォルニアの路上に現れる冒頭部。ドロシーが嵐に運ばれオズの国に降り立ったように。
フランシスは、自分をライオンと呼んでくれという。臆病ライオンが勇気を欲しがったように彼は長年見捨てていた妻子と再会すべく勇気を振り絞ってデトロイトに帰ろうとしている。一方、マックス。容易に人に気を許さない冷たい心の持ち主。鋼鉄のハートと鋼鉄の身体を覆う厚着の大男。ブリキの木こりの見立てである。
そしてこの二人が二人してスケアクロウ=かかしなのである。畑にやって来るスズメやカラスにも笑われてしまう世渡り下手な愚か者ということなのだろう。
旅が進むにつれてフランシスは本来、勇気のある人間であること、マックスは友達思いのハートが暖かい人間であること、がだんだん分かってくる。オズの魔法使いのストーリーと同じ。つまりエメラルド・シティに着く以前に必要なものはすでに得られているのである。スケアクロウについても、道化になって人を笑わせることで世の中丸く収まることがある、と二人は学ぶ。ここはちょっと悲しいけど。
この映画についてはラストが中途半端じゃないかとの意見が昔からある。アル・パシーノとジーン・ハックマンの仲が悪く途中で撮影が打ち切られたとか都市伝説も。今回、改めて観てみたがラストできちんと伏線も回収されており違和感は感じなかった。多分、映画は完結している。
ピッツバーグに着いてからどうのこうのというのは特に大切ではない。ロードムービーなのでそこまでの途上が肝心でありそれについては十分語られている。二人にとってのエメラルド・シティが何処なのか、そこへたどり着いて幸せになれるかどうかはこの映画では語らないのがいわゆる余白をもたせるということなのだと思う。
米国版『道』
フェリーニの『道』に似てますな。たぶん影響されて作っていると思います。
無骨で粗野なマックスはザンパノ。ライオンはジェルソミーナ。
喧嘩っ早くてすぐに手が出てムショに入れられてしまうマックスというどうしようもない社会不適業者が、彼と全く対照的であるライオンという青年に出会って、彼の考え方に感化されて、この社会を楽しく生きていく術を身につけるという話です。
ストレス多き現代人も本質マックスみたいなもので、つまらない事にいちいち腹を立てて、世の中を自分でつまらなくしている人が多いはずです。ライオンの言うように、〝カカシ〟になれば、救われる人はあまりに多い。ふだん何事にもぷりぷり怒ってしまう人。そんな人にこの映画は特効薬になるでしょう。
物語のラストですが、道と似たラストを描きます。正直、私も途中で観てて最後が予想できるなあ、と思って観てました。でもまあ、おもしろいちゃあ、おもしろいですね。
誰がなんと言おうと・・・
誰がなんと言おうとカッコイイんです、この二人、私にとって。
味があって芸達者な二人の個性と個性のぶつかり合い。
どこまでが計算で、どこまでがアドリブで、どこまでが成り行きなのかと想像させるスリリングな展開。
不仲で打ち切られただとか、最後が物足りないだとか、共感できないとか色々言わはるひといるけど、ええんです。誰がなんと言おうと、この映画、サイコーです。
全41件中、1~20件目を表示