ZOO(1985)のレビュー・感想・評価
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美しい狂気を飼い慣らす
ピーター・グリーナウェイ監督作品。
アヴァンクレジットまでのシーンで傑作だと確信しました。鳥肌が立ってしまった…
高校時代に会田誠の画集を開いてしまった時と同じ感覚。
絵画的な構図によるシンメトリーは腐敗によって朽ちていく…
それは空間でありつつ、双子の様相でもあるし、片足を失ったアルバでもある。
人間も含め動物が蠢く様子をクローズ・アップでみると気持ち悪いし、逆に死んで朽ちていくのは美しい。鰐も白鳥も犬もシマウマも双子も朽ちさせるのだからショックだ。けれど死は生命に等しく到来するし、腐敗していくのは美しい。生命のもつ対称性を崩すドキュメントは倫理に反するが、その美しさを知ってしまった。それはとても危険だ。
私たちが健全に生きるために。それには「美しい狂気」を飼い慣らすしかないのだと思う。
ZOO 神戸にある元町映画館 にて鑑賞2024年4月3日(火) オ...
ZOO
神戸にある元町映画館 にて鑑賞2024年4月3日(火)
オランダのロッテルダムの動物園。動物学者であるオズワルド(ブライアン・ディーコン)とオリヴァー(エリック・ディーコン)の兄弟はそこで働いているが、自動車事故で同時に妻を亡くした。車を運転していた女アルバ(アンドレア・フェロル)は生命はとりとめたが事故で片脚を切断した。
残された兄弟は悲しみにうちひしがれていたが、やがて二人は死んだ動物が腐ってゆく過程を記録する実験にとりつかれ、生物の進化をたどったフィルムを憑かれたように見始めた。
二人はアルバに魅かれ、彼女も二人に興味を抱いた。そんな三人の様子が外科医ヴァン・メイハラン(ジェラード・トゥールン)と助手のカテリーナに監視されていた。アルバと兄弟の間には愛が生まれた。
ヴァン・メイハランはアルバのもう片方の脚も切断しようと企てる。動物園の内部で動物の肉が取引され、ゆすりが行われ、腐敗が渦巻き、動物を自由にすべきだという兄弟と彼は反発し合う。
三人は共同生活を始め、アルファベットの数だけ子供を産みたいという彼女に、兄弟は惹かれていく。アルバは二人の子どもを身篭った。二人が動物園を退職した直後、アルバは双子の男の子を産んだ。しかしその直後衰弱で死んでしまう。残された兄弟は自ら撮影の実験体になり、互いに命を断つのだった。
監督 ピーター・グリーナウェイ
音楽 マイケル・ナイマン
1985年イギリス
マイケル・ナイマンは映画「ピアノ・レッスン(The Piano」で知られている。
この作品は「獣姦」が扱われいた。エスカルゴ(カタツムリ)がうじゃうじゃ登場し、最後のシーンでは死んだ兄弟の遺体を覆いつくすほどに溢れているという「恐怖」を感じた。
鹿賀丈史よ、静かにしていてくれ
P. グリーナウェイ・レトロスペクティブにて。
独特の映像世界は好き嫌いが別れるところか。左右対称構図はW.アンダーソンが影響うけているのかしら。登場人物の行動は奇矯ながら、ストーリーはちゃんとある。生物の腐敗の進行を微速度撮影した映像が多様されていて、それを云々言われるひともいるが元科学少年としては生物ドキュメンタリーでたまに観る光景でなんということはない。
映像とともに音楽がとても印象深いのだが、動物が腐敗していくシーンに頻繁に流れるピアノソロのフレーズを聞くと世代的に「鉄人、陳健一!」という鹿賀丈史の声と姿が脳内再生される。「バックドラフト」だとこの症状は感動的シーンで頻発する。つくづく罪作りな番組だ。
マイケル・ナイマンがやっぱエライ
4Kに慣れつつある目には映像の美麗がモノ足らず
はじめて見た時の衝撃は時代を経て色あせて…
でも、音楽は今でもゾクゾクします。
グリナウェイ映画は音楽の力で強引に
かけ離れたいくつものコンテクストをねじ伏せる実験なんですよね。
構図にとんでもなくこだわりのある映画です
映画は【左右対称】に作られており、とても美しいです。(人が映っているときに限ります笑)
動物の腐敗の描写が多いため、虫やグロい映像が苦手な方には向かないです…
他の映画にはない面白さがあり楽しめました。
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