白い恐怖のレビュー・感想・評価
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イングリット・バーグマンとグレゴリー・ペックの美しさを堪能する。
1945年作品で公開は1951年とか。
アルフレッド・ヒッチコック監督のサイコスリラー。
精神科医のコンスタンス(イングリット・バーグマン)の病院に
新しい院長として赴任してきたエドワーズ博士(グレゴリー・ペック)
彼はエドワーズを語った偽物で、早々にニューヨークに逃げていまう。
彼には記憶喪失があり、なぜエドワーズが行方不明になり、
彼が成りすますのか?
エドワースは生きているのか?
それをコンスタンス医師が紐解いてゆく話し。
一目でグレゴリー・ペックに心を奪われるバーグマンが本当に
美しい。
精神分析で過去のトラウマを解いて事件を解決に導くのだけれ、
おおよそ説得力のない話し。
白いシーツに走る黒い線が怖い・・・・
それは白い雪に走る黒いスキーの黒いシュプールで、それを怖がる。
それは幼い日に弟が一緒にスキーをしていて崖から転落死していて、
自分が押して落としたと、思い込み罪の意識に苛まれている・・・
そして何十年後に親友とスキーをしていて崖から突き落とした・・・と、
思い込み記憶喪失になる???
記憶喪失なのに親友に成りすますのか・・・などなど、
無茶くつゃでございます。
そして都合よく後付け的に真犯人が現れる。
サイコな主人公なら1964年作の「マーニー」のティピ・ヘドレンは
正真正銘のサイコパスで、これはかなり現代にも通用する話し。
この映画はあくまでもイングリットとグレゴリーのラブロマンスと
美しさを堪能する映画だと思います。
雰囲気と後味は上々です。
あまりビックリするラストではなかった
ヒッチコック監督の推理モノ。
イングリッド・バーグマンとグレゴリー・ペック共演の作品。
会話が途切れることなく展開がスピーディで
時間があっという間に過ぎる感じです。
何と言っても美男・美女の二人。
惚れ惚れします。
ヒッチコック作品の割にはあまりビックリするラストではない。
残念ながらどんでん返しは小さかった。
何とも乱暴なエクスポージャー(曝露療法)!
こんな風に、急激に強引にやったら悪化すること必須!!!
でも、サスペンス/映画としては、ぐいぐい押してきて面白い。
記憶喪失の男の真実を探す物語。
しかも、男は殺人を犯したという。
男を愛した女は、それを信じず、妄想に取りつかれているのだという。
果たして、男の思い込みか?女の狂信的願望か?
精神病院で、父を殺したと思い込んでいる男の顛末を前半に入れ込み、不安を煽る。
剃刀で喉を掻っ切った精神病院に入院している、父を殺したと言う男。
だから、後半、JBが剃刀をもって、階下に行くシーンでは、その演出・映像と相まって、緊張感が半端ない。
そんなJBの先、階下にいるのは、何も気が付いていないかのような、好々爺・老精神分析医ブルロフ博士。
父を殺したと思い込んでいる患者の主治医が、男の無実を狂信的に信じている女・コンスタンスであることもミソ。この患者の訴えも「思い込み」と映画の中で言われるだけで、父は実は存命なのか、亡くなっているにしろ死因は語られていない。
コンスタンスの誤認かもしれない可能性もなくはない。
そして、コップを通した映像。幻の演出?と思わせて…。
一夜明けて、明かされるブルロフ博士の行動理由。さすが、経験豊富な老練な精神分析医だ!
「女は、恋する前は優秀な精神分析医だが、恋した後は患者となる。(思い出し引用)」とは、コンスタンスに言う、ブルロフ博士の言葉。女だけじゃなくて、男も同じと思うが、コンスタンスの状態を表現するのに、ぴったり。
ブルロフ博士が、一貫して、コンスタンスのスーパーバイザーの役を果たす。
だが、コンスタンスには通じない。頭ではもちろん理解しているのだが、心がどうにも動かない。その、知と情熱に揺れ動くさまを、バーグマンさんが見ごとに演じている。だから、見ている私としては、ハラハラし、でも応援したくなる。
JB演じるペック氏は、どこか、浮ついてきょどきょどしていて、かと思うと、コンスタンスに強引にアプローチしたりして、精神不安定な男を演じている。かの有名な『ローマの休日』の時より、青臭いの新鮮。
正直、期待したダリ氏の夢の部分は、今となったら、特に目新しいものではない。20分あった映像をあの部分しか使わなかったと聞く。20分全編を見てみたい。
それより、上記のコップを通した映像や、後半、収監されたJBを心配するコンスタンスの映像とか、シーン・シーンで唸る映像が多い。
推理ものとして見ると、つっこみどころ一杯ではあるが、恋する女の一途さと相まって、最後まで予断を許さず、見せてくれる。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
精神分析。
Freudが初めた治療法。ユング等ヨーロッパ各国から熱心に教えを乞うた医者もいるが、どちらかと言うと、初期は芸術関係者に受け入れられていた。
ナチスの台頭により、ユダヤ人だったFreudはイギリスに逃れ、ある精神科医たちはUSAに逃れ、一時期、USAでの、精神病治療は精神分析一辺倒だったと聞く。
基本、毎日、分析を受けに行かなければならず、時間とお金を必要とする治療であって、それだけの余裕を持つ者として、精神分析を受けることが、ある意味、ステイタスとなっていたとも聞く。
今では、認知行動療法の一つとして説明されるエクスポージャー(曝露療法)。
精神分析の初期にはこんなやり方をしていたのかな?
