「野望を秘めた男の静の緊迫感」シンシナティキッド Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
野望を秘めた男の静の緊迫感
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総合:65点
ストーリー: 65
キャスト: 70
演出: 65
ビジュアル: 65
音楽: 75
マックイーンは今回は体を張った派手な動きはないが、机の上で真剣勝負に挑む。
マックイーンが演じるのは、実力を持って頂上を狙う野望溢れるプロの賭博師。勝負に賭けるという意味で、カーチェイスや追跡劇といった活劇がない静の場面でもうまく撮影すれば緊迫感は出せるだろう。
だがポーカーは勝負の駆け引きという実力が重要である一方、イカサマがなければどうしても運も勝負を左右する。いい手役がくるかどうかは配られるカード次第、そこに自分が関与する隙はない。勝負の決め時に相手役の駆け引きが一枚上手だったのは言うまでもないが、だが運もあったように思って、何か知力の限りを尽くした最高の勝負というには物足りなさを覚えた。だから「お前は私がいる限り二番手にしかなれない」という科白がちょっと白々しくも思えた。
最後の靴磨きの少年の科白はいい。人間落ち目のときってのはこんなズブの素人にも負けるものだ。そしてそんな落ち目の彼を迎えるのは、平凡な生活と平凡な幸せを願う女。野望溢れる男がたった一度の敗北で過去を捨てて平凡な生活をすることが出来るのか、それとも女と別れてまた賭け事で再起を図り頂上を目指すのか。その後の彼がどちらになるのかも少し中途半端に思った。
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