劇場公開日 1951年11月23日

「文句の付けようがない傑作」白い恐怖 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0文句の付けようがない傑作

2018年12月6日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

イングリッド・バーグマンが主演
知的で品がある彼女の生来の性格が、美貌の独身精神科女医役にこれ以上無いはまっている
出演時30歳
まだまだ最高に美しいが、そろそろ結婚適齢期のピークを過ぎようかというその年齢の微妙さ、その美しさと危うさを見事にに表現してみせている、素晴らしい演技だ

その知的な美貌の女医が、たった一目で恋に落ち、精神科医から一人の女性になり引き寄せられてどうしようもなくなってしまう
愛する男を理屈抜きで守ろうとする健気な行動がいじらしく総ての男性はもう画面の彼女から目を釘付けにされ離せなくなってしまう

原題はスペルバウンド
その意味は「魅せられて」
正に劇中の彼女であり、彼女に魅せられてしまう観客のことだ

そしてグレゴリー・ペック
出演時29歳、彼もまた品があり、若く清潔で聡明で清廉な性格がそのまま姿形を成している
画面に映った彼の姿はイングリッド・バーグマンに見事に釣り合う

もうこれだけで映画は成功したも同然だ
ヒッチコックの演出も冴えわたり、強烈な集中力で最後まで観客を牽引する

一切無駄なシーンはどこにもないばかりか、イングリッド・バーグマンにランチは何が良いと聞かれて、ソーセージと答えさせ、夜に一目惚れした男性の部屋で抱きしめられた時、脳裏に長い廊下の扉が次々に開け放たれる幻想を映像にする程の腕力を見せる
なんとエロチックな演出だろう!と呆れかえるほどだ

記憶喪失の男が語る夢の中の映像は、あのサルバドール・ダリが担当しており、有名な巨大な目やあの溶ける時計のような車輪などの映像も凄い
これだけでも見ものだ

ヒッチコック作品の中でも一二を争う面白さではないだろうか
これこそ名作だ

あき240