エクスポージャーとは、恐怖の対象に現実に向き合う方法だが、実際の治療では、患者本人がある程度耐えられるところから徐々に始めると聞く。そして、安心・安全を確実に担保してから、最も克服しなければいけない危険に向き合うと聞く。この映画のような強引かつ急激な方法をとったら、再トラウマ決定。
また、夢分析もこんなに単純ではない。
夢分析は、Freudから分かれたユングの方がさらに発展させているように聞くけれど…。
そもそも、夢も幾つもの層があり(『インセプション』ほど作為的ではないか、何か:出来事や感情の侵入によって変化することもある)、意味づけも夢占いのように1対1ではなくて、”個人”の意味づけも重要なのだが。
ブルロフ博士の説明等、簡潔に精神分析を説明している部分もあるが、
治療としては、そりゃまずいということも多々ある。
特に、時折、JBが治療を拒否して喚き散らす言葉は、精神分析を学び始めの治療者が犯すミスに対して、患者が文句を言うことそのままで、笑ってしまった。
Freud等の理論は、不可解なことが解ったような気がして、つい、その理論を押し付けたくなるんだな。「解る」ことを重要視する現代では、特に。
そして、無意識にでも忘れたくなるようなことを思い出させるって、傷口に指を突っ込んでぐりぐりするのと同じ。そんなサド的行為を強要されたら、噛みつきたくなるよ。それでも、それをすることで困っていることが解消するから”治療”として成り立っているのだけれど、だからこそ、慎重にしなければいけないのだが。
そして、倫理の問題。
精神分析の初期には、教育分析(コンスタンスが精神分析医になるために受けた分析)で、分析した者と、分析された人が結婚したケースもあるが、うまくいかなかった。
そんな失敗を重ねて、心理療法、特に精神分析には”やってはいけない”とされているタブーが多い。
例えば、面接室以外で会うなんて、そうしたとたん、「それは精神分析ではない」と言われてしまう。
臨床心理士・公認心理師の倫理綱領に照らし合わせれば、恋人関係と治療関係は、”二重関係”に当たり、認められない。
だから、この映画では、コンスタンスが、精神分析医としてJBをというより、愛の力がという印象が強い。そして、理性では迷いながらも、愛の力でぐいぐい突き進むコンスタンスのなんと凛々しいことよ。
加えて、精神分析治療としても突っ込みどころ満載だが、その知識で次々と謎が会召されていくので、爽快。
精神分析医やカウンセラー、精神科に携わる者は、JBのコンスタンスへの不満にこそ、耳を傾けるべきだと思う。
耳は眼ほどにものを言い
ペック、バーグマン両先輩共演のサイコスリラーです。
緊迫した場面でやたら緊迫した音楽がかかるように、音楽効果が過剰過ぎて映像以前に場面の状況を説明してしまう印象です。
序盤から丁寧な心理描写ですが終盤急ぎ過ぎてせっかくのサスペンスが半減です。
もう少し時間をかければいつものヒッチ節が炸裂したはずです。
タイトルなし
1時間50分を感じさせない無駄のないスタイリッシュな展開。
イングリッド・バーグマンということを差し引いても、ヒッチコックの女性の魅力の引き出し方は改めて凄い。そして恋に落ちてしまってからの落差も。
理知的なイングリットバーグマン
イングリットバーグマン扮する精神科医コンスタンスピーターセンは、優秀だが心がないと言われていた。そんな折、グレゴリーペック扮する新院長エドワーズが赴任した。しかしエドワーズには秘密があった。眼鏡をかけたイングリットバーグマンを見たのは初めてだけど理知的だね。イングリットバーグマンの様な美人に見込まれたらありがたいよね。
グレゴリーペックは西部劇等で何作も観たが、安定の誠実さと2枚目。 ...
グレゴリーペックは西部劇等で何作も観たが、安定の誠実さと2枚目。
イングリットバーグマンも美しいだけではなく、演技も上手い。
言葉にせずとも、感情の動きを違和感なく表現する。
昔の映画は出演者が皆演技がうまい。音楽も効果的。
往年の名優、大女優の、サスぺンス作品。後年に遺すべき名画ですね。
1945年の作品らしい。終戦の年。
原題はspellbound(魅せられて)、女性が主役!
邦題は白い恐怖、男性が主役に思えてしまう!けど、女性が彼に魅せられたことから、解決できるのです。このサスペンス、面白い。現代でも通じる心理分析だと思う。
見惚れるバーグマンの美しさ
なんか雰囲気似ていると思ったら、ヒチコック監督で脚本も同じ作家。バーグマンの美しさが際立ち、今回の相手はグレゴリー・ペッグ。彼もカッコいい。往年の佐田啓二に似ている感じ。そんな素敵なカップルに、サスペンス仕立てのストーリはピッタリ。「汚名」よりこの作品の方が良いね。
ダリの参加というのも驚き。彼らしい幻想の風景は、精神分析の回想シーンに違和感なし。
さらに、この作品で巨匠監督は随分長く出ていたなあ。
精神科医演ずる美しきイングリッド・バーグマンによる謎解きの見事さと彼女の凛とした佇まい
バーグマンが、白衣姿、眼鏡顔、そして冷静な精神分析官と恋する乙女の両面を見せつけていて、魅せられてしまった。そして、殺人したと思い込み、記憶喪失でもあるグレゴリー・ペックが、白色に縞模様で恐怖感を抱く謎、彼の見る夢の意味が次第に明らかになっていくストーリー展開がお見事。原作もさることながら、アカデミー賞2回受賞のベン・ヘクト等による脚本が良いのだろう。そして、夜中に剃刀を持って階下へ向かう記憶喪失者の映像は、白色を見て、それは殺人現場のスキー場の象徴であるが、心を損なうことを、不協和音と共に知らしめる音楽も相まって、緊迫感を生み出す。さすが、ヒッチコックの演出が冴え渡る。
夢の謎を解き殺人の真犯人と対峙し、冷静に理性に働きかけるバーグマンの姿も格好いい。
バーグマンとヒッチコックが組んだ、見事な傑作だと思った。
テレビの深夜枠で何度も観た映画なので、ある意味ヒッチコック映画の中...
テレビの深夜枠で何度も観た映画なので、ある意味ヒッチコック映画の中で自分の中で最も思い入れのある映画かも?ヒッチコック映画の中では中くらいの出来ではありますが…
DVD108円ゲットシリーズ。さすがはヒッチコック。 イングリッド...
DVD108円ゲットシリーズ。さすがはヒッチコック。
イングリッド・バーグマンのなんと美しいことか!歴代世界女優No.1。このあたりがその美しさの絶頂期。カラーで見たい。
そしてこの作品、そんな彼女の魅力を存分に引き出している。さすがはヒッチコック、それしか言いようがない。
サスペンスとしても面白い。二転三転の結末。くそー、もう少し冷静に考えられていればもっと早くわかったはずなのに。そんな謎解きの楽しさもあり。ラスト、いやにあっさりもなんともヒッチコックらしい。
撮影時、ほんとに恋仲になっていたらしい。グレゴリー・ペック、しばく!(笑)
文句の付けようがない傑作
イングリッド・バーグマンが主演
知的で品がある彼女の生来の性格が、美貌の独身精神科女医役にこれ以上無いはまっている
出演時30歳
まだまだ最高に美しいが、そろそろ結婚適齢期のピークを過ぎようかというその年齢の微妙さ、その美しさと危うさを見事にに表現してみせている、素晴らしい演技だ
その知的な美貌の女医が、たった一目で恋に落ち、精神科医から一人の女性になり引き寄せられてどうしようもなくなってしまう
愛する男を理屈抜きで守ろうとする健気な行動がいじらしく総ての男性はもう画面の彼女から目を釘付けにされ離せなくなってしまう
原題はスペルバウンド
その意味は「魅せられて」
正に劇中の彼女であり、彼女に魅せられてしまう観客のことだ
そしてグレゴリー・ペック
出演時29歳、彼もまた品があり、若く清潔で聡明で清廉な性格がそのまま姿形を成している
画面に映った彼の姿はイングリッド・バーグマンに見事に釣り合う
もうこれだけで映画は成功したも同然だ
ヒッチコックの演出も冴えわたり、強烈な集中力で最後まで観客を牽引する
一切無駄なシーンはどこにもないばかりか、イングリッド・バーグマンにランチは何が良いと聞かれて、ソーセージと答えさせ、夜に一目惚れした男性の部屋で抱きしめられた時、脳裏に長い廊下の扉が次々に開け放たれる幻想を映像にする程の腕力を見せる
なんとエロチックな演出だろう!と呆れかえるほどだ
記憶喪失の男が語る夢の中の映像は、あのサルバドール・ダリが担当しており、有名な巨大な目やあの溶ける時計のような車輪などの映像も凄い
これだけでも見ものだ
ヒッチコック作品の中でも一二を争う面白さではないだろうか
これこそ名作だ
